取材執筆

ひとり出版社をつくる②「発端」

ぼくはライターです。

「ライター」とひと言にいってもいろいろな種類の案件がありますが、ぼくの場合は「書籍ライター」として仕事をするケースが多いです。

書籍ライターとは、書籍の著者に成り代わって原稿を書くライターをさします。成り代わるといっても書籍ライターがゼロから創作するわけではありません。著者に取材を重ねて原稿を執筆し、著者に一字一句確認してもらって完成させていくため、その原稿は正真正銘、著者のものです。

そんな書籍ライターを10年ほど続けてきました。もちろんそれ以外の仕事もいろいろやってきましたが、書籍ライターの仕事はやりがいという面でいちばん大きい、これはぼくの場合、間違いなくいえます。著者、編集者と三人四脚で書き上げた原稿が本というかたちになり、書店に並び、多くの人に手にとってもらえるようになるわけですから。

かかわる人たちが志を共にして、同じ思いでつくり上げた本にはエネルギーがこもり、その力が読む人、手に取る人に伝わると信じています。

このように書籍ライターという仕事は素晴らしいですが、反面、一冊を書き上げる労力はなかなかのものです。

国文学者の尾川正二先生は著書で「文章を書くということは、一人の人間の能力全部を出し尽くすということである。」と記されていたけれど、まさにカンナで身を削るように自分を出し切らないと一冊書き上げることはできません。

とりわけ根っから文章を書くのが好き、という人でない場合は、その辛さは骨身に沁みるはずです。

ぼくは文章を書くのが得意でライターになったわけではないので、将来のステップアップのための模索を何年か続けていました。

その模索の答えが「ひとり出版社をつくる」ということでした。

なぜ答えがひとり出版社なのか。

そのあたり、改めてまとめてみたいと思います。

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