あいうえおエッセイ「い」
面倒な人から連絡が立て続いて、なんで今やねんと思う反面、こういう面倒な事を乗り切った後ってなんか神がかったことが起きる事が私は多い。
「い」ずも
神様の存在を感じた経験はありますか?
私はある。
日本の神様最強戦みたいなんやったら3本の指に入るであろう、出雲の神様はほんまもんです。
ここの神様はごっつい腕力で、根性もハンパない。
私は4人姉妹で、私以外は早いうちにみんな嫁にいってます。
父のモットーは「家族全員平等に幸せであること」幸せの定義は「安定した家庭で子宝に恵まれること」昭和カタギのおっさんです。
漏れなく姉と妹は父の希望通り順調に嫁にいった。
でも私は三十路手前で余裕でいき遅れてました。
そこそこモテたけど、最弱の男運やったんです。
下手な鉄砲数撃ち当たる、下手な奴ほど上手いことやればある意味モテるんですよ。
これ、1番あかん状況です。
最初の村で勇者の刀振り回しまくってレベルだけアホみたいに高い状態やから、なんの勝負もしてない。
当時の私には付き合って1年の彼がいたんですが、今思えば薄っぺらい関係でした。
父の足の小指の爪くらい黒ずんでしんでた。
ちょっと刺激与えたらペロっと取れてまう、けど怖いからようはがさん、でもそれ指に引っ付いてる意味ある?みたいな関係性やったんです。
自分を大切にしてくれてない事は分かっているけど、この人と別れたらもうこの先ないな、と思ってしがみついてた。
最後の独身友達からついに結婚式の招待状が来た焦りもありましたしね。
ほんでも父は本気やから、人生最後の大仕事や!と、決意を固めて島根県の出雲大社に向かった。
ちょうど10月の神奈月、この月は日本中の神様がお留守にし、出雲に赴くんです。
なので出雲は神の鮨詰め状態、1番ご利益が得られる月でもある。
ガッチリ参拝し、めっちゃ強力な縁結びのお守りを意気揚々と私に買ってきてくれた。
「絶対に結んでみせる!」
強い意志を感じるお守りと父のドヤ顔。
私は複雑やった。
嫁はいきたいけど出雲大社経由で嫁にいくのに抵抗があったんですよね。
本気のあかん奴が自分なのを棚にぶん投げて「これ本気のあかん奴がいくアレやんか」って思ってたんです。
失礼は極めたら盲目になるんですね。
それに、神頼みって困った時だけちゃ〜っと来て5円投げて「お願い!」なんて虫がよすぎる思うんですよ。
初対面やけどこれも何かの縁や、100万貸して!5円チョコあげるから!ゆわれてるようなもんや。
私が神なら「おとといきやがれ!アホンダラ!」ゆうてまいます。
まぁ父はもっとお金を出してくれてるけど、それやとますます自分の力やないし。
縁結びよりロマンスの神様の方が信じたかった、幸せに定義がないように、そんなん関係ないのにこだわってた。
だからあかんかったんやけどな。
なんやかんや言いながらも、私は父からお守りを受け取った。
誰にも見えへんように、買ってこの方一度も開けてない定期入れのファスナー付きのポケットに仕舞いました。
ロマンスも縁結びも神は神、こっそり頼ろう。
そこから一年、怒涛の別れのピンチが来まくったんです。
でも本気のあかん奴は盲目です。
別れのピンチも、面倒な揉め事も「これを乗り越えたら結婚がある!」としがみついた。
神が私の精神を試している「こんなもん乗り越えんと結婚?片腹痛いわ」って高笑いしてる!
負けてたまるか。
ほんでまた、世の中の恋愛ノウハウみたいなんもよく書いてるんですよ、「乗り越えた先に幸せが待ってた人がほとんど!困った時がチャンス!」て!
今なら分かる、恋愛においてピンチはピンチでそれは間違いなく限界やと。
負けとくべきな試合もあるんです。
なんとかねばった半年後。
彼は突然連絡を断ち、黙って他府県に移動申請を出して行った先から「お前とは一生別れる」てLINEしてきたんです。
それでも私は納得出来ず、職場の独身の先輩に話すんですね。
そこで独身の人に相談するのもイマイチなんですけど。
けど先輩は「まだいける、復縁には出雲大社のお守りが1番いい!」と10,000回は聞いたアドバイスをくれた。
それ持ってんねん!って、お守りを取り出してみたらあり得へん姿になってたんです。
中から弾けて爆発したみたいにボンって穴あいてた。
父から受け取って以降、ファスナー付きポケットに入れて一度も開けてないから擦れて破けることもない。
1年程度しか経ってないから経年劣化もありえん。
頑丈に縫われたお守り袋の布が1つのほつれもなく中からパンっと弾けて、小指ぐらいの穴があいてる!
私もあの男と一緒になるのん必死やったけど、神様も引きはがすのん必死やったんか?
一気に目が覚めましたね。
そんな自分勝手な男と一緒になってもろくなことない、そもそもお前ら合ってない!って神様が私を羽交締めにして引き剥がしてくれてたんや。
せやけど、抵抗して私が暴れた肘鉄が神様の脇腹に直撃して、折れた肋骨が肺に刺さって吐血してるみたいな状態なってもてるんや!
いい縁を残して悪い縁を断ち切るのが縁結びの本当のご利益。
いき遅れ人生長いですが、ここまで神懸かった力は感じたことなかったですね。
やっぱ本物は腕力がちゃう。
皆んなが出雲大社がほんまもん言う意味が染み渡りましたね。
やっぱり筋肉や、神様も筋肉や、と。
私はお守りを大切にハンカチに包み、次の休み(たまたま10月やった)に出雲にお守りを返しに行った。
ちょうど同じ日にたまたまアニマル浜口の娘の京子さんが参拝に訪れていて、少し話した。
事のあらましを話すと「恋愛は素直に!後は気合いだ!」と素晴らしい腕力で背中を叩いてくれました。
ありがとうございます。
あれから月日は流れ、私は一生もんの愛する相棒に出会えそれで満足している。
父はついに甥と姪が7人になり「もういい」と根を上げた。
皆さん、日本にはたくさんの神さんがいます。
本気を出して神頼みに挑むなら、出来るだけ腕力のある神を選んでください。
迷ったら出雲へ。
あの神様の腕力はほんまもんです。