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【#CosmicCardGame】第一回公式大会使用「トリンティア」解説

0.はじめに

こんにちは!そぉいです。

今回はついに行われたCosmicCardGame第一回公式大会にて使用したトリンティアコントロールの解説です。

またトリンティアかよ、って感じなんですが、前回とはまた異なる「結論」に辿り着いたので改めて記事にしています。

大会の結果についても、自身はいろいろ振るわず1-2でしたが、40枚全く同じリストを持ち込んだ池粕(@ikekasu_428)が見事優勝!

なんとか面目は保てたかな~、というところで今回記事を公開する運びとなりました。

本記事はCCGをプレイしていない方が読むことを想定し、できるだけ丁寧に書いていますが、全体的にわかりづらい点などはもちろんあると思います。もし記事内容について気になる点があればお気軽にX(旧Twitter)などでお声がけください!

それでは以下より解説に入ります。


1.環境概説

1-0.CCGというゲーム

これまでの解説記事でもたびたび書いてはいますが、改めてCCGというゲームをご存知ない方向けにCCGというゲームのシステムと特徴について説明します。

CCGは、端的に言うと「デュエマのようなマナシステムがあるポケカ」です。ポケモンをプレイするのにも、サポートやグッズを使うのにも、毎ターン1枚ずつ増えるマナを消費する必要があります。カード使用にコストがかかりゆっくりしたゲームになる反面、早いターンの決着が少ないのでどんな対面でもある程度やりたいゲームプランを遂行できたり、「逃げる」に相当する行動によってリソースを失うことがないため比較的自由にカードを動かせたりするのが特徴です。

マナを増やす手段として共通で許されている行動が、ターンに1回「手札のカードをマナゾーンに置く」(デュエマ同様)か、「山札の一番上からマナゾーンに置く」かのどちらかを選べるというもの。この「手札か山札上のどちらかから選べる」というシステムにより、手札に残したいカードがある場合は山札から、山札の中に引きたいカードがある場合は手札から…といった駆け引きが生まれます。

もちろんそれ以外にもマナを増やせるスキル(ポケカでいうところの「特性」)やサポート、グッズもあるので、めちゃくちゃ間伸びした展開になるというわけではないです。むしろこのマナブーストカードをどう運用するかによって自分でデッキスピードを可変させることができ、「相手を追い抜くためにリソースをマナに変換して攻撃する」「いったん展開が落ち着いているので山札や手札にリソースを残すべくマナブーストをやめる」といったプレイ介入要素が存在するのも魅力です。

また、CCGはマリガンシステムが非常に強いのも特徴です。初手は6枚、先攻ドローあり。ゲーム開始時に1度だけ手札の引き直しを行えるのですが、その仕様は「手札に好きな枚数カードを残し、残さなかったカードを山札に戻してシャッフルした後、6枚になるよう引き直す」です。ゲームプランに絡めたいカードをかなりの確率で引き込めることから、ある程度デッキ構築が歪んでもゲームに再現性があるので構築の練りがいが大きいです。

さて、ここまで他ゲーの要素を用いてCCGを紹介してきました。これらの情報を念頭に置いた上で、まずはリリース〜大会当日に至るまでの環境変遷についてご紹介します。

※以下に記す環境変遷はあくまで自分の所属するコミュニティ内でのメタの変遷であり、あまりにプレイヤーが少ないことからメタゲームの動向について記したものではないことにあらかじめご了承ください。

以下からはCCGの用語も用いてゲームを解説していきます。CCGをプレイしていない方は下記のように置き換えてご覧ください。

「EN」…デュエマにおける「マナ」
「ロボ」…ポケカにおける「ポケモン」
「アイテム」…ポケカにおける「グッズ」
「パーツ」…ポケカにおける「ポケモンのどうぐ」
「オペレーション」…ポケカにおける「サポート」
「ライフ」…ポケカにおける「サイド」。ただしCCGはロボが倒された側がライフを取ります(倒されたロボはENに入ります)。ライフは4枚からスタート。
「Bスキル」…ポケカにおける「わざ」。カードに赤背景で書いてあるスキルのことです。
「Sスキル」…ポケカにおける「特性」。こちらはカードに青背景で書かれています。
「交代」…ポケカにおける「逃げる」

また、便宜上冬コミのCCG-01リリース〜夏コミまでを「CCG-01環境」ないし「01環境」、夏コミのCCG-02リリース以後を「CCG-02環境」ないし「02環境」と呼びます。

1-1.CCG-01環境

CCG-01環境は……というか現在に至るまで、CCGというゲームの環境は2枚のエースによって定義されています。

まず一つが、「最強の盾」《トリンティア》。

「ネオヒール」によって毎ターン600回復。《バイパーシールド》や《オネストシールドα》というダメージ軽減カードを使うことで最大800ダメージまでを無に帰すことができます。

このカードの高い耐久性能を活かしゲームを遅延させ、相手のデッキ切れを狙うコントロールデッキが非常に強力で、脇を支えるサポートカードも充実しています。

1ターンに何の補助もなく・ノーデメリットで900以上の打点を与えられるカードはほぼ存在せず、《トリンティア》を突破するためには多大なリソースを要求します。しかし、《トリンティア》を突破するために手札やENを増やす行為はすなわち自分のデッキを減らす行為であり、かなり効率よく殴らなければ自分の首を絞めることに直結します。

もう一つは、「最強の矛」《キュール》。

デメリットを無視できれば唯一なんの補助もなく900打点を出せるカードであり、火力アップ系のカード(以後「パンプ」とします)を織り交ぜれば一撃で《トリンティア》を倒し切るポテンシャルのあるカード。

《トリンティア》の耐久性能を貫通できるほどの攻撃性能なので、もちろんそれ以下の一般ロボに対しては絶大な制圧力を誇ります。

ポケモンカードは「にげる」を行うと攻撃のためのエネルギーを失いますが、このゲームは"EN(マナ)を支払うだけ"なので、次のターンになればリソースは戻ってきます。ゲーム終盤になれば《キュール》を2枚用意して「交代」を使うことでデメリットを帳消しにすることは容易です。

《トリンティア》を突破したい《キュール》はリソースを大きく伸ばして一撃突破を狙いますが、リソースを大きく伸ばすとLOに近づいていくためバランスを取る必要がある……しかし、《トリンティア》側も少ないリソースの中で相手の攻撃を凌ぎ切るのは難しい……限られたカードプールの中でお互いの戦略が噛み合った結果、この2デッキは非常に高いバランスで均衡を保つことになります。

そのほかにもこの間に割って入るデッキは複数あるのですが、今回の構築では「《キュール》と《トリンティア》の対立構造が前提にある」ということが重要なので、そこに絞ってお話を進めていきます。

1-2.CCG-02環境

CCG-02がリリースされて最もインパクトの大きい変更は、《イスチナ・バレット》の登場でした。

《キュール》から容易に1100打点が出るようになったことで、中型ロボを並べて火力とするテーマはほぼ死滅。より《キュール》優位が築き上げられます。

《イスチナ》追加による影響は《トリンティア》対面においても大きいものでした。無限に使える200パンプである点はもちろんのこと、"ある戦術"の強化に繋がっていたからです。その戦術とは、《メルフィ》を使った逆転LOプラン……通称「メルフィジャミング」

このゲームにおいて、「相手の山札を能動的に削る手段」は《ドジっ子ユウカ》しか用意されていません。そこで、自分の山札を先に0枚にして《ジャミング》をプレイし、《メルフィ》の「グランテッドボウ」で《ジャミング》を山に戻すループを開始することで、自分の山札が絶対に切れない状況に持ち込めるのです。あとは、《ENサルベージャー》などを使って《メルフィ》を出し続け、相手が《メルフィ》を倒し切る前にデッキがなくなって勝利します。

この行動自体は01環境から存在しており、相手のライフを取る目的で行動しない《トリンティア》に対し、概ね山札10枚ほどの差を捲ることができる手段として有効ではありました。しかし、相手も《メルフィ》で山札を回復し続けた場合千日手となってしまうため、(大会における時間切れルールを考慮したとしても)序盤に十分ライフを取れていないと意味のない行動と考えられていました。

しかし、《イスチナ》登場後は事情が一変。盤面に《イスチナ》がある状態で「メルフィジャミング」を開始すると、相手のデッキに《メルフィ》が入っていても毎ターン200ダメージを与え続けることによって相手の《メルフィ》を撃破し逆転LOを遂行できることが判明しました。

これを受け《キュール》デッキに《メルフィ》《ジャミング》を少量搭載し、《トリンティア》デッキにカウンターを仕掛ける戦略や、《トリンティア》に《イスチナ》を入れることでミラーマッチの相性差を改善するアイデアが開発され、メタゲームは大きく進展することとなります。

調整中に候補に挙がったリスト。《パーツブレイカー》を入れるかどうかは諸説ある

僕の中ではここで、《トリンティア》と《キュール》の相性関係が大きく《キュール》に傾くことになります。ただでさえ《イスチナ》の登場で《トリンティア》が撃破されるパターンが増えていて(これ自体はデッキ相性に大きな影響を与えてはいませんでしたが)、さらに大きくデッキを歪めずに有利なデッキ構造を生み出せるのですから。

ここで重要なのが、《メルフィ》《ジャミング》はミラーマッチにおいてあまり有効にならないという点。《キュール》のようなちゃんとライフを取るデッキが大会においては最大手と考えられ、ミラーマッチが十分発生するであろう状況で、デッキを弱くしながら母数の少なそうな《トリンティア》をメタるべきかは不明です。

しかし、《トリンティア》を通常の構築で突破するのはかなり難しい……というか、運が絡む、という結論に達しました。《トリンティア》側もCCG-02において《食いしばり》という非常に強力な追加を貰っており、そこをうまくケアできるよう立ち回るのはかなり難しいためです。

最終的に、大会環境においては「トリンティアをメタれないキュール→トリンティアをメタったキュール→トリンティア→トリンティアをメタれないキュール」の3すくみを軸にメタゲームが進むと考えていました。

この関係性を打ち破る上で重要なカードが《リーゼル・ツヴァイク》です。

《イスチナ》を一撃で倒せることや、そもそもの自身の《イスチナ》との相性の良さ、ゲームに絡むことによって複数枚取りのプランをチラつかせられることなどから、さまざまなデッキに採用が検討されていきます。

個人的にはこのカードが02環境の覇者カードだと思っています。複数体ロボを展開してのゲームメイクが主流となってきた環境において冷静にマジレスを突き付けるカードであり、相手の行動にある程度リスクを付けることができるカードだからです。

《イスチナ》は間違いなく環境に大きな変化をもたらしたカードですが、それと同時に《リーゼル》に強く押さえつけられてしまうカードでもあり、《イスチナ》を軸にゲームを組み立てる危険性を示唆する部分となります。

キュールも、トリンティアも、他のあらゆるデッキも《イスチナ》を採用したタイプの考察が進んだことにより進展するはずだったメタゲームも、《リーゼル》の存在により「《イスチナ》を絡めると《リーゼル》に勝てない、《イスチナ》が絡まないと《トリンティア》に勝てない」のような課題を抱えることとなっていきます。

※補足:《トリンティア》と《キュール》以外のメタゲーム
前述したように《リーゼル》は間違いなく環境の中心だったのですが、《リーゼル》を軸としたデッキについてはそこまで強くないという結論が出ていました。
《リーゼル》は火力が800である都合上1200のロボを倒すのにかなりリソースを要するのですが、そのリソースを吐き出した後に《ホムラ》などのショックロック戦略を突破できないことが要因です。

《キュール》の素晴らしいところは陸戦であるがために1200のロボを倒すための選択肢が豊富に用意されているところ。柔軟にプランやカードを切り替え、その補助として《リーゼル》を据えるのは悪くないのですが、逆に《リーゼル》を主役に据えるとデッキの柔軟性が大きく損なわれてしまうため、そのようなデッキを構築する流れにはなりませんでした。

1-3.大会環境と今回の構築に至った経緯

大会で想定していた環境は、「トリンティアをメタったキュール」が最大母数になる環境です。キュールに《イスチナ》が少量と《リサイクルジャンク》あるいは《メルフィ》+《ジャミング》のパッケージが入ったタイプ。

これに対してトリンティアがぶつかる形になるので、そういった少し軸をずらしたキュールを想定して対策を考えました。

ショック状態=次のターンBスキル(わざ)の宣言ができなくなる状態

トリンティアに対して《ショックバズーカ》を絡めた戦術が有効であることは前期から議論されていたのですが、何度か試した結果《ショックバズーカ》+《ベリトリア》や《ショックバズーカ》+《リーゼル》のような形はボツに。

理由はめちゃくちゃ単純に、キュールやリーゼルを軸にしたデッキに勝てないからです。ただでさえ《チェインアンカー》でロックを抜けてくるのに、《イスチナ》で火力を出しやすくなったことにより、もともと「動けないターンをいっぱい作ろう!」というコンセプトだったものが「動けないけどいったん《イスチナ》でダメージ蓄積させて後で《リーゼル》で複数枚取ろう」に変わっていてめちゃくちゃ相性不利になっていました。

もちろんショックロック側も《リーゼル》《クイントバレット》でケアできるのですが、いろんなカードを要求するようになると今度は《ユウカ》によるRNGが開幕。再現性の低さによる運負けが際立つようになってきており、なんならトリンティアにも勝てなくなる始末。

「再現性をいかに高めるか」という観点に至った結果、"メタられることを前提としたトリンティア"を構築するのが一番強いのではないか、という結論に至りこのような形になりました。

ちなみに、実際の大会環境はショックロック+《剛力の咆哮》のようなパッケージが大手デッキだったので、ここは少し読みを外しています。というか環境に《イスチナ》がいなくてめちゃくちゃ驚きました。

ただまあある程度読みが外れてもデッキが強いのでちゃんとカードが引ければ間に合うとは思っていました。

2.デッキリスト

以下が今回使用したデッキリストになります。

《ヘリンガル》 x 3
《ビクトリー1》 x 3
《トリンティア》 x 3
《リーゼル・ツヴァイク》 x 1
《メルフィ》 x 2
《耐久設計図》 x 2
《パーツブレイカー》 x 3
《ENサルベージャー》 x 3
《リペアパック》 x 2
《リサイクルジャンク》 x 2
《エスケープゲート》 x 3
《ドジっ子ユウカ》 x 3
《ジャミング》 x 2
《勇気の体現》 x 2
《食いしばり》 x 1
《ハートシールド》 x 2
《バイパーシールド》 x 2

「トリンティアをメタるキュール」の存在を考慮し《リーゼル・ツヴァイク》を採用。それに伴ってゲームプランが拡張されたので、従来トリンティアでは採用の少なかった《ENサルベージャー》を軸にデッキを構築しています。

大会が終わった今だと《リペアパック》→《チェインアンカー》のほうがよかったかもと思います。環境的にあんまりショックロック系のデッキはいないか、いたとしても《バイパーシールド》+《リペアパック》でズラしてやるか《パーツブレイカー》が絡めば山を削り切れる印象だったのでまったく意識してませんでした。

3.デッキ解説

トリンティアというデッキタイプについては以前も解説を書いたので、詳しいことに関してはそちらを参照。テンプレートについては本構築と異なりますが、カード採用の意図はほぼ同義です。

交流会で使用したリストでは《ホムラ・イサミネ》を採用していましたが、今回はサブプランとして《リーゼル・ツヴァイク》を採用しています。

《リーゼル》の採用理由や使い方は後述するものとして、交流会時点からの構築の変化について。

・《桜華》スタートへのメタを全抜き

以前の構築で《アーテ・メイド》を採用していたように、先3「桜花雷閃」は非常にトリンティアを苦しめる展開だったのですが、本構築ではそれに対するメタを全抜きしています。その最大の理由は《食いしばり》の登場です。

「先3桜華」は「対処できないうちにライフを1枚取り、有利にゲームを進める」ことを目的とした行動です。相手の後ろ展開を誘い《クイントバレット》を当てたり、ダメージ調整して《スナイプ》《バースト》での2枚取りでコスパ良くライフを詰めるためのアイデアでした。

この行動は「ライフを5点手早く取る」という目的においては優れていますが、《食いしばり》の登場により多くの場合において《エスケープ》との組み合わせで"6点目"を要求することができるようになり、《桜華》による損失をチャラにすることができるようになったのです。

もちろんトリンティア側が先手であればもともと《桜華》絡みの展開は重くないので《食いしばり》は不要ではありますし、《カゼナギ》が登場したことでそこまで頼りになるわけではないのですが、それでも取りうるプランが増えたこと、枠圧縮の可能性が示されたことは非常に大きいです。

また、そもそも《アーテ・メイド》自体が《イスチナ》の影響で撃破されやすくなっているのも懸念点でした。

これにより《桜華》対策のスロットをデッキの動きを純化させる方向に回すことができ(例えば《ジャミング》の採用など)、より柔軟なゲームプランを構築することができるようになりました。

・LOミラーを強く意識

詳しくは後述しますが、本構築ではLOミラー(というかトリンティアミラー)を強めに意識して《ジャミング》《ENサルベージャー》《リサイクルジャンク》を投入しています。

これらのカードはトリンティアとしては直接ライフを守ることに繋がりづらいカードなので優先度低めですが、「メルフィジャミング」の展開を見据えての搭載です。

個人的な"大会のメタゲーム"の予想として「LOプラン重めのデッキが多数になる」とはまったく思っていなかったのですが、その上で「あらゆるデッキと当たる可能性があること」を考えると勝ち筋を一つに絞らないマルチな構築を目指すのが一番強いと考えたのでこのようなカード選びになっています。

4.採用カード解説

《トリンティア》

コンセプトなので割愛……と言いたいところなのですが、01環境と現環境ではこのカードに対するウェイトが結構違うのでそこについて先に書いておこうと思います。

まず、このカードの目的は相手の攻撃を受け流してゲームを遅延させることです。このカードを守り切って相手のデッキ切れを待つのが基本戦術になります。

そのため、7ENで《バイパーシールド》とセットでプレイして8ENで「ネオヒール」開始……が今までの動かし方だったのですが、現環境ではやることがない時にとりあえず着地させて「トリンティアスピア」を選択できるようにする試合が増えています。

今までこのようなプレイを取らなかった理由は、ひとえに相手のライフを削る意味がなかったからです。「トリンティアスピア」はめちゃくちゃEN効率の良い行動ですが、これ一つで相手のライフに5点入れられるほどの火力はありません。中途半端なゲーム展開になってしまう可能性が高く、さらに《オーバークロック》での自主退場を利用してライフから更なるパンプを拾われ負け筋を作ってしまうことから悪手とされていました。

しかし、本構築では後ろに出てきた《イスチナ》を《リーゼル》で撃破するプランの存在から、序盤にライフプレッシャーを与える有用性が増しています。そもそも《イスチナ》の存在があることからライフを削ろうが削るまいが相手のパンプ枚数は足りているので、ライフを削るデメリットはかなり薄れています。

その上で、《トリンティア》を倒すためのカードが《オーバークロック》に寄っていることも「トリンティアスピア」の有効性を増しています。「トリンティアスピア」と《オーバークロック》でダメージが蓄積したところに《リーゼル》を着地させてライフを取り切る動きがカウンターとして非常に強いためです。

ライフを守るだけでなく、ライフを攻めることもLOに近づくチャンスになるという点を念頭においたプレイが求められるカードと覚えておきましょう。

《リーゼル・ツヴァイク》

今回構築のサブプランであり、02環境の覇者カードです。

役割は主に2つ。ミラーにおける《メルフィ》の破壊と、ビート対面での《イスチナ》の破壊+《トリンティア》と組み合わせてのライフレースプランの遂行です。あらゆるデッキが《イスチナ》《オーバークロック》を搭載できるようになった現環境において、このカード1枚が与える影響は非常に大きいものとなっています。

《ホムラ》と違い、自分の山札が少ない状況から強引に相手の《メルフィ》を縛れるのも良いです。《メルフィ》を後ろに出しておいて《トリンティア》で待つ、みたいなプレイを許さないのも魅力です。

ただ一方で《ホムラ》に対して《ホムラ》で返す、みたいなことができなくなったのはデメリット。「メルフィジャミング」を止めるだけであれば《ホムラ》の方が使い勝手は良く、環境によって入れ替えたい枠ではあります。今回は雑多なメタゲームを想定しより役割範囲の広いこちらを採用しています。

このカードを絡めなければならないゲームでは山札やライフを含む全てのカードに触っているはずなので、《耐久設計図》を使うことを込みにした1枚採用です。

《メルフィ》

強力なオペレーションを複数回使い回すために入っています。現環境においては《イスチナ》などシステムカードが多いので「グランテッドボウ」の後ろ狙撃も非常に強力で、山札枚数が足りている場合は積極的に相手の盤面にダメージを散らしていきます。

この枠は多ければ多いほどミラーに強くなるのですが、今回はミラーもそこまで多くない、でも発生するかも……という不安込みでこの枚数にしました。このカード自体が《イスチナ》の被害を受けており、200+「リーゼガトリング」800で一発で落ちてしまうことから盤面に複数回は出しづらく、ミラー以外を考慮すると枚数を減らしたかったのですが、しょうがないですね。

2枚あれば概ねゲームに絡みますし、今回の構築では《ENサルベージャー》を採用しているので1枚触れれば2回以上のプレイは容易です。なんなら1枚にしたいぐらいですが、本構築は2積みのカードが多く《ENサルベージャー》を無駄遣いできないのでこのカードの枚数を2枚にすることでゲームに絡めやすくしています。

《リサイクルジャンク》でデッキに戻すことを考慮しバージョンを分けています。このカード以外にもバージョン分けできるカードは存在していますが、最低限このカードだけ分かれてればよいのでそうしています。

《へリンガル》《ビクトリー1》

充填初動。02環境より充填ではなく相手のリソースを削ることでLOプランの補助ができる《ミヅハ》という新戦力も登場しましたが、調整過程で《クレアモルテ》にめっちゃ弱いことが発覚したので抜けました。

逆に相手に《ミヅハ》を置かれた場合、攻撃のためのENが1である《ビクトリー1》が頼りになります。《ミヅハ》にハメられやすい構造のデッキなので、どちらかがゲームに絡むようここは枚数削らず最大枚数としました。

《耐久設計図》

《メルフィ》《トリンティア》に触りながらライフを確認するために入っています。

本デッキにおけるこのカードの本質はライフの中身を確認することです。いわゆる「暇サーチ」(いまやることないしEN余ってるから有効牌に変えちゃえ)はデッキ枚数損ですし、手札チャージするためのカードが手札から1枚減るのでただ山札リソースを1枚失うだけではない大きな損失を生み出してしまいます。

ミラーにおいてのみ《リーゼル》を最速で引っ張ってくるのに使いますが、基本的にはギリギリまで引っ張って引っ張って、使うべきタイミングでだけ使うようにしています。

《リペアパック》

痒いところに手が届く、あると便利な1枚。使い勝手を言語化するのはかなり難しいんですが、「1回だけ《バイパーシールド》」みたいな感じです。

序盤から終盤まで強力ですが、最大の効力を発揮するのはトリンミラーで先に山札が尽きて「メルフィジャミング」している時だと思います。《バイパーシールド》を《メルフィ》に装備して耐久モードに入るんですが、この時《リペアパック》が絡むと相手の山札を1枚多く削れます。

あとは《桜華》展開への一応のメタだったり、《イスチナ》や《リーゼル》による2枚取りをケアしたりに使えます。

使う局面がピンポイントで、ゲーム中2度以上は訪れないがちなので2枚。ここは自由枠です。

《ENサルベージャー》

元々要求ENがシビアなトリンティアにおいては採用が少なかったカードですが、1枚目の《トリンティア》が倒されるまでのスピードが以前より格段に高いことから、2枚目の《トリンティア》を拾う手段として最も効率が良いカードと考え投入されています。

他にも《メルフィ》《リーゼル》も複数回使いたいカードなので、これらすべてを枠圧縮することができる強力な1枚です。

このカードを採用したことで特定の対面へのメタカード(特に《リーゼル》と《食いしばり》)を投入できている、という側面もあり、雑多なデッキが多い=勝ち手段を多角的に用意したい大会環境においては非常に有用なカードだと言えるでしょう。

《パーツブレイカー》

お守り。《メタルスレイヤー》《ショックバズーカ》《クイントバレット》はもちろん、さらに《カゼナギ》という強烈なメタカードが登場したのでどうしても削れなかった枠です。

また、ランデス・ハンデス系デッキが《バイパーシールド》を装備してきた時に打開できなくなる可能性があるのでそこをこじ開けるためにも入っています。

本当に稀に自分の《ハートシールド》を壊して自爆させることがあります。

《リサイクルジャンク》

基本はミラーにおいてのみ使うカードです。ミラーにおいて自由に行動できるのは「山札が3枚以上ある時」だけで、山札の枚数が2枚になったら《ユウカ》をケアし続ける必要があります。その機会をより多く生み出してくれるのがこのカード。

当たり前っちゃ当たり前ですがデッキ枚数の回復=プレイできるターン数の増加であり攻撃回数の増加です。攻撃回数が増えると《リーゼル》《メルフィ》が多く動けるのでその分で有利を作ります。

《ジャミング》下で相手とデッキ枚数差を付けられるのも大きな魅力。このカードを有効にしたいときはパーツをENに入れすぎないように注意。

2枚にしている理由は対面解説のミラーの項で後述します。

《バイパーシールド》

生存性能を高めるためのカード。《トリンティア》が《リーゼル》《クレアモルテ》を流せるようになるのは流石に強い。

以前は《トリンティア》をちゃんと3回押しつけられるように《へリンガル》に装備させたりみたいなパターンもあったんですが、HP保っててもあんま意味ないなーとなったのでちゃんと勝つためのカードに装備させていきましょう。

無限に欲しいカードなので3枚。

《ハートシールド》

従来の《オネストシールドα》からこちらに変更。《リーゼル》を4枚目の《トリンティア》みたく使いたい場面があるためです。

《オネスト》だと防げない《イスチナ》も、このカードであれば耐久をダイレクトに伸ばすことで強引に耐えることができます。他にも、《キュール》系デッキに対して《メルフィ》で《ユウカ》を山に戻したい時に1300の状態で盤面に置いておけるので便利とか、細かいところで今の環境に合ったカードになっています。

基本《トリンティア》には《バイパーシールド》を優先するので、ゲーム中ギリギリ絡む枚数の2枚で。3にしてもいい気もします。

《ドジっ子ユウカ》

最強カードです。あらゆるデッキがRNGからの脱却を目指しているのに触りにくい場所にランダムに2枚カードぶっ飛ばせるのはめちゃくちゃ強力な戦術と感じます。

とはいえこのカードで相手のエースやパンプを奪って勝つみたいなシチュエーションは起きにくくはなったので、できるだけ序盤のターンにプレイして相手の時間を奪っていきたい。5〜6ENでは最優先でプレイしたい1枚です。

《エスケープゲート》

相手のプランを破壊するカード。このカードに関しては今までとあんまり使い方は変わらず、被弾して次のターンに死にそうなカードを帰宅させます。

《トリンティア》で受けてこのカードで帰宅して出し直して「トリンティアスピア」する動きが相手のライフにもリソースにもプレッシャーを与える行動で強いです。

《ジャミング》

ミラーでの有効牌。このカードをうまく使えるかがミラーの勝敗を分けるといっても良い。

ミラーでは相手に《エスケープゲート》《ジャミング》を使われたくない時にプレイします。終盤は「メルフィジャミング」プランに絡む(自分が山少ない場合のカウンターになるし、相手が山少ない場合はカウンターされないためのカードになる)ので、お互いに《ユウカ》が絡むゲームになっているときは大切に使います。

ミラー以外では《ENサルベージャー》などの都合でENが足りてない時にいったん相手のパンプを止めてターンを稼ぐのに使います。《メルフィ》を前に出して《ユウカ》を山に戻したい!みたいな時にこのカードが添えられているとライフを取られづらくて良いです。

3枚積んでもいいんですが、枠の兼ね合いで2枚。3枚にするとミラーに強くなりますが他に弱くなり、減らすとミラーめっちゃキツくなります。ギリギリの枚数な気がします。

《勇気の体現》

追加の防御札。使い方は以前と同じく、ゲームが長引いた時に選択する1枚。

《食いしばり》の存在や「トリンティアスピア」を選択するパターンが増えたことからあんまり構えられないのですが、1枚見せると相手にケアさせ続けることができるので入れ得カード。

《食いしばり》と合わせてゲーム中どっちか1枚使えれば実質ライフ6点ぐらいにできるので楽かな〜ということで、そちらと枠を分け合って2枚に。

《食いしばり》

CCG-02からの唯一の新戦力。見せることによってケアを強要する枠であり、実はそんなにプレイ頻度は高くないです。

このカードがゲームに絡むことはほぼなく、だいたいこれ撃っても負けてるパターンが多いんですが、お互いにライフレースになっているときにケアを怠った対面に対して刺したりするパターンで強いので念のため採用。《勇気の体現》と違ってケアしやすいカードなので、あまり頼りすぎないようにはしています。

5.基本プレイ解説

5-1.デッキのプランについて

このデッキの目標は、「相手の山札が0枚になるまで耐えること」です。《リーゼル》が加入したものの、最終的な目的はそこになります。その過程で取れそうなら相手のライフを取り、「《イスチナ》などのシステムを立てると《リーゼル》が通っちゃうよ〜」という圧を掛けるような戦い方になります。

序盤は《へリンガル》からのスタートを目指します。2EN、4ENで1回ずつ「緊急充填」して、6ENをパス(ここが《ユウカ》だと最高)、7ENで《トリンティア》《バイパーシールド》と動くパターンがベストです。

初動が《ビクトリー1》の場合は6ENに《トリンティア》を設置して交代→7ENで《バイパーシールド》が綺麗な動き。あるいは相手のデッキが《バースト》とかを構えなさそうならギリギリまで引きつけて《トリンティア》を着地させても良いでしょう。

中盤は《トリンティア》を守りつつ《ドジっ子ユウカ》でリードを作ります。余裕がありそうなら《メルフィ》を絡めて《ユウカ》を山に戻し、4〜5回ぐらい引き込めると強いです。

目標ENは《エスケープ》+《トリンティア》+「トリンティアスピア」の11。ここまで順当に伸ばせれば、以後は何ターンかENチャージしないターンが続いても大丈夫です。この後は《ユウカ》+「ネオヒール」の13、《リーゼル》+《ハートシールド》+「リーゼガトリング」の15が節目になりますが、自機が撃破されることで得るリソースで十分到達できる範囲なので、まずは11を目指すのが良いと思います。

ただし伸ばす際はできるだけ手札チャージを続けます。デッキ内に有効牌が多いデッキなので、山札チャージはすごく損です。

5-2.マリガン

優先度順にマリガンします。
上から順にチェックして、満たさないものを流します。

・確定キープ
《へリンガル》《ビクトリー1》《リーゼル》《メルフィ》

・充填初動があればキープ
《トリンティア》《ユウカ》《耐久設計図》

・《トリンティア》があればキープ
《バイパーシールド》《エスケープ》

・上記があれば追加でキープ
《リサイクルジャンク》
(必要な対面には絶対に絡めたく、不要な対面だった場合手札チャージの種になるため)

また、《リーゼル》《メルフィ》《耐久設計図》と《ハートシールド》はセットキープです。他にも状況に応じて柔軟にマリガンは変えていますが、基本的にベースになるのは上記のような形だと思います。

6.対面解説

6-1.キュール

調整中に想定していたリスト

対キュールは今までとほぼ変わりません。《トリンティア》で耐えながら合間で《ユウカ》《エスケープ》を挟み、使ったオペレーションを《メルフィ》で戻すのがメインのゲームプランです。

《クイントバレット》《リーゼル》が絡んでの2枚取りや後ろを狙っての《食いしばり》ケアがあるので、そういったケアカードが見えているときは序盤に出した充填初動が落ちるまで《トリンティア》をプレイするのを渋ったりもします。

《イスチナ》を抑制するためにライフにプレッシャーをかけたい場面があるので、少しENを強めに伸ばすことを推奨します。「トリンティアスピア」400+「リーゼガトリング」800で《キュール》を突破できるので、ダメージの入った《トリンティア》を返しつつ《リーゼル》を準備できる17ENぐらいまで伸びると安泰。

最終的に《キュール》を品切れにさせることでも勝てるので、ENチャージや《ユウカ》の出目が良い場合は積極的に《リーゼル》を動かして品切れを狙うのもアリです。

《リサイクルジャンク》《耐久設計図》と、終盤の《リペアパック》、2枚目以降の充填初動あたりが手札チャージの候補。「緊急充填」もがっつり使いたいので、《ENサルベージャー》はキープし続けることを推奨。

6-2.レヴナント

調整中に想定していたリスト

《キュール》が入ってない陸ビート。これは相手のロボを倒すと《レヴナント》に動く隙を与えてしまうので、基本はロボを倒す必要は薄いです。

プランの都合上相手はENカツカツなはずなので《イスチナ》は入っていないことが多いですし、《リーゼル》絡みから火力を出すのも難しいと思うので、できるだけ2面展開して即死パターンを回避したいところ。これらのカードを絡めてこない=相手の盤面は硬め=ライフを取りづらいのでLOに向かって最速で走る、って感じですね。

《バースト》が絡んで最大4枚取り+《食いしばり》ケアされることがあるので、相手が21ENぐらいになり始めたら気をつけます。《ジャミング》《勇気の体現》が非常に有効なので、終盤はこれらのカードを拾えるように進行します。

6-3.クレアモルテ

調整中に想定していたリスト

《剛力の咆哮》が絡まない限りは火力不足なはずなので、基本は普通に立ち回るだけで有利です。《クイントバレット》での複数枚取りが負け筋になるので、それをケアしていきましょう。

盤面に多くロボを広げるアーキなので、「トリンティアスピア」で削って「リーゼガトリング」の展開が結構有効です。なんなら《ハートシールド》の絡み方によっては普通にダメージレースで勝てたりします。《耐久設計図》で早めに《リーゼル》を拾っておくと吉。

《メルフィ》は負け筋になりやすいのと、絡めなくても相手のデッキを削り切れることが多いので基本は触る必要はないです。

6-4.ホムラ

調整中に想定していたリスト

相手に《ユウカ》が入っていない場合、ターン数的にこちらが有利です。相手は打点数不足なはずなので、LO対面とやるのと同じように序盤からできるだけ山札枚数を維持し、少しずつパーツを集めて勝ちます。《ユウカ》が入っている場合は五分寄りですが、その分パンプの枚数が少ないはずなので注意して立ち回れば難しくはないです。

《イスチナ》の加入により相手のデッキ内ロボの平均HPが下がっているので、この対面においても「トリンティアスピア」→「リーゼガトリング」の展開が有効です。相手のロボを減らして速度を落とし、終盤に《メルフィ》で《ユウカ》をごっそり山に戻して連打して勝ち、みたいなパターンが多いです。

《剛力の咆哮》+《クイントバレット》パッケージが入っていることがありますが、ことこの対面に関しては全然気にせず2〜3面展開しましょう。むしろそこまでENを伸ばさなきゃいけない状況に相手を追いやれていれば相手の手札も透けやすいですし、《バイパーシールド》《勇気の体現》を合わせるのも容易です。

6-5.ミヅハシエス

調整中に想定していたリスト

こちらのENを削る(ランデス)ことで「緊急充填」を強要しLO勝ちを狙ったりENに主要パーツが落ちたところでエースを切り替えてリソース差での勝利を狙ってくるデッキタイプです。

最速で《ミヅハ》が動いてくるパターン以外であれば普通に《メルフィ》まで間に合って山枚数足りるので、最速《ミヅハ》のパターンだけ注意。

8ENで《トリンティア》が前にいれば、返しに《シエス》が絡んでENを3枚削られても《ジャミング》+「トリンティアスピア」できます。《ジャミング》を挟むことで追加のランデスを防ぎつつ負荷をかけられるのでこの動きが非常に有効。

8EN以上は溜めなくてもいいということを意識できれば「緊急充填」の回数を抑えられるので、そこを目標に山管理を進めます。《ユウカ》《リサイクルジャンク》などが許容されて山枚数に余裕ができてきたら12ENを目指します。ここまで伸びると2ランデスされても返しに11ENで交代→「リーゼガトリング」できて、そこまで行くとかなり勝勢です。

《バイパーシールド》で守られるとターン数が足りなくなる可能性があるので、《パーツブレイカー》をしっかりキープ。

6-6.ラクラベリトリア

調整中に想定していたリスト

微不利マッチです。ショックバインドや《ジャミング》+《サンダーシューター》+「ショックテイル」で縛りながら山札を削ってくるので、充填の回数を抑えて動けるターンを増やすことでケアします。

《イスチナ》《スナイプ》を絡めた2枚取りが痛く、気を抜くとライフレース負けもあるのでロボのHPは500〜900ぐらいは保てるようにカードを吐き出します。後ろに《リーゼル》や《トリンティア》の2枚目が置けているとなお良いと思います。

最終盤は《ラクラボロス》で止めにくるので《ENサルベージャー》を頼りに立ち回るとターンをずらされがちです。できるだけ山上チャージを避け、《ENサルベージャー》を使わなくても動けるように展開する必要があります。

《メルフィ》でオペレーションを戻す戦略が有効ですが、《一機討ち》で呼び出され縛られるパターンがあるので先置きは厳禁。《エスケープ》で前を戻した後とかに置くのが基本です。

6-7.トリンティア(ミラー)

やや難解なので最後に書きました。知識が必要なマッチアップです。

大会のルールとして「40分1本勝負であること」「時間切れの場合は後攻ターンまで行い、ライフ差で勝敗を決すること」が前提となっています。後者の「時間切れライフ差で勝敗を決する」ことを、ここから「TOD」(タイムオーバーデス)と表現します。

このマッチアップにおいてもっともキーになるのは《メルフィ》です。《メルフィ》によって山枚数差を付けるカードを山に戻し、《ユウカ》で山を焼いて、相手が出してきた《メルフィ》に「トリンティアスピア」でダメージを与えて《メルフィ》を後ろに下げさせて《トリンティア》を使わざるを得ないターンを作り……というのを交互に繰り返します。

最終的に《ユウカ》の出目によってゲームを決める運ゲープランか、「メルフィジャミング」による千日手(+それを解決するカードを使っての状況打開)プランに分岐し進んでいくのが想定されるゲーム展開です。

本構築には《イスチナ》のような1枚で千日手を打開するカードが入っていないため、先に山札が0枚になると「メルフィジャミング」するだけでは千日手になって、最後に《トリンティア》で前を殴られて1枚だけライフ取られてTODで負けます。そうならないように山枚数の管理が必要ですが、山枚数の管理は前述の通り《ユウカ》の出目によってゲームが決まるので運ゲーです。

《リサイクルジャンク》《ユウカ》の使いまわしは相手も意識してくるところで、お互いに必ず《メルフィ》が絡むゲームにしたいはずです。そこで出てきた《メルフィ》を《リーゼル》で撃破し、ライフ差を作って(あわよくばライフを取り切って)勝利するのが本構築におけるミラーの勝ちプランになります。

より正確には、盤面が前《メルフィ》後ろ《トリンティア》のような状態になるので、前に200、後ろに600と与えることで「ネオヒール」だけではライフ差を付けられてしまう、という状態にします。《ジャミング》が絡むとより有利。もちろん充填初動を取ってもいいです。

そのため、ミラーで必要になるのが最速《リーゼル》を着地させる展開です。このマッチアップにおいて《リーゼル》を撃破できる可能性のあるカードはほぼ《リーゼル》しか存在しないため、最速で《リーゼル》が動くと超有利になります

《リーゼル》によって1~2機撃破し相手とライフ差を付ける展開が成立すれば、山札負けで「メルフィジャミング」の展開になったとしても大会のルール上相手は千日手を選択することができず、結果としてこちらの高い耐久の壁を突破する必要が出てきます。

ここで相手に《イスチナ》が入っていた場合前述の通り相手に千日手を選択されてしまったり、ダメージ要求が整ってライフ差を詰められてしまう可能性がある(ここは相手の山札枚数次第になる)のですが、ここに対しては《リサイクルジャンク》を2枚使用することでいったん山札を4枚にして《リーゼル》で動くターンを作ることによって《イスチナ》を撃破し、突破します。《イスチナ》によってライフを取るにも5ターン掛かるので、それはそれで40分という時間制限の中で戦いきるのは難しいと思います。

※補足:《リーゼル》で動くターンを作る
現時点で相手の山札を削るカードは《ユウカ》のみ。このことから、自分の山札を3枚以上に維持できれば山切れで負けることはありません。
山4枚にして《リーゼル》を動かし、次ターン以降また《メルフィ》で山回復すれば《ジャミング》を使わずとも山管理が可能です。
ここで相手に《ユウカ》を撃たれた場合はドローして山残り1枚→山上チャージを選択して山残り0枚→《ジャミング》→「グランテッドボウ」と動くことで「メルフィジャミング」の状態に復帰することができます。

この展開を見据えて《リサイクルジャンク》を2枚、さらに撃破された《メルフィ》を回収する《ENサルベージャー》を3枚、デッキに入れる必要があるということですね。

道中で山枚数・ライフ枚数ともに勝っていて、かつ相手に《リーゼル》《イスチナ》といったカードが入っていない場合はそもそも問題ないのですが、例えばライフに《ユウカ》が3枚落ちてしまうなどの理由で山枚数が負けてしまった場合にも上述のような展開を作る必要があるので、《ユウカ》の枚数が不足していれば道中で使用した《リサイクルジャンク》《ジャミング》をちゃんと山に戻し「メルフィジャミング」の準備をして、千日手が始まるタイミングで《リサイクルジャンク》が手札に2枚ある状態を作れると盤石です。

TODという一見邪道とも捉えられる戦略にはなってしまいますが、何も遅延によって時間を使い切ろうというわけではなく、単純にお互いに対策を講じていない場合千日手になってしまうため最善最速のプレイをしたとしても40分にゲームを収めることができないという検証結果があってのものになります。当然相手にも《リーゼル》などが入っていた場合こちらのライフが負けたタイミングでTODに持ち込まれるので、万が一を考えるとこちらは早打ちし続ける必要があります。そのためライフ有利になったからといって時間切れを故意に狙うことはしないほうが良いです。

なお、お互いに《リーゼル》が入っており、上記の展開をお互いがわかっていて早打ちしてゲーム進行した場合、ほとんどの場合において先に《リーゼル》を出したほうが相手のライフを5枚取り切って勝ちます。なんだそれ。

6-8.その他

その他にも様々なエースカードや、上述したデッキをハイブリッドした複合戦略デッキなどがありますが、上述したデッキでないデッキの場合はパンプや千日手対策などが十分に搭載されず通常のゲームプランを進行するだけで勝利することができます。

逆に言えば通常のゲームプランを進行できないような事故に見舞われると負けもある、運要素の大きいマッチアップではあります。山管理だけは丁寧に行い、最善のプレイを尽くしましょう。

7.終わりに

ということで、以上が今回構築したトリンティアの解説となります。

かなりだらだらと書いてしまったので全部で約2万字(解説部分は17000字ぐらい)の長文になってしまいました。本当にここまでお読みいただきありがとうございます。

基本的には調整中に気づいたことをメモにしてあって、メモから情報を引っ張り出してきて書いているだけなので自分の中では新規性の低い文章ではあるのですが、たとえば「メルフィジャミング」展開の存在や、《イスチナ》《リーゼル》のパッケージによるパンプ枠圧縮といった構築の選択肢などはもしかするとちゃんとCCGをやっているプレイヤーでもあんまり意識していないのかな……?と思ったので、そのあたりの空気感が伝わってくれると嬉しいなと思っています。

また、この記事を機にCCGのプレイヤーが増えてくれるとめちゃくちゃ嬉しいです!このカードプールの中2万字の考察記事を書きあげることができるぐらいには奥が深く、やりこみがいのあるゲームになっています。プレイする機会に恵まれにくい、カードを揃えるのが難しい、というような問題点はもちろんあるのですが、そのハードルを乗り越えるだけの価値がある……と個人的には思っています。

何か質問や気になる点、CCGの始め方やリモート対戦希望など、いつでもX(旧Twitter)で質問してください。新規プレイヤー大歓迎です。

また、普段はgandamgxさんが運営されている非公式CCGコミュニティにいます。頻繁に発信しているわけではないですが、こちらでもたまにリモート対戦をやってるのでよければ覗きに来てください。

それでは、また!

スペシャルサンクス

・今回チーム調整を行った池粕(@ikekasu_428)

・普段よく遊んでくれているhazutiさん(@hazuti_block)

・CCG鯖で調整に付き合ってくれたENDBOXさん。再現性の高いデッキを組む重要性が分かってよかったです、ありがとうございました

・02環境最速調整会に参加してくださったみなさま

・ほか、交流会や大会で対戦してくださったみなさま!

また、本記事はあーくん(@suiyotao)さんのデッキ解説記事テンプレを参考に構成しています。

ありがとうございました!

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