川田騎手で考える「前走不利」について

よく予想記事や動画、競馬新聞でも見かける「前走は直線で不利があった。力を出せれば突き抜ける」なんていう表現。
既に議論が尽くされている感もありますが、改めて「前走不利」の信頼性について、トップジョッキー・川田将雅騎手の騎乗スタイルを例に考えてみたいと思います。

まず、一口に不利と言っても人によってどこまでを含むかが異なります。

①展開不利
逃げ馬少数と見ていたレースで、先行馬が逃げの手を打って前が忙しくなるパターン。
また、前がやり合うと踏んでいたが牽制し合ってスローになったパターン。
逆に、強い差し馬/逃げ馬が1頭いて他が団子のレースで、想定通り進んだ結果差し損ね/バテ差しが発生するパターン。
色々あると思います。

②トラックバイアス・馬場コンディション不利
言わずもがな、左回りが得意な馬が右回りのコーナーで膨らんだとか。
乾いたダートが~…泥んこ馬場が~…洋芝が~野芝が~…
直前の雨で発表よりも馬場が悪く~…想定より馬場の回復が早く~…

③ゲート/4角/直線不利
テンの脚が信条の馬が、ゲートで前被されて行き脚が付かないパターン。
または、差し馬で前が壁のパターン。
第4コーナーやスパイラルカーブで加速が削がれるパターン。
私たち、それはまぁ数えきれないほど見てきました。

で、実際こういう不利は次走に繋がるかというと、正直繋がらないケースが大半ではないですか?
それは言うまでもなく、「不利に弱い馬は弱い」ということ、さらに言うと「不利を受けるような馬は次走も不利を受けやすい」ということが原因です。

ここで川田騎手の騎乗スタイルを思い浮かべてみてください。
彼は基本的に「操縦性が高く、強い(勝てる)馬」の騎乗依頼しか受けません。そして腕前も確かであるから、結果的に突き抜けることも詰まることもあります。
すなわち、不利を受けることがよくあります。

どういうことか。
つまり、リバティアイランドの三冠のように、圧倒的にレベル差がある馬の場合は、アッサリ大外を回して勝ち切ります。
逆に、距離が長いという不安を抱える馬の場合、内内でロス無く立ち回ることで脚を残し、直線で弾けさせるという手段を取ります。この場合、内ラチに近い所を回ってきて直線で前が空いていれば、多少の人気薄でも持ってこれます。が、大半はそう上手くいかないため、前が詰まります。すると、無理をせず掲示板外で終わることになります。
距離が足りないケースでは、差しで結果を残した馬でもやや外目の先団を行きますが、この場合向こう正面で後ろから早めにマクっていこうとする馬にアオられて振りを食うパターンが散見されますね。

負ける馬には負けるパターンがあるわけで、それは距離不安や調子など、様々な要素が複合的に絡んでいるわけです。
でもそれって、「普通の競馬予想」と何が違うのか?ってなりませんか。

で、以上から、私としては、「前走不利」を予想のファクターに入れるのは、今回それを克服できる明確な根拠がある場合、あるいは、大穴の場合に限ると考えています。
少なくとも、前走1番人気で不利を受けて飛んだ馬が、同条件で次走アッサリ勝つなんてことはそうそう無いと考えていますし、実際そうでしょう。

「一番強い競馬をしていたのはこの馬」なんていうのもよく見かけますが、本当に強い競馬なら勝ってます。(格上挑戦で、初めから着狙いで激走した馬なんかは除きますよ?)
川田騎手とリバティアイランドで言うと、ジャパンカップは珍しく2着狙いの競馬でしたね。あれは驚きました、イクイノックスに無理に付いていこうとして垂れると予想していたので。

今週末は葵ステークス、そしてダービーと、3歳馬の注目レースが続きます。
特に若駒は、前走不利なら不利を受けた理由をこそしっかり分析していきましょう。

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