神戸市灘区の100年の歴史がある「畑原市場」の「つまみぐいさよならツアー」に参加した話
「畑原市場」が閉鎖されるらしい
それは1年前、ある商店街を散策していましたらそこでお店を営んでいらっしゃる方に声を掛けられまして、そこから付き合いが始まり1年経った頃ちょいと飲みに行くことになりまして、その飲み屋でたまたまお会いした方に「畑原市場がなくなる」というお話を聞きまして。
神戸市灘区、水道筋と呼ばれる地域にある「畑原市場」です。大正末期、神戸に水道管が通され、その上にあるから「水道筋」だそうです。
ネットで情報を集めましたら、「つまみぐいさよならツアー」というイベントが開催されることを知りました。水道筋の商店街や市場のお店で食べ歩きをしましょうというイベントを毎月開催されているようで、畑原市場の閉鎖に合わせた特別回ということでした。これは参加してみるしか!
「つまみぐいさよならツアー」に参加しよう
というわけで2020年3月20日の朝10時前、集合場所の西灘文化会館へ訪れたのでした。ここまでの写真はそこに飾られていた1979年頃の航空写真と模型です。模型……欲しい!
灘を極めし者「ナディスト」慈(うつみ)さんと神戸ゲストハウス萬家(マヤ)を経営されている朴(パク)さんのガイドで進みます。参加者は12名。NHKの取材班も来られていました。
畑原市場の中に入ります。前日のテレビのニュースで畑原市場の様子がわりと長く流れたそうで、それを見た人がいっぱい来るかも? とのことだったのですが、朝早いからかそれらしい様子はありませんでした。
こんなときでも店名看板が気になります……「ロマンスチェーン 寝具ヨシダ」。ロマンスチェーン! 何その魅惑的な響き。ロマンスと寝具、直球でんな。
「ろ 路地で迷いました」……というかるたが気になるのですがちょっと置いておいて、お客さんたちのメッセージがいくつも貼られています。畑原市場は大正7年開設とのことで、それは1918年、つまり100年以上の歴史がある市場なのですね。家族何代にもわたって畑原市場で買い物をして来たという方もいらっしゃることでしょう。思い出は無数にありますよね。
「畑原市場大感謝会」ということで2月頃から色々なイベントが開かれていたようです。「西灘生まれのカメラマン岡本康司氏」の写真教室も開かれたとのことで参加者の撮影された写真が飾られていました。
豆腐をつまみ食い
さてさて食べ歩きの1軒目です。「佐藤とうふ店」。
うはぁ懐かしいー。昔はこういうステンレスの流し台に水が張られてそこに豆腐が浸かってましたよね。ここではパッキングされているようですが、私が子供の頃は豆腐がそのまま入れられていて、すくい上げて薄いプラスチックの容器に入れられ、よく分からない機械に通すと袋に包まれた状態で出て来てその様子を見るのがすごく楽しかった覚えがあります。
絹と木綿。意外にも最初から結構なボリューム。写真がないのですが、豆乳も頂きました。
「佐藤とうふ店」は近隣に移転されるそうです。
水道筋かるた
ふとシャッターに目を向けますと……「水道筋かるた」!
2015年2月に完成した「水道筋かるた」は、街自慢などではなく「水道筋あるある」を50音に落とし込んだ物だそうです。非売品ながら児童館などに寄贈され……そして2016年1月に限定120セットで発売されたとのことです。うはぁ遊んでみたい!
ところどころよく分からない内容もありますが、地元の方なら「あるある!」となるのでしょうか。
ちなみに町のところどころにもかるたの1枚が貼り出されています。クスリと笑ってしまったことが何度も……。
畑原市場、畑原東市場、東畑原市場を歩く
市場の奥へ進みます。うわぁ懐かしいー! 私が子供の頃……30年くらい前はうどんや蕎麦と言えばこういう陳列でした。私が行っていた市場は阪神・淡路大震災で倒壊してしまいましたけども。
ツアーは西から東に向かって歩いていまして、「畑原市場」から始まってその次が「畑原東市場」なのでした。写真をあまり撮っていなかったので写真だけ見るとワープした感じなのですが……。
「畑原市場」は本当はもっと広かったのですが、2015年頃に一部が建て替えられてマンションになりました。残った部分も今回建て替えられ、マンションになるということです。「畑原東市場」は存続されるそうです。
「畑原東市場」の東にあります「東畑原市場」も歩きます。焼き豚! あぁこれでビールを飲みたい。
天ぷら屋さん。何十年営業されていると仰ってたかな……。半世紀以上だったと思います。
ちょっとピンボケになってしまいましたが、大きな算盤や……。現役なのかな?
慈さんが仰るには昭和の頃は人がすれ違うのも大変なほどの賑わいだったそうですが「今は走れますけどね」。
「東畑原市場」の東には「畑原東商店街」が続いているのですが、時間の都合でそちらには進まず南下して「水道筋1丁目商店街」に向かいます。
水道筋1丁目商店街から灘中央市場へ
「水道筋1丁目商店街」を西に向かい「エルナード水道筋」に入ります。
店名看板は「おもちゃ・子供のりもの 人形・人形ケース・額縁」だけど現在は青果店。気になったのでパチリ。
写真がないのでまたまたワープなのですが、「畑原市場」の西にあります「灘中央市場」へやって来ました。
市場の中に広場があるのですが、いやシャレではなくて、市場は建物が密集していますので火災が起こったら広がりやすいのです。空き店舗を解体して広場にすることで延焼を防ぐと同時に、イベントなどを行うスペースとして活用しようという一石二鳥の事業が行われているのでした。空き店舗があるのは寂しいことですが、前向きな良い取り組みです。あぁしかし天気の良い日にここでビールを飲んで昼寝でもしたら気持ち良いだろうなぁ。
陽の当たる広場でつまみ食いです。ロールキャベツを頂きました。
「灘中央市場」を歩きます。昔ながらの八百屋さん……のようですがわりとパッキングされていますね。時代の流れ? 新型コロナウイルスの影響? よく分かりませんが。
魚屋さん。この縦長の値札がなんか懐かしい感じがします。
つまみ食いはローストビーフ。家族経営の歴史ある肉屋さんです。
市場の様子の写真がほとんどなくて申し訳ないのですが……。これまた懐かしい雰囲気の乗り物! 10円や20円で動くあれですね。乗ってみたいけどさすがに大人の身体と体重じゃ無理だなぁ。
ところでこのあたりには井戸がいくつかあるようで、蛇口を捻れば水道と同じ感覚で使えるそうです。阪神・淡路大震災のときもあちこちで断水が起きている中、この井戸の水は普通に使えたとか。
畑原市場でお造りを
「畑原市場」に戻ります。魚屋さん。わりと大きな魚がいっぱい。飲食店の人が買って行かれるのでしょうかねぇ。
お造りを3種類頂きました。醤油ではなく塩で食べて下さいという店主のこだわり。
写真を撮っていなかったのですが、その前には揚げ物も頂きました。串を1本渡され、店頭に陳列されている天ぷら……練り物の天ぷらです……など数種類から1つ刺して食べて下さいと。迷う!
最後におにぎりとお味噌汁
再び「灘中央市場」の広場に戻り、おにぎりとお味噌汁を頂いて「つまみぐいさよならツアー」は終了しました。
食べ歩きだけでも大満足なのですが、市場の歴史やお店の紹介もして下さり充実した時間を過ごさせて頂きました。
「畑原市場」は2020年3月末で閉鎖……なのですが、実際は3月末を待たずに閉店されるお店も多いそうです。移転されるお店もありますが、そのまま廃業されるお店もあり……後継者問題や何やらという話はこのサイトのカラーに合わないのでしませんけども。
私は地元の人間ではありませんので昔のことは分からないのですが、市場や商店街が好きな者として最後に良い思い出が出来て良かったのよ。