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「愛のテーマ」のモチーフについて

■前置き

皆さんはじめまして。クーラPです。
ボカコレ始まりましたね。こういうお祭りがあると盛り上がってとても楽しいなあと、今回初参加ながらしみじみしております。主催者様ありがとう!!!!!

さて、本来こんな形で曲解釈を作者がダラダラ書くのはとても恥ずかしい事ですし、曲だけで伝えなきゃなんない事なんですが、曲を深く掘り下げて聴きたい……と思ってくれる変態さんや、制作者の裏話が好きな方に向けて書いていこうかと思います。長文駄文になるかと思いますが、お付き合いください。

Love theme pt.Ⅰ 悲歌劇―序曲―

止まれと祈っても
無常に過ぎ去ってしまうの
振り返ることはとても苦しい
オトシモノ探して見つける
再び繰り返すだろうと道化が笑う

冒頭の効果音で本作のモチーフが「時間」である事を明示し、メロディでこれから起こることがきっと「悲しいこと」なのだろうなと演出しています。愛のテーマなのに時間がモチーフなの?ってなるかもですけど、それについてはpt.IIIの所で話します。
専門的な事を言えば本曲の主軸となる下降進行はpt.IIIでも出てきます。クラシックのソナタよろしく、この進行のパートが主題ですよ〜という事です。

・モチーフの「時間」について①

何が起ころうと時間は前にしか進んでくれません。振り返ると後悔ばかり、それが人間の業なんだなぁ……という話です。時間というものの残酷さ、無常さを詞中では示しています。
イントロのアラームでは繰り返される朝を表現してます。
客観的な時間の流れ、特に日数の経過を音で表現しようとした結果こうなりました。これに関してはpt.IIIへの伏線になってます。

古畑任三郎スタイル、とまでは言いませんがある程度結論をはっきり断言した曲です。どうしてそう言いきれるの……?という「引き」の効果とかも考えてましたが、本当にそんな効果があったかはわかりません。
少なくとも「時間」が鍵なんだなとわかって貰えたら十分です。

Love theme pt.Ⅱ アルバム

イラスト:クマザキ優 様 https://www.mofuvell.com/home


たった一つ
想い綴られた

愛の残火を片付けられないでいる

振り返っても、ドアを開けても
虚しく声が暗闇に吸い込まれて

石に刻んだ君の名を
呼ぶ度に聞こえる
数多の写真の中の笑い声
色褪せぬように

そばに居るだけで暖かくて
安らぎをくれた
君にどれだけ愛を叫んでも
空に響くだけ

小さな事で喧嘩した
意地を張る事もあった
もう少し優しくしていればと
この気持ちすら

君ならばきっと背中押して
叱ることだろう
私の心はアルバムから
戻れなくなって

前を向くのが君の願いと
一つ一つの言葉から
君の温もりが、優しさが
真実を伝える

この曲で初めて具体的な登場人物がでます。詞を読み進めてBメロにさしかかると、なるほど死別した物語か〜となるようにしてます。
「過ぎ去ってしまった時間」への後悔がつらつらと書かれております。残されたのが男なので女々しく後悔しております。ここで初めて「愛」がなんなのか少しずつはっきりしていきます。

後悔と愛を歌うバラードなのですが、本質的に「愛とはなんなのか?」という問題提起をしている曲なわけです。

愛というものは抽象概念なのです。そのへんに落っこちてるわけではないものなんです。厨二患者が「愛などっ……存在しないっ……!!」とか言っちゃいますが、まあ当たらずも遠からずで、育むものではありますが存在するかと言われたら微妙なわけです。
本曲の主人公は、そんな曖昧なものを失ってめちゃくちゃに苦悩し後悔するわけです。某雑貨屋の店員が言うように「そこになければないですね」的な、曖昧で抽象的なものを彼は失ったわけです。「失った」という以上、なにかしらが存在したと考えるべきでして、じゃあ彼は何を失ったんだろう……?というのが本曲の一番大事な部分なわけです。

Love theme pt.Ⅲ Ghost Love

イラスト:ぷらた。様 https://twitter.com/pulataniumu


触れられるのなら
声が届くなら
頑張っているのを
知っているのに

俯いた時も
笑顔の時でも
そばに居るのに
通わない心

1人じゃないよと
これだけ叫んでも
塞ぎ込む抱え込む
苦しさを分けて欲しい

ロープの傍から
消えゆく温もりが
街角の片隅で
貴方を待っているから

貴方を待っているから

本曲には死後の霊魂である彼女が出てきて、死に悲しむ彼のそばに居るのに何も出来ない悲しさを歌う……という曲になってます。

・モチーフの「時間」について②

イントロ終わりにアラームを止める効果音がはいります。
サクソフォンソロの裏でもアラームが何度も鳴りますが、これは「繰り返される朝」を表現しました。pt.Iでは客観的な、無機的なもののつもりでしたけど、こちらは主人公2人の主観的な日数の経過です。微妙なニュアンスの違いを歌詞の違いから感じて貰えたらと思います。

・愛のテーマとは

ここいらでようやく結論がはっきりします。詞中では幽霊の彼女が彼の日々を眺めているという構図になる訳で、それは間違いなく「彼女の居ない日々」なんです。つまり、彼が失ったのは「彼女と共に居た当たり前に過ぎる時間」なわけです。
「愛=共に過した日々」即ち「愛=時間」なんだよという事です。
霊魂として登場する彼女も、何を媒介にして存在出来ているのかというと、それは彼の持つ彼女との思い出、共に生きてきた過去なわけです。そんな思い出も、「彼女の居ない日々」が繰り返される事でぼやけていきます。忘れる訳では無いですが、当たり前になってぼやけていくわけです。(三島由紀夫の真夏の死リスペクトです。)
pt.Iで示したように時間は残酷ですね。

そうして「私」は共に住んだ街の片隅にある記憶の断片となっていくわけです。彼女はそこで「待って」くれいるのです。

イメージしやすい幽霊という形にしましたが、曲中の「私」は「彼の記憶の中で生き続ける存在」というわけです。2人の愛がどれだけ大きく育まれていたか、というのが伝わればなぁと思います。

■あとがき

身近にいる人は当たり前にそこに居るわけではないので、大切にしましょう。きちんと大切に思ってます、という気持ちを伝えましょう。確かめ合わないと認知できないほどに、愛は雲のような存在だというのに、失ってその大きさに気付く事が多いものなので。

なんかこう、説教臭くなるのは好きじゃないんですが、これは本心です。
後悔してからじゃ遅いので、推しを愛し、身近にいる人を愛し、誰よりも自分を愛しましょう。それこそが本作で伝えたかったメッセージです。


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