最低賃金が引き上げられた件

毎年10月に最低賃金の改定が行われますが、今年も最低賃金が引き上げが発表されました。最低賃金改定額の全国加重平均額は1,055円で、昨年度の1,004円から51円の引き上げとなりました。

改定後、最も高い東京都では1,163円、最も低いのは秋田県で951円でした。なお、その差額は212円です。
今回の改定で、800円台の地域は無くなりました。

（最低賃金引き上げへの対応）

時給制の従業員　→　時給を最低賃金以上の金額に改定
月給制の従業員　→　月給を時給に換算、最低賃金以上の時給単価に改定

（月給を時給に換算する方法）

月給者の時給単価は、基準内賃金(残業代の計算の基となる賃金)を月平均の所定労働時間で除した金額となります。

例えば、【基本給20万円・職務手当2万円・所定労働時間8時間・年間休日数125】の場合

基準内賃金は基本給と職務手当を合わせて22万円、月平均所定労働時間は160時間となりますので、下記の計算例により時給単価は1,375円となります。この時給単価が最低賃金額以上であれば、問題はありません。

計算例:220,000円÷160時間=1375円

（改定のタイミング）
10月1日以降労働分からの変更が原則です。ただし、10月以前の最終締め日の翌日から変更することも可能です。
イメージは労働保険の年度更新と同じと考えてください。

例えば、20日締25日支払の会社の場合
8/21～9/20勤務分　→　改定前時給
9/21～10/20勤務分　→　改定後時給

※基準内賃金には通勤手当や家族手当などの残業代の基礎とならない手当は含まれず、固定残業代制度を導入している場合、固定残業代として支給している手当は基準内賃金に含めることが出来ません。

東海地区の金額設定について
条件:所定労働時間８時間勤務 年間休日125日の場合

愛知県
最低賃金：1,077円
月給者の場合、基準内賃金を172,320円以上に設定

岐阜県
最低賃金：1,001円
月給者の場合、基準内賃金を160,160円以上に設定

三重県
最低賃金：1,023円
月給者の場合、基準内賃金を163,680円以上に設定

静岡県
最低賃金：1,034円
月給者の場合、基準内賃金を165,440円以上に設定
　
最低賃金以上の給与を支給することは、規模問わず会社の義務であり、最低賃金を下回っている場合には、最低賃金法によって罰則があります。特に月給制の方については、知らずのうちに最低賃金を下回っていた、ということにならないよう十分に注意してください。

※本記事の記載内容は、2024年9月現在の法令・情報等に基づいています。