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【#ビルディバイド】『やさしい夢に包まれて』解説

はじめに

知ってますか? 人の目の高さから見える水平線までの距離は、約4キロメートルなんですよ。

使用リスト

テリトリー
《やさしい夢に包まれて》(思春期症候群)

メインデッキ(43)
《燈火の玉兎 ラビアン》 x 4
《猛進の炎剣 オルダ》 x 3
《気弱な白狼 レビー》 x 3
《死に微笑む者 ベストーラ》 x 2
《思い描いた夢 牧之原翔子》 x 4
《人生の意味 牧之原翔子》 x 4
《暗影の民 同志 ザイド》 x 4
《邪悪な取引》 x 4
《虚を突く一手》 x 4
《ファイアーブレス》 x 1
《呪われた切札》 x 2
《張り裂ける大地》 x 1
《歪められた輪廻》 x 4
《烈火の逆鱗 バドラトス》 x 3

Dデッキ(12)
《猛進の炎剣 オルダ》 x 1
《気弱な白狼 レビー》 x 1
《狂気の白狼 レビー》 x 3
《悲涙の影霊師 ラファ》 x 1
《“デッドルーク” リヴァワート》 x 1
《烈火の逆鱗 バドラトス》 x 1
《不屈の獅子 ライオネル》 x 1
《フレッシュな最終兵器 豊浜のどか》 x 1
《気鋭の狼犬 ベリア》 x 1
《舞の継承者 竈門炭治郎》 x 1

dc : Z2PbCmPby63

デッキ選択の意図

【やさしい夢に包まれて】(以下【やさしい】)を選択した理由はいくつかあります。

ひとつは環境の除去ラインが大きく下がったこと。【転生の柩】【超越者の揺り籠】を止めにいく《感覚支配》が現環境の除去基準であり、5000パンプによって容易にそれを回避できるのでかなり楽に盾に向かっていけます。コマンドでの除去が通らないので相手はメインで大きく動くことになりますが、その上で生物による取り合いは新戦力である《レビー》で拒否。盤面に大型のユニットを叩きつけて相手に更なる対処を求めます。

もともと環境に存在していたデッキではあるのですが、《痛み分け》と《焼炙の門》に苦しんでいたデッキなのでそれらが弱体化したことによる風向きの変化もこのデッキの立ち位置を良くしてくれています。

もうひとつは、3期ビルディの最大の特徴であるDデッキをかなり上手く使える点。Dデッキは「デッキの動きに組み込み補助する使い方」と「相手のデッキに合わせて必要なパーツを持ってくる使い方」の2種類があり、【やさしい】は後者がとても上手いです。もともと特定数種のカードにめちゃくちゃ依存していたデッキではあったので、Dデッキに触れることによるプランの安定性の担保と、バスター枠が狭かったことでいままで入れられなかったメタカードを搭載できるようになっていることの恩恵は想像以上に大きいです。

もちろん単純に勝つだけなら【揺り籠】やそれに類するパワーを持つデッキを使うのが正道なのですが、それら以上に3期ビルディを全力で楽しんでいるデッキタイプだと思っており、ビルディバイドの新しい可能性を見ることができたように思うので今回は【やさしい】を使用することにしました。あと揺り籠ミラーめちゃくちゃ苦手で練習時間なかったので……

基本戦略

マリガンは基本的に《ラビアン》全力。相手のテリトリーがヴァラン、コレットの場合は《ザイド》+除去orエースでキープします。ただ、ここは本番では結構柔軟に変えていました。

基本的な戦略としては「打点効率の良い生物で顔を詰める」が全てです。《ラビアン》でスタートしたのちリソースを少しずつ吐き出して7エナジーから8エナジーを目指し、《オルダ》《レビー》といった低コスト高ヒットのカードでダブルアクションして相手の受けを突破しながら殴ります。

《オルダ》《レビー》などの打点効率のいいカードをゲームに絡めるのに《ザイド》が役に立ちます。一度Dから墓地を経由するのでテンポは悪いですが、最終盤は伸ばしたエナジーを使って《取引》+《オルダ》2枚や《取引》+《レビー》を叩きつけてフィニッシュするので墓地にそれらのカードを先に用意しておけるのが強みです。

デッキ全体のコストが軽く設計されているので横にくっつけやすく、終盤は除去や《一手》を構えながら2ヒットを連打し詰めろを掛けて、最終的に余ったエナジーから《取引》→《バドラトス》のような形でフィニッシュを作ります。

ゲーム中盤の膠着状態においても、《ザイド》から状況メタのカードを墓地に置いておいて《取引》をはじめとした4種14枚の墓地回収で拾って展開します。《発掘調査》や《超常》と比べると細いですが、(条件付きとはいえ)手札の減らないカードがかなり多く入っているので割と息長く戦っていけるのが魅力です。

テリトリー選択について

裏面ではなく表面の話です。

「自ターン5kパンプ+ブリッツ」というテキスト自体はブライト汎用テキスト(通称「ドリル互換」)なので《やさしい》以外にも選択肢は存在します。差別化されているポイントはエースの性能です。

《ドリル》(大グレン団)は突破性能が高いエースが揃っています。リソース供給さえ安定すれば打点効率や盤面維持性能は互換の中で一番高いのですが、単体のパワーが低く除去が通りやすかったり、手札スロットの圧迫が激しいので事故負けがそこそこ存在するのがデメリット。

ぼっちや青ブタと違ってブライト出身の生物を多めに採らないとうまく効果を発揮せずデッキパワーが落ちるのもあまり好きになれません。あとちょっと有名なのでバレやすいです。

《ギターヒーロー》(ぼっち)はエースの素パワーが高いことが魅力です。ダメージ除去にはかなり弱いものの今流行りのPSI系のデッキはクイック行動がマイナス除去多めなので結構生き残ります。

返しのターンにリソースを使わせてフルタップのところを差していくゲームになりやすく、ゲームの組み立ては容易です。もともとこちらを使っていたものの、雑多な環境では不意の《起き攻め》や《波状攻撃》で世界が終わることも少なくなく、乗り換えを決意。

《やさしい》(思春期症候群)は《ギターヒーロー》採用エースの素パワーを下げる代わりにエースのテキスト単体性能が上がっています。特にエース《思い描いた夢 牧之原翔子》がめちゃくちゃ強く、《ラビアン》で積極的にライフを減らすコンセプトとかなり噛み合っており、中終盤も長く戦っていけるのが魅力です。

前述の通り環境が低コストアタッカーに寄ったことで環境の除去水準はかなり下がっており、《ギター》のようなスタッツを使った盤面維持が不要になっていることに加え、《サイキック・スピアー》の存在で《ドリル》の突破性能がかなり信頼できなくなっていることから、今回はもっともロングゲームが得意な《やさしい》を使うことにしました。

《牧之原翔子》をループさせると実質無限リソースなのでPSI系のデッキにもそこそこやっていけますし、ブライト側の事情によりエースの種類が多いのでDデッキにエースを忍ばせておいて《ザイド》+《取引》で事故回避することもできます。

表面は《梓川かえで》を選択しました。表3種の中だと一番好きなキャラなんだけど、今回はデッキに入らなかったので。一応入れる構築もあるので、もし知られてたらケアさせることができるかも、みたいな期待も若干ありますが、おそらく意味はないです(予選7回やって全部テキスト確認されたので)。

メインデッキ解説

当たり前のことですが、ビルディバイドはバスターカードが強いゲームで、バスターカードを上手く扱えるようにデッキを組んでいくのが強いゲームです。例に漏れず【やさしい】もバスターをとにかく強く使うためにメインデッキのカードを選択しています。

《燈火の玉兎 ラビアン》 x 4

僕がこのゲームで一番強いと考えている初動です。基本的に僕は《ラビアン》を使える環境かどうかをまず最初に考えるようにしていて、【やさしい】は強みの一つに「《ラビアン》でマリガンできるデッキであること」を持つので個人的なデッキの評価を少し高めに置いています。

除去されることに大きなリスクがない(正確にはリスクを打ち消すだけのリカバリー能力がある)ことから、積極的に顔に行く前のめりな構築にぴったりの一枚です。細いドローの中で7エナジーを目指すので、プレイできるだけでかなり楽になります。ライフが減るのも《思い描いた夢 牧之原翔子》などと相性が良く、総じてゲームプランに大きな影響を与えるカードだと感じます。

《猛進の炎剣 オルダ》 x 3

テリトリーが開いていると2コスト2打点の激ヤバカードです。最後は取引で2枚拾ってきて4打点シュートを目指します。初動として使っても墓地肥やしになるので《取引》《思い描いた夢》と相性がよく、総じて使い勝手の良い1枚と言えます。

色拘束が厳しくいつでも使えるカードではなかったり、【揺り籠】に対しては安定して打点運用できなかったりといったデメリットがあるのであまり多くは採用したくなかったカードでしたが、3期環境では1枚をDデッキに逃がすことでバスター枠を浮かせつつ《ザイド》経由でゲームに絡めるプランを取れるようになったため、必要な対面でのゲーム関与率を大幅に上げつつ不要な対面で重ね引く確率を下げることに成功しています。Dの恩恵を大きく受けているカードです。

《気弱な白狼 レビー》 x 3

12弾より登場した新戦力。テリトリー下だと最大11000までバトルできる上、進化後は3打点になるため、今まで採用していた《投擲の戦刃 リューレー》の単純な強化版として運用することができます。

色拘束やコストも《リューレー》より高く、《虚を突く一手》とのくっつきも存在するので本当にデッキパワーを高めたカードです。このデッキによって【やさしい】が完成したと言ってもいいでしょう。

《オルダ》同様必要な対面でデッキに絡む確率を上げるため1枚をDデッキに逃がしてあります。

《死に微笑む者 ベストーラ》 x 2

Dデッキとの相性を見ての1枚です。パワーが低いのでそこまで信頼はしておらず、2枚のみの採用。とはいえ自ターン10000で強いです。これも《輪廻》での回収に対応しているため中盤~終盤でもゲームに絡むのが利点。

特に【揺り籠】や接続結晶系のコントロール対面において、相手の除去を受ける的として使い捨てながら《バドラトス》《レビー》のようなキラーカードに繋げる動きが強力。その他にも《ザイド》でピンポイントのメタカードを用意しておいて《ベストーラ》を縦置きすることで相手が殴りづらくなるなど、テキスト以上の圧力がかかるカードになっています。

《思い描いた夢 牧之原翔子》 x 4

エースです。攻撃時12500なので《レイホゥ》までのショットをケアできたり《カリン》+《千里眼》の構えを抑えられる上、終盤はリソース供給源にもなるという通常弾もびっくりのスーパーパワフルカードです。【揺り籠】が多い環境においてあまりにもこのカードが強いので【ギター】から乗り換えました。

墓地回収の効果がDデッキの入った現在のビルディバイドとかなり噛み合いが良く、《ベストーラ》同様《ザイド》とのセットプレーで墓地に置いておいたメタカードやフィニッシャーをダイレクトに拾いながら盤面を処理し、相手に盤面の対処と手札のケアの両面を強要する動きが非常に強力です。5500という絶妙なパワーもかなり良い。

《人生の意味 牧之原翔子》 x 4

終盤、黒黒黒黒赤赤赤赤という異常なエナジーベースを要求するのでエースであっても色は散らしておきたく、赤い「思春期症候群」エースの中でよりパワーの高い4バニラを採用しています。同型再販(豊浜のどか)もありますが、《思い描いた夢》の「ブライト3000」を使う場面が無いとは言い切れない以上こちらを採用するのがベターです(たとえば《カリン》+《感覚支配》の14500ラインとかを突破できます)。

エースとして重ね引いた際に4→5の繋ぎアクションとしてプレイできるのも優秀ですが、そこまで優先してプレイしたいわけではないのでプレイの前に一呼吸置くようにしています。手札に持っておくことで貴重な赤土地になり、トップした《バドラトス》にアクセスしやすくなるなどの利点もあるため。

《暗影の民 同志 ザイド》 x 4

ざっくり言うと《大いなる創造者、カーン》です。嘘です。ゲーム終盤に絡めたいカードの枚数を嵩増ししつつ、序盤の安定感を担保してくれる完璧な1枚です。もともと【やさしい】は3コス帯のカードに飢えており、わざわざ4kバニラとかを入れるぐらい序盤~中盤の打点カードに困っていたので3コスでデッキのプランが広がるカードが入ったのは僥倖でした。

とはいえ色拘束は厳しく、安定して運用するのは難しかったです。赤黒多色でこのデッキと合うカードがもっと増えればさらに強くなると思うので、まだまだ伸びしろある1枚だと思います。

《邪悪な取引》 x 4

デッキの安定性を支えるカードです。ピーキーながら軽く強力なユニットを《取引》を絡めて連打する、がデッキコンセプトであり、このカードが引けているかどうかでデッキの出力が割と変わってしまいます。

《取引》はクイック構えてプレイするのが定石ですが、このデッキにおいては《オルダ》の存在からこれ1枚で急造6エナ2打点になるのでめちゃくちゃメインで撃ちます。

《虚を突く一手》 x 4

盾からリソースを得られるカードであり、縦置きしてきた相手のユニットを横にして《レビー》の的を作るカードです。

テリトリーが開いてさえいればデッキの中身はパワーカード多めなので、このカードで得られる1枚がめちゃくちゃ沁みます。ダブルアクションのくっつきも強く、減らす理由がないカードです。

《ファイアーブレス》 x 1

追加の《虚を突く一手》です。【転生の柩】のような横並べが得意なデッキに対して、《レビー》の3点を通したり《ライオネル》とくっつけたりします。また、《カリン》縦置き+《千里眼》の動きに対して《レビー》を13000にすることで突破できたりと細かいところで活きるテキストになっています。1枚見せるだけで相手のプレイが歪むと思うので採用は1枚だけですが、もうちょっと増やしてもいいかも。

《呪われた切札》 x 2

切札は《希望絶望》のイラストが好きなのでこれを使ってます。黒土地の枚数確保であり、一応最低限いろいろ対処できるカードとしての採用です。ただ、構えられるほどの余裕はないかな~と感じていて、コントロール系のデッキに対してしか使わないので少しだけ枚数を減らしました(確定除去合計3枚)。最終戦で【フォートビルダー】と当たったときにもう1枚だけ欲しかった、と思ったけど、予選ではほぼ使わなかったのでこれでよかったんだと思います。

《張り裂ける大地》 x 1

赤い切札です。土地バランス的に少し赤が少なめだったので3枚目の切札の枠をこちらに。一応【揺り籠】や【キティラ】に対して《熱波凝縮》みたいな効果がないこともないので、1枚目で踏まれない限りは有効な場面は多いです。

《歪められた輪廻》 x 4

今回のデッキでの一番のこだわりポイント。《切札》と《取引》を足して割ったようなカードです。《取引》と両面構えになりつつ、《ザイド》《オルダ》といった《取引》のバリューアップにつながるカードを拾いにいけます。単純に手札が1枚増えるとエナジーを伸ばすスロットを用意できるので便利というのもあります。

今回仮想敵として設定した【揺り籠】【転生の柩】はどちらも3コスト以下のユニットを打点として運用するデッキなので的に困らず、《切札》より優先してこちらを採用しました。意識されているとケアされるかもしれませんが、よりケアすべき対象のカードがあるので意識から外しやすいカードだとは思います。

《烈火の逆鱗 バドラトス》 x 3

せっかく8枚エース積めるデッキ、かつ《ザイド》《取引》のおかげである程度デッキ枚数が増えても再現性が担保できるようになっているのでデッキ枚数を膨らませるために追加で3枠採用しました。主に【揺り籠】【キティラ】へのカウンターカードになりますが、どんな対面においても最後に《バドラトス》+ブロッカー突破手段を揃えれば確実なフィニッシュになるのでとても便利です。

古来より【大渓谷】系テリトリーの《バドラトス》は突破が難しく強いとされています。いますよね?

Dデッキ解説

今回の構築のコンセプトの一つに「Dデッキの活用」があります。

Dデッキに触ることができるカードは《ザイド》だけですが、《取引》はもちろん《輪廻》でも使いまわせるのでDに触る機会は多いです。Dデッキにも3コスト以下の選択肢を採用することで《輪廻》のバリューを大きく底上げしています。

《取引》やエース《思い描いた夢》で終盤墓地に何度も触ることができるので、Dデッキの選択肢を広く取り、相手のデッキに合わせてプランを使い分けることでより広い相手に勝率を維持することができるようになっています。

《猛進の炎剣 オルダ》 x 1
《気弱な白狼 レビー》 x 1
《烈火の逆鱗 バドラトス》 x 1

メイン解説でも述べた《オルダ》《レビー》と、追加の《バドラトス》をDに1枚ずつ置いてあります。ゲームに与える影響が大きく、メインコンセプトを担うカードであり、《取引》《輪廻》がデッキに入っていることから墓地に置いてあることの価値が非常に高いためです。

もともと《オルダ》や《レビー》に触れないと厳しいデッキタイプだったのですが、これによりデッキの再現性を格段に高めることに成功しています。

《狂気の白狼 レビー》 x 3

変身先です。変身元は4枚ですが、基本的にこれが3回も通ればだいたい勝つのでDデッキの枠を開けるために3枚としました。まれに4枚欲しくなりますが、我慢します。

3打点で9500(自ターン14500)、本当にめちゃくちゃ強いです。一度盤面に残るとゲームを終わらせるだけのスペックがあります。それだけに知られてるとまあ普通に対処されるので、知られてなくてよかった~みたいな気持ちもあります。

《悲涙の影霊師 ラファ》 x 1

《ザイド》を2打点に変身させるカード。7エナジーで《取引》構えながらの《ザイド》縦置きしてチャンプブロックで消費→エンドに《取引》で《ザイド》《ラファ》と回収して次ターンにプレイ、みたいな動きで使います。

青系ミッドレンジが多く採用している《マッシヴコンバット セレス》へのカウンターカードです。《セレス》だけでゲームを構築している相手に対して追加の《レビー》のような感覚でプレイします。他にも【処刑場】の《エラーラ》、【転生の柩】の《レイプラス》も役割対象です。

《"デッドルーク" リヴァワート》 x 1

【転生の柩】他、横並びデッキへのカウンターカードです。見えている《リヴァワート》はケアされて微妙ではあるんですが、とはいえ入れることによって相手に急戦を強いる動き自体は強いので入れています。必要な対面には早いうちに手札に入れてしまって、相手が忘れたころに投げるのがいい感じだと思います。

《不屈の獅子 ライオネル》 x 1

基本的な運用としては「11000以下にブロックされない打点」です。背の低いブロッカーを複数面用意してくる相手(たとえば《パレード》系のデッキとか)に対して確実に打点を通す手段として採用しています。《一手》《ブレス》との相性は言わずもがな。【転生の柩】に対しては縦置きとしてもアタッカーとしても味のするカードなので中盤で積極的に用意します。

《フレッシュな最終兵器 豊浜のどか》 x 1

追加のエースです。初手にエースが無く後ろのリソースも繋がらなさそうな時に、《ザイド》からこれを持ってきて《取引》で拾うことでリカバリーできます。この動きを行うにあたって2ターン目がフリーになってしまうので、そこでの相手のユニット展開に対してテキストで除去が飛ばせるのがめちゃくちゃ強く、D運用のエースとして完璧な噛み合わせを見せています。

ほかにもアサルトテリトリー系のデッキに対して用意し継続的に2面処理を行ったりと割と器用なカードです。

《気鋭の狼犬 ベリア》 x 1

《輪廻》で使いまわせる壁です。【揺り籠】に対してある程度信頼のおける生物になるという点はもちろん、【焼炙の門】の《復讐の誓い》のような除去にも強く、攻守の起点としての活躍を見込んでいます。《輪廻》が入りづらい相手には弱いカードですが、そもそも持ってこなければいいだけなので関係ないというのもいいです。Dがあるからこそ採用できたカード。

《舞の継承者 竈門炭治郎》 x 1

最近増えているらしい【焼炙の門】への対策カード。門以外の《イシュタルテ》はこちらの顔詰めるスピードが速いので全然対処できるんですが、門の《イシュタルテ》は無限なので一応入れておきました。他にも除去詰まってる【揺り籠】に投げて対処を強要したりといった動きもあります。

採用しなかったカード

メインデッキはもちろん、Dデッキの存在により単純にデッキスペースが12枠も広がったので、今回の構築に至るまでにめちゃくちゃいろんなカードを試しました。Dデッキに限っても12枠(実際は大レビーがあるので9枠)の争いは苛烈で、本当は採用したかったものの採用できなかったカードもいくつかあります。

《投擲の戦刃 リューレー》

かつてのエースアタッカーです。《レビー》に比べ色拘束やコストが重いこと、パワーが微妙に低いことが原因で抜けていきました。【大空洞の司令塔】(アルタミラ)、【フォートビルダー】などに対して強い場面も少なくなく、枠とプレイに余裕があればぜひ入れたいカードなのですが、今回は無しの構築へ。

《天狼国の亡霊 刹那》

軽いライオネルです。最初は結構強いかな?と思って入れていたのですが、7000というパワーが絶妙に低く割と何と対面しても腐りがちだったので抜けました。赤黒という色はとても偉く、《輪廻》で拾ってエナジーに置いてるときはとても強く感じていました。

《即応の撃剣 ルダ》

これも軽いライオネル。パワーが高く殴る機会に恵まれやすいかなと思ったのですが、意外と使うタイミングがありませんでした。

というか軽いライオネルシリーズが欲しい対面って《輪廻》が全然通らないんですよね。というわけで軽い必要がほぼ無く、《ベストーラ》でチャンプブロックして本物の《ライオネル》を貰ってきた方が安定するということで抜けていきました。

《鉄壁の防盾 クルベル》

【揺り籠】ガチピンポイントメタカードです。相手の《八咫烏》《超常》を弾いてリソース勝負します。

このカードを賞味期限が切れる前に使うにはメインデッキに入れる必要がある(D経由だとさすがに遅すぎる)のですが、メインデッキは《バドラトス》が入っておりもう席がなかったので抜けました。

《風を読む翼 パッソー》

リソースです。《輪廻》から拾えるドローとして採用するカード。ただ、このカードが有効に使える頃にはゲームを決めきれるだけのパーツが墓地に落ちていることが多く、わざわざ掘り進める必要が薄かったことから抜けていきました。世界から【揺り籠】が消えて【転生の柩】に寄ってくると入れておきたいカードです。

他にも《要撃の四重角 カリベル》、《"マッドビショップ" エンダイヴ》、《渦巻く甲殻 アルモニカ》などを検討しましたが、いずれも現環境では不要と感じたので抜いています。Dデッキは環境が変われば内容も大きく変わるのでまだ調整の余地は大きいと思います。

仮想敵

ここまでも何度か書いてきましたが、今回仮想敵として設定したのは【揺り籠】【転生の柩】の2デッキになります。この2デッキ以外は意識こそすれそこに寄せることはせず、カードを採用する際にはこの2デッキのどちらかには役割がある用途の広いカードを探していました。

その理由はもちろんこの2デッキが大阪大会当日の最大母数であると予想したことが挙げられます。雑多なデッキに対して容易に足切りができるリソース供給性能があり、上位に上がれば上がるほどこの2デッキ、特に【揺り籠】とのマッチアップ率が上がると思っていました。

【やさしい】自体も中盤の打点ペースや突破力(ここでいう「突破力」は細いリソースのデッキに対処されにくい除去耐性や基礎スタッツを指します)が高くある程度の強さのデッキに対しては五分に戦える性能があるのですが、前述の2デッキに対しては強く意識して寄せなければ勝ち上がれないだろうと思っていて、そこだけを意識して構築するようにしました。

そもそもこの2デッキ以外には割といい勝率を記録しており、なんなら当日はこの2デッキを避け続ければ勝てるだろ……と思っていました(結果的に決勝トナメでは負けてしまうんですが)

これだけ意識してもなお有利とはとても言えないマッチアップダイヤではあるのですが、それでも対戦時に意識していたことをメモ書き程度に以下に記しておきます。

vs【揺り籠】

気を付ける:《千里眼》《感覚支配》《見据える者 カリン》

基本的に《ラビアン》は《八咫烏》されるので、《ラビアン》でも《ザイド》でもどちらでもキープ可。3コス+エースで序盤から打点を刻みます。

序盤に3~4点ぐらい削っておいて、中盤は《バドラトス》を縦で立てて盤面処理徹底。相手のライフを削らないことでリソースを使わせ、有効でない場面での《カリン》《サイキック・スピアー》強要を狙います。基本的に《カリン》絡みでないと《バドラトス》を超えることはできないので、《カリン》だけ弾けるように《切札》《大地》が構えられているとベストです。

過程で《オルダ》を引いたら攻勢へ。《バドラトス》にオーラを付けながら攻撃して少しライフを削りつつ《レイホゥ》の当たらない生物を作り、次以降のターンで《レビー》を相手の生物にぶつけて《レイホゥ》貫通3点+2点でフィニッシュ……というのが、基本的な進行です。

基本的にこの対面は《超常》によって相手のハンドがほぼ透ける上に相手の生物はほぼバーサークで選択肢が少ないので、プラン通りにゲームを進めることは難しくないと思います。とにかく焦らないでプレイを徹底することが大事。

有利とまでは言えません。さすがに不利ですが、《バドラトス》がいっぱい絡むと結構勝ちます。

vs【転生の柩】

気を付ける:《抗拒の聖兵 アスファ》《整然の聖兵 ネブリナ》

《ザイド》でDから大量に欲しいものを持ってくるのが強いので《ザイド》でキープします。《輪廻》《ベストーラ》あればより良い。ただ、ハンドにバスターがいっぱい詰まってるときは苦しみながらキープ宣言します。

ほぼすべての生物に《輪廻》が当たるので、《ザイド》でチャンプブロックないしチャンプアタックしながら墓地にカードをため込んで《取引》で拾います。中盤は《ライオネル》を使うことでブロックされず打点を刻めるのでそれでクロックを掛けて《アスファ》が有効でないタイミングで殴らせることを強要します。相手がもたつくようなら《リヴァワート》を拾ってきて面を取ることで対処としましょう。

相手が積極的に殴ってくるプレイの場合はひたすら我慢して面取って《レビー》通して勝ち。相手が溜めてくる場合はこっちも溜めて《ライオネル》《リヴァワート》で勝ち。みたいなプランを目指していきます。

《アスファ》は基本的に手札から出てきたときはコマンド消されるときで山上から出てきたときはあんまり消されないとき、と覚えておくとプレイの基準にできるので参考に。

総括

ビルディバイドはプレイヤーがそう多くないことも相まってこういうTier上に存在しないしデザイナーズパッケージも存在しないテリトリーは考慮から外され研究が滞る傾向にあります。

それはメタられにくいということでもあり、実際今回の成績は初見殺しによるものが多くを占めるのですが、情報が少ないことは時にデッキの構築を正解から遠ざけ弱めてしまうことがあります。個人的に今回はかなりフラットにテリトリーの強みを活かす構築を目指せたと思っておりかなり気に入っているのですが、正解の構築だったかは怪しいです。

【やさしい】は個人的にとても好きなデッキです。デッキのコンセプトが一貫しており《取引》をいつ撃っても強いこと、《輪廻》という環境と相性のいいショットを採用できること、範囲除去ショットの影響を受けづらくショット貫通が見込めること。どれもフェアデッキとしては最高級の性能を兼ね備えていると思います。このデッキがどこまでやれるか、どのぐらい自分の構築が正解に近づいているかを確かめるために大阪まで赴いたという節はあります。結果としては望外のBest8で本当に嬉しかったです。惜しむらくは配信卓でいいところを全然見せられなかったのが……悔しい!

《やさしい》に限らずドリル互換はどれも独自の強みがあり面白いです。採用するカラーによりデッキの動きも大きく変わります。興味がある方は是非使ってみて欲しいです。デッキ安いし。

ちなみに僕はこのデッキを組むにあたってまず青ブタのテレビシリーズを全部観るところから始めました。前述の通り、梓川かえでが一番好きです。ブライトの5エース梓川かえで、最高のテキスト…

…ということでデッキ解説を終わります。長々と書きましたがここまで読んでくださりありがとうございました。この記事をきっかけにドリル互換、特に【ギター】【やさしい】のプレイヤーが増えたら嬉しいです!

最後に、調整に付き合ってくれたぐちさん、池粕ニキ、《ベストーラ》を貸してくれたり妄言に付き合ってくれたりした夕食さん、青ブタでは牧之原翔子さんを推しているあーくんさん、当日いっぱいお喋りしてくれたラグナさんやあすさんをはじめとするみなさま、公認や本番で一度でも対戦してくれた方々に感謝を込めて締めとさせていただきます!

ここまでお読みいただきありがとうございました。

付録

当日の予選マッチアップ内容について詳しくメモしていたので、付録として付けておきます。前述した以外の対面でどのように立ち回ったのかなど、参考になる部分があれば…


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