電気の話 その5(特許取得のいきさつ)
革新的な発明、そして特許取得から販売へ
また友人の工場に行くと、その試作品がありました。六角ボルトにギザギザしている物が付いています。
「これなんだか分かる?」その形状を見て、私はすぐに返答しました。
「これ、電気でしょう!!」、「おお、よく分かったね」、「形を見て、すぐ電気だと思った」そう答えました。
テストドライバーや、趣味のバイクも深くて長い経験がありますから、正直、普通の”車好き”とか、”バイク乗り”の人とは知識も違えば、目の付け所も違います。
当ブログの過去の記事を読んで頂ければ、それはお分かり頂けると思います。
特殊な元素を含有させた合金の特性に着目して、それから静電気を放電させる、電源不要で安定的かつ長期的、そして固定出来る物を作ったのです!
そして、弁理士に依頼して「特許を取得しようと思っている」事を、私に打ち明けました。
その本心は「レース部品ではなく、広く世の中の人の助けになる物を作りたい」。年齢もあるでしょうけれど、そちらの方向に転換しようと思うほど、革新的な発明だったのです。
そして私に言いました。「その素材の内容は、絶対に人に言うなよ!」そう口留めされました。
もちろん、何度も走行テストに協力もし、口の堅い私にだからその理屈を伝えた訳で、信頼しているからこそ教えてくれたのです。だから、誰にも言っていませんし、これからも言う事はありません。
間違いなく、世界トップの製造技術を持っているのに、それを止めてしまう。「レースだって、人の役に立つよ!」と言い返しました。
だって、もったいないじゃないですか、その技術が…。
レース部品の製造を止める(完全にではありませんが)のには、別の理由もありました。
製造のグローバル化が進み、素材となる部材が国内で手に入りにくくなってしまったのもありました。安い生産コストを求めて、製造メーカーが海外の工場に移転、日本に輸入されていた部材が手に入りにくくなってしまった。産業の空洞化もその原因の一つでした。
そして特許申請から4年が経った2018年12月、金色に輝く特許庁発行の”特許証”が飾られていました。「特許、取れたんだね!すごいね!」特許証の原本を見た事はありますが、友人で取ったのは初めて、しかも自分が少し関わっているのです。感無量のおすそ分けを頂きました。
そして、それから1週間余りが経った時、車でラジオを聞いていたら、「トヨタ自動車がアルミ箔のテープを車体に貼る事で、静電気を取り除くという特許を取得した」というニュースを知ったのです。
当ブログ、”電気の話 その4”で書いた。「危なかった~、間に合って良かった」というのは、そういう意味です。トヨタが静電気の除電で車の性能を向上させるという同じ目的で特許を取得した事で、自動車業界でも静電気に注目していた事が立証されました。
ものすごい技術革新と努力の結果、行きついたのが”静電気の除電のメリット”だという訳です。
タイヤにはカーボンが混ぜてあるのに、皆さんが知らないだけで、実は大して地面に静電気を放電出来ていません。そもそも自称 車好きでさえ、車体の静電気をタイヤから路面に流している事自体を知らない人は多いのです。
舗装に使われているアスファルトは石油由来の物質、電気はほんの少ししか導通しません。その結果、無駄にエネルギーを消費している。
ただ、それを知らないから、タイヤはこういうもんだと思って乗っているだけ。
多くの人は「タイヤ本来の動きが出来ていない」とは、知らないのです。オートバイのレースでは、タイヤの空気を急激に抜いたり入れたりする事をよくします。もちろん、大容量のコンプレッサーが必要です。これはおそらく、膨張と収縮を繰り返す事で、タイヤの組織が柔軟になるのだと思います。それで、乗り心地やグリップが物理的に良くなる。
それをしなくても、マジ軽ナットを取り付けると同様の効果があります。
2022年の年末に友人に連絡を取ると「タイヤ用作ったよ」。それで、急いで訪ねました。実はその翌日に友人のアーティスト系作家が、あるレストランを借り切ってのグループ展があったのです。
「そこに持ち込み、来た人に試乗してもらってはどうか?」との話をすると、「お、それいいね」と、試作品をいくつか分けてもらいました。
グループ展には様々な人が来ます。結構有名な画を書く人、写真家や革製品の作家等など。
それで、その主宰者である友人に話しました。いくら友人でも勝手に出し物をしては失礼なので、了解を得るためです。「何なんですか、それ!?」、「まぁ、いいから、自転車に付けさせてよ」と、まず現状確認のために10m位道路を往復してもらいました。それから、前後のホイールのバルブにマジ軽ナットを取り付けて、同じ道を同じように乗ってもらいます。
感想は、「全然違う、漕ぎだしてすぐ分かった。何だこれ,すごい!」、これが第一声でした。「これを来ている人に、会場で試乗させてもらってもいい?」と聞くと「それ、面白い。どうぞ、どうぞ」となりました。
更に友人は「これ、すごいよ。付けてもらいなよ、変わるから」と、自ら会場にいる人に声を掛けました。それで、何人もが「お、変わった。これ欲しい。いくらなんですか?」と、すぐに自転車用、自動車用が売れたのです。
そして、ある作家の友人に某県警の白バイ隊員の訓練生がいて、その人に話を繋いでくれました。乗って来た自分のオートバイで、たったワンブロックですが現状確認走行。そしてそれを付けて同じく走ってもらいました。感想は、「たったあれだけで、2速がぐっと伸びるようになった!」と首を傾げていました。
本当はもっと走って貰いたかったけれど、それは仕方ない。でも、いきなりのお披露目は大成功でした。
モノの理屈が分からない家内はすでに自転車に付けて使っていましたから、「これはイケる」と感じたそうです。
グループ展では、逐次、その様子を発明者である友人に報告していました。次に会った時に、こう言われました。「○○君(私)が売るんだよ」と。つまり、「一緒にこれを売って商売にしよう」という訳です。
正直、ちょっと嬉しかった。なぜなら、新しい成長分野になるのは間違いない。
ダンロップが空気入りのチューブタイヤを発明してから、解決出来なかった問題点です。それを解決出来る製品を取り扱えるのですから。何年も開発に協力して来てそれは確信していて、密かに「ビジネスにならないかなぁ」と思っていたのです。
「その4」で書きましたが、世の中にあるもの殆どは帯電しています。
例えば、湿気が少なければ猫を触っても、バチバチする事があります。
プラスチックも帯電するので、埃を引き寄せたりしますね。ガラスにも帯電します。そして、ゴムもプラスチック同様、とても帯電しやすい物資なのです。石油系の製品は帯電防止剤を混合しない限り帯電します。
帯電の説明をするのに、「乾燥時にセーターやフリースが静電気を帯びると脱ぎにくい。でも静電気防止スプレーを吹きかければ、帯電量が減り抵抗なく脱げる。
タイヤも同じで、帯電していると動きが悪くなる。ただ、今まで誰もそんな事に気付かなかっただけ」そう説明します。
では、静電気を放電させるとどうなるか。つまり、タイヤ本来の性能を引き出すとどういう事が起きるのか、それを何も説明していない女性に実証実験してもらいました。
その動画のショート版を公開します。フルバージョンもあります。
やっとここまで漕ぎつきました。でも、まだこれからです。私の最終目標は、自衛隊や海上保安庁等に使ってもらう事です。なぜなら、安価でデメリットがなく、性能を向上させる方法だからです。
きっと、「このブログ、読んでいて良かった」そう思って頂けると思います。
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