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自動車開発の思い出 その7

GP500観戦か、姉妹クラブ訪問かで悩みました

ずいぶん昔ですが、私が在籍していたその開発チームは、旗艦となる新型車の品質向上が至上課題でした。その為には自分のメーカーの品質の現在地を知らないといけません。それには他車と比較するとはっきり分かる。
日本酒の飲み比べと同じです。様々な車、それも高級車で比較する。
このような比較検証の経験が、販売しているマジ軽ナットでも生かされています。お買い上げ下さった方に「比較方法」をお渡ししています。マジ軽ナット あり/なしで比較する。そればかりでなく、取り付けてから1週間程走ってから「取り外して下さい」と書いてあります。これこそ、テストドライバーの経験を生かした、誰でも分かる比較方法なのです。

西ドイツのテスト基地には現地採用の日本人マネージャーがいて、現地社員ととてもいい関係でした。テスト車両のメンテナンスや管理は現地法人、テストは個別にテストドライバーと契約していました。
そして、私たち出張者はホテル住まいで、車を乗り合わせて通勤していました。
日本から出張者が来るとお迎えのパーティーがあり、バーベキューの窯があって美味しいソーセージ等が食べられて嬉しかった。
そこで、片言の英語でテストライダーと話したり、現地社員とコミュニケーションが取れるようになったのです。
しばらくして、誰かから「GP500のレースあるから、見に行こう」という話が持ち上がりました。GP500とは、今は無き2ストローク 500ccのオートバイレース。300km/h越えで世界最速のオートバイレースでした。

日本メーカーは、ホンダ、ヤマハ、スズキが参戦、カワサキはすでに撤退。その理由を後日、キヨさん(清原明彦氏)に聞いたら、カワサキは「100年やって(参戦しても)勝てないから、止めた」のだそうです。
日本はレース観戦料が高い、そして駐車場が少ない、サーキットへのアクセスが悪いのです。それに比べたら、随分と敷居は低いから行きやすい。
ちょうどその頃に、ホテルに手紙が届きました。当時は電子メールはありませんからね。紙を送るのです。それを手紙と言います、知っていますか?
手紙は西ドイツの姉妹クラブの会長から。読もうとしても、英語がほぼ分かりませんでした。「日本のクラブの○○です。出張で××ホテルの△号室に滞在しています。機会があったら会いたいです。」まぁ、英語を教えてもらって、そんな簡単な手紙を出した返事でした。
先輩で英語が出来る人に手紙を訳してもらいました。「今度の土曜日にホテルに迎えにいくから、ウチに泊まらないか。そして、ツーリングをしないか、と書いてあるね。ツーリングの話は会社にはしない方がいいね、ダメだと言うだろうから」。
「そうかぁ、GP500も観たいなぁ。ヨーロッパのレースなんて二度と観られないだろうし…」と悩んだのです。
どちらも二度とないチャンスかも知れない。それで、結局、日曜日に姉妹クラブを訪ねる方を選びました。会社の方針で宿泊はダメ。日帰りならいいだろうという判断です.。
日曜日の朝にロビーに下りると、GP500組が嬉しそうに集まっていました。そこに大柄のゲルマン人が息子と迎えに来たのです。当時、片言の英語しか話せなかったけれど、彼の車で家に向かったのです。
さて、どこに向かうのか?
GP500と言えば、元ホンダHRC 250cc、ヤマハのWGP 500cc 新垣敏之氏も除電チューニングの大ファン。

日本人では数人のWGP500レーサー(上記の動画より)

今は福島のサーキットでライディングスクールの校長先生をしています。

ホンダ・ヤマハワークスもマジ軽ナットを使えばいいのにねぇ。

・タイトル写真は引用の動画サイトのサムネイルを使用

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