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【ビルディバイド】ディバイドバトル福岡大会フィーチャー配信を5倍楽しむための5弾+鬼滅期環境メタゲーム概説

こんにちは!そぉいです。
先日の北海道大会より、ついにディバイドバトルでも全回戦フィーチャーが公式で行われるようになりました…!!
そこで本記事では、僕なりに5弾環境を走ってきての所感をベースとした環境解説を紹介していきたいと思います。
本記事を読むことで、福岡大会に持ち込まれたデッキがどのような意図なのかを少しでも深く理解し、フィーチャー配信をさらに楽しもう!を目的としていくので、ぜひよろしくお願いします!

※本記事は僕、そぉいの主観に基づくものです。すべてのプレイヤーがこの記事の思考に基づいてデッキ選択を行なっているわけではないこと、あらかじめご了承ください。
また、記事内のデッキレシピやCS結果、各サイトへのリンクなどは特に許可なく引用させていただいております。もし記事内で紹介してほしくないなどありましたらTwitterにご連絡いただけますと幸いです。

前提認識

ビルディバイドというカードゲームの環境はこれまで以下のような認識のもと展開されていました。

1. 競技性の高いイベントが新弾発売2ヶ月後のディバイドバトルしかなく、強いデッキリストが秘匿される傾向にある
これがビルディバイドというゲームの最大の特徴だったと思います。情報伝達速度が非常に低く、何らかのチームに所属するか公認大会をサーキットしなければ最前線のメタゲームについていくことは困難。ついていけたとしてもプレイ練度や構築クオリティの差により淘汰されるプレイヤーも多く、環境の進みはかなり遅いものとなっていました。

2. 大型大会の直前にプール追加があるパターンが存在するせいで練習期間を作りづらい
まどマギBT、鬼滅SD環境がこれに当たります。どちらも環境に与える影響は微差でしたし、カードプール自体は大会以前より公開されるため問題はなかったものの、現物が手に入らない=プロキシなどでの調整を要求される=質の高い調整にある程度の条件が必要、という環境が成立してしまい、効率良い練習が行えるプレイヤーは少なくなってしまっていました。

しかし、これらの欠点はいくつかの要因により複合的に解決されることになります。
まず、競技性がある程度担保された非公認イベントの開催。今期ではフォークロCS」「キッカのお茶会(第一回)(第二回)」「臥竜杯と中規模CSが3本開催されたほか、シーズン序盤には「MKビルディバイドリーグ」「ややすこ杯」といったフィーチャーの存在するリモート大会が開催され、環境の最前線に食らいつくプレイヤーがどのようなデッキ選択を行なっているのかがある程度明確になった状態で環境が進行していきます。

また、「ややすこチャンネル」を始めとした動画メディアの隆盛や、公認大会の優勝デッキリストをまとめてくれている有志サイト「グラドミラル速報」の存在により情報を手に入れるハードルが以前よりぐっと下がっていることも大きいのではないかと思いました。
もちろん全てのプレイヤーがこれらの情報を全て追っているとは言い難いとは思いますが、断片的に手に入る情報だけでも以前よりずっと良質なものが出てきているのではないかと思います。

加えて今期の追加パックはディバイドバトルから十分間のある7/1発売の「鬼滅BT」。ほぼ1ヶ月の練習期間があるため環境的な立ち位置も見えやすく、さらには北海道・福岡の2会場開催という形式上ある程度の「答え」が公開された状態で福岡大会を迎えることができるため、あらゆるプレイヤーにとって質の高い練習が可能な状態にあったと言えるのではないでしょうか。

一方で、ビルディバイドにおけるデッキ選択理由の多くに「練度」や「情」の要素が込められているのは事実。どんなイベントも母数は散っており、様々なテリトリーと相対することになります。
上位デッキにのみ勝てるようなカウンターデッキでは分布の波に飲まれてしまうことになるため、しっかりとデッキパワーを維持することも重要な環境であることは間違いないでしょう。

それでは、このような環境下で選択されてきたデッキについて見ていきましょう!

■【サルワスール】

第二回フォークロCS(7/3) 優勝 yuu.選手

5弾環境を語る上でこのテリトリーは外せないでしょう。今弾から登場したネフェルクセスの新しいテリトリー、【サルワスール】です。
5弾フルスポイラー公開時の下馬評では「ハンドリソースも足りないし開放ターンも遅い、ブン回れば強いだけのテリトリー」とされていたサルワスールですが、ややすこ杯#2での活躍や上位プレイヤーの研究、MKBDLでのATM選手の活躍などにより、環境の中心となるに至りました。
グラドミラル速報に投稿されている7月の大会結果のうち、3割ほどが【サルワスール】の優勝という、ビルディバイドらしからぬ支配率により上位を目指すためには必ず意識しなければならないデッキの一つになっています。
白黒や赤白なども考案されたものの最終的には青白で構築されており、上記の43枚がテンプレートになっています。

このデッキが環境で存在感を強く見せる最大の要因は、開放札12枚すべてが《サルワスール》という強大な2ヒットユニットに変化することによる継戦能力の高さでしょう。事故の少ない安定性の高さはもちろん、《サルワスール》のみを対処し続けても横にいる開放ユニットは残って攻撃したり《痛み分け》の種になってしまうため、デッキギミックで有利を取れるコンセプトでなければ有利を付けることができません。

最大のネックである開放コストの重さも、《アルコリス》《キャピタルブレイカー》《ディスペア》という序中盤の高効率除去カードによってひたすらゲームを長引かせることができるため苦にならず、リソース不足の面も《ナディヤ》《新兵器開発》《ネフェルクセス》といったカードによってある程度はカバーすることができます。

2~3度テリトリーの解放を行って《ニケルティ》《アルコリス》が付いた状態の《サルワスール》を止めることは難しく、最終的に相手が《サルワスール》を除去できなくなったタイミングで一気にリソースを回収しきって盤面を制圧することによって勝利します。

【サルワスール】が環境に与えた影響は、自身がTierの上位に居座ることによる環境の低速化です。
《サルワスール》という強大なユニットを倒すため、《呪われた切札》《キャピタルブレイカー》のみならず《ディスペア》《倫理の枷》《レイホゥ》といった除去ラインの高いショットの採用率が向上。
除去ラインの高いショットが増える=ライフからの展開が強くなるので、攻撃性能が高くゲームレンジの短い【クラウディア】【メリッサ】などのデッキや、序盤に刻んで終盤に超過打点を用意する【イシュタルテ】【マルグレア】は苦戦を強いられる形となりました。
そうなるとこれらのデッキに対してブレが生じていた【ブルーム】や【メギドラグ】【バドラトス】のようなデッキが環境に台頭。いずれも【サルワスール】にある程度良い勝負を仕掛けることができるため、環境はより低速化していくことになります。

環境の構造は【サルワスール】を中心に、そのロングレンジと安定性に付き合っていけるだけの地力のあるデッキが活躍の機会を広げていく形となっています。

■【ブルーム系】

第二回フォークロCS(7/3) 3位 ウッスー選手
第一回臥竜杯(7/16) 6位 あこ選手

1弾スターターで登場し根強い人気を誇る《ブルーム》は、5弾によって得た新戦力はさほど多くなかったものの、環境的な立ち位置が良くどちらのテリトリーも強い存在感を示しています。

どちらも、除去と展開を同時に行うことによってアドバンテージ差を広げていくことができるのが魅力的。勝敗が多少運に委ねられてしまう点はやや微妙ですが、それをカバーできうるほどのカードパワーの高さがデッキの特徴と言えるでしょう。

【遊技場】は継続的に除去展開に持ち込めることから開放に大きくコストを支払わなければならない【サルワスール】に対してテンポの面で強く戦うことができます。《ルルベラ》によるリソース回復能力によって自身もロングゲームに強く、終盤まで途切れることのないリソースを押し付けていきます。
【巨塔】は《サルワスール》同様「除去しながらの二打点」という仕組みが確立しているのが強力。準備が整ってしまえば《ギアステア》連打によって盤面を荒らしながらライフを取りに行くことも可能です。

いずれも《不意の衝撃》《遅滞戦術》といったカードによって自分の得意なゲームレンジに持ち込むこともある程度容易な構築になっています。これらのカードは環境の低速化に伴い役割対象が減ってしまい投入しづらくなっていますが、ある程度の除去性能・ユニット性能が担保されていることにより観測者カードへのある種のメタとしてこれらを採用することが可能になっています。

《ブルーム》系デッキはその人気の高さから、デッキパワーの高さもありつつ母数的にもTier上位の一角を占めるデッキタイプ。まさにビルディバイドの主人公であり、5弾からの新星である【サルワスール】とは対照的に常に環境に居続ける根強さ・力強さを感じさせます。

第一回臥竜杯(7/16) 8位 774.選手
ディバイドバトル北海道大会(7/23) 3位 あーる選手

そんな中、色を足すことによってミラーマッチの勝率を劇的に改善したのが【青白黒遊技場】です。
《魂の価値》という同型戦の最強キラーカードを擁し、運ゲーになりがちだった対戦をプレイングによって改善することに成功しています。
《痛み分け》は【サルワスール】に対しても強い上、《ブルーム》を経由することで5コストで高コストのユニットにアクセスできる【遊技場】にとって構えやすい除去というだけで価値の高いカードです。

一方、《ルルベラ》をプレイするための色拘束は激しくなってしまっているため、プレイにかなり難が出てしまうのは欠点。青黒型とどちらがいいのかはまだまだ一考の余地がありそうですが、少なくとも北海道までの環境では青黒白のほうが強いようでした。

■【メギドラグ】

第二回フォークロCS(7/3) Best8 タケシ選手
ディバイドバトル北海道大会(7/23) 2位 池粕選手

【メギドラグ】も登場後からずっと環境に存在し続けている、非常に根強いアーキタイプです。
同じアサルトテリトリーという観点から考えると【サルワスール】がより安定性が高いデッキのため、その陰に隠れる形で数を減らしてしまってはいたものの、逆に観測者を減らし《落日の帰還》《痛み分け》を使って《アイオラ》を使いまわすコンセプトに転換。抜いた観測者の枠により効果の高いコマンドカードを投入するアプローチを取るようになりました。

【メギドラグ】が強く立ち回れる理由として、《痛み分け》《魂の価値》をもっとも強い形で運用できることが挙げられるでしょう。
先述の通り、この2枚のパッケージは色を足してまでブルーム系デッキにタッチされるほど環境において立ち位置のよいパッケージです。
【メギドラグ】は《痛み分け》がコンセプトカードであり、《魂の価値》は《メギドラグ》を守るためのカードとして運用できるため、デッキを歪めることなくこれらのカードを採用できます。

環境が遅くなったことにより、弱点であるショットの弱さを受け入れられるようになったことも立ち位置をぐっと押し上げている要因でしょう。
ショットが弱いために苦手だった押し付け系デッキが軒並み【ブルーム系】【サルワスール】に駆逐されているため、大型大会の終盤になればなるほどフィールドがどんどん有利になっていく、大会向きのデッキになります。

ドローも豊富でメタカードも引き込みやすく、柔軟に立ち回ることができるデッキではあるものの、ある程度相手の手札との噛み合いが要求されるのもまた事実。北海道大会で結果を残したことによりある程度意識されるようにもなるでしょうし、福岡大会では若干立ち位置が悪いかもしれませんね。
アサルトテリトリーという攻撃的なテーマでありながら先に仕掛けるプレイを不得手としているため、どれだけ我慢できるかが鍵になってきそうです。

■【火竜のアギト】

ディバイドバトル北海道大会(7/23) 優勝 37.4℃選手

さて、そんな【サルワスール】【ブルーム系】ひしめく環境で北の大地の王者に輝いたのは【火竜のアギト】でした。
「選ばれない」という強烈な効果によって【サルワスール】の《ニケルティ》や【遊技場】のテリトリー効果を潜り抜けることができるため、こちらも【メギドラグ】同様環境への立ち位置が良いデッキタイプです。

【火竜のアギト】はその特性上4枚のエースに強く依存するため、どうしても最速最適なタイミングでカードをプレイすることが叶わないゲームもあり、【居城(イシュタルテ)】【審判の神殿(マルグレア)】のような「終着点として超過打点を用意できる攻撃的なデッキ」の存在するこれまでの環境ではどうしても勝ち切るのが難しいデッキタイプの一つだったように思います。
しかし、何度も書いてきたように環境の低速化の恩恵を受けたことにより多少のブレを受け入れつつ打点形成ができるデッキとしての立ち位置を確立。上述の通りの環境的な強みもあり、見事北海道大会で優勝する運びとなりました。

今期【火竜のアギト】は序盤の除去やブロッカーにリソースを割くゲーム展開が少なくなったことにより《野蛮な晩餐》にデッキスペースを割く構築が増えたことが大きな特徴です。これにより【サルワスール】対面の後手勝率を大きく改善することができ、先手後手やライフの中身に依存しない戦い方ができるようになっています。
《ゼルヴィオス》によるウィニー掃除もいまだ強力で、特に【審判の神殿】に対して高い効果を挙げることができます。

《不可侵の穴蔵》《ワルプルギスの夜》など、まったく別角度からのカード選択も可能なアーキタイプ。持ち込むには相応の「愛」が要求されるともっぱらの噂ですが、今後も注目の集まるデッキであることは間違いないでしょう。

■【居城】

第一回臥竜杯(7/16) 優勝 マヅラ選手
6/26 Bee本舗バトルタワー店公認大会 優勝 Amatuka選手

ここからは「環境的な立ち位置は悪くなってしまった」と書いたものの、まだまだ無視できないアーキタイプをふたつご紹介します。まずは大阪大会の覇者、【居城】から。

【居城】は【メギドラグ】【火竜のアギト】に対して比較的強く戦っていけるアーキタイプ。序盤から打点を刻みながら、最後に《ダイアナス》を絡めた超過打点+リソース回収によってライフを削り取るミッドレンジデッキ。テリトリー効果によって《キャピタル》《ディスペア》をケアしながら殴ることができるため中盤以降からの得点能力は今でも高く、侮り切れないデッキタイプです。

リソース維持の難しいデッキタイプが増えたため、《カルラ》採用によるハンデス型もまだやっていけそうな雰囲気。北海道大会で【メギドラグ】【火竜のアギト】が注目されているため、実はいま一番熱いアーキタイプなのかもしれません。

■【審判の神殿】

第一回臥竜杯(7/16) 9位 すこ選手

【マルグレア】には従来からずっと使われてきていた白黒型も存在しますが、今回は青白型を紹介。
《ナディヤ》+《痛み分け》パッケージで相手の打点を止めながらリソースを維持し打点を刻み、《マルグレア》《エリザベルト》を揃えて超過打点でトドメを決めるプランが強力です。

【サルワスール】さながらのショット構成に《新兵器開発》が投入されていることで、低速化した環境にもしっかり適応。コマンド除去の強い環境なので《ヴォーパルオーリス》の採用もしっかり刺さっていると思います。

《エリザベルト》の場に出た時の能力があまりにも強力なため、バウンス除去がそこまで手痛くないのも魅力的。ゲームが伸びて8エナジーに到達してしまえば自分からも能動的に動いていくことができるため、ゲーム中何度も「デッキが強い瞬間」が訪れるのがポイント。

惜しむらくは観測者解放が弱いにも関わらず【メギドラグ】と違いできるだけ早く解放してしまいたいアーキタイプであることでしょうか。素早いターンでの解放を安定させるには観測者の投入が必要ですが、デッキスロットを圧迫してしまうカード選択には向かないアーキタイプですし、かといって事故率を引き上げるわけにはいかない、という問題も抱えています。無理をしない範囲でうまく立ち回っていきたいところです。

その他

ここまでメタゲーム上多く存在している、いわゆるTier上位に位置するデッキを6種紹介してきましたが、ビルディバイドにはまだまだたくさんのデッキタイプが存在します。

第二回キッカのお茶会(7/10) 4位 すぱす選手
第二回フォークロCS(7/3) Best8 あそこの人選手
第二回フォークロCS(7/3) Best8 秋葉迷彩(曹長)選手
7/2 ホビーステーション仙台駅前店公認大会 優勝 キリサメ選手

今回紹介できなかったデッキもいずれも負けず劣らず強いアーキタイプですし、ビルディバイドはその性質上「自分の極めたいアーキタイプを極める」という戦い方も可能なゲームなので、あらゆるテリトリーが環境に存在しうると言っても過言ではないでしょう。

とはいえ、今環境はこれまでのビルディバイドの環境の中で初めて「メタゲーム」の概形がくっきりと見える環境であることは間違いありません。しっかりと強いデッキが何かを見定め、意識して自分のデッキやプレイングを磨いていく必要のある環境です。

果たして福岡大会で活躍するのはTier上位のデッキなのか、はたまた磨き鍛え上げられたまだ見ぬ刃なのか。
今からフィーチャー配信を見るのが楽しみで待ちきれませんね!

長くなってしまいましたが、今回はここで締めさせていただきます。この記事が、福岡大会フィーチャー配信を観戦する際の一助となれば幸いです。
ここまでお読みいただきありがとうございました!


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