徒然なるままにインド②〜とにかく美味しいインド飯:南インド編〜
カレーはテッパンの大好物
幼い頃「好きな食べ物は?」と聞かれると必ずチョコレート!!と言っていた。
大人になって同じ質問を受けるとカレーかエビフライと答えている。
この年になっても1番好きなものはなかなか決められない。
食べる事は大好きだが、アレルギーが多くて食べれないものが多く、その説明も面倒で「偏食」で通していたりもする。
アレルギーや偏食を「わがまま」と言われたことがある。
確かにそうだ、と思った。
更に言うなら周りより「自分に正直でマイペース」
黙ってても体に出るし、苦手をしっかり理解して回避している。
そこから自分の幅を広げるかは、自分次第。
私はそれを自分で管理して、食べられる美味しいものを見つけていって、好きなものが毎回更新されていくような、そんな食事にありつけるのは日常を楽しむコツだと思っている。
写真下手くそ王vsインド料理
南インドに滞在中は、リゾートのベジタリアンミールスをいただくことになっている。
別宅(旅の友達が滞在していて主に集まるリゾートを本宅、私たち3人が寝起きするママの家を別宅と命名)から移動して皆んなと合流して朝ごはんを食べる。
まだニワトリの咆哮の痺れを残しつつ乗るオートリキシャーは、空きっ腹に響く。
8時から朝食だが、こちとら4時から起きている。
ママがリビングに置いてくれていたバナナを食べなかったら口の中が酸っぱくなってたところだ。
もやもやしながら本宅に到着すると、すでに準備されたご飯のいいにおい!!
どんなに怒っているおっさんでも微笑んでしまう様な美味しいにおい!これで全部帳消しやで!!
昨日はずっと機内食で、インドらしいご飯は今朝が初めてになる。
当たり前だが、朝からしっかりカレーだ。
朝からカレーとかイチローみたいでかっこいいやん、と食卓につく。
とはいえ、とはいえだ。
「日本人は胃腸が弱い」
昔、そんな曲をネプチューンが歌っていた。
私も選ばれし最弱の胃腸を持つ日本人、普段から日本でいてもスパイスはさほど取らないようにしている。
正直、あまり体質に合わないらしい。何しにきたんや、私。
朝イチから大丈夫やと思う?イチローさん。
イチローが朝から食べていたカレーの種類までは勉強不足だが、奥様が本場の南インドの人か、インドミールスマニアで無い限り朝から本格的なスパイスのみのものは食べてないだろう。
イチローがバッターボックスでお腹をおさえて走る姿は現役時代一度も見ていない。
だからと言って、出塁してから差し込んできて必死に盗塁をしていた可能性は捨てきれない。
心にイチローを降臨させて出足を挫かないようにしたいが、空腹で思考が悪い方に動く。
こんな時こそ「ええい、ままよ!」の精神だ。なるようになれ、胃袋!
盛り付けも何も分からんが、見よう見まねで皿に盛る。
大きいプレートにプットゥをのせ、あとはお好みの具材をとる。
見た目はベジタリアンのお子様ランチみたいだ。
ベジタリアンのお子様ランチとか見たことないけど。
見た目のマイルドさに警戒しながら本場南インドの料理を初体験。
私、知ってるねん。ココナッツカレーとか白くって甘そうでふわふわした料理の本気の辛さを。
あんなん、ココナッツカレーちゃう、ココナッツクラッシュや。
バニラエッセンスを舐めた時みたいなカウンターや。
ぶつぶつ考えながらぱくり。
?!
語彙力を最大限に引き上げても『めっちゃうまい!』しか出てこない!
日本で私達が食べている「インド料理」と呼ばれているものは北インドのカレーだそう。
日本>北インド>南インドの順でさっぱりとした口当たりになる。
南インドのカレーはスープみたいにサラサラで重さはなく控えめな味。
スパイスはふんだんに使われているので後から辛さが押し寄せてはくるが、悶えるほども辛くなくてかなり食べやすい。
食べ方の作法は、右手でご飯と具材を混ぜる。
口に入れる分を手に取り手のひらを上にして、ぎゅぎゅっと手の中で丸める。
親指でご飯たちを押してまとめて口に入れる。
食材を全部混ぜてもいいし、好きなものだけ混ぜてもいい。
カレーは辛いだけでなく、甘いものも酸っぱいヨーグルトもあるので、混ぜて味変するとサラサラと食べれてしまう。
しかもかなりカロリーは低い。
日本のカレーみたいに小麦粉やバター(ギーは使っている)も入っていないし、リゾートではお肉は出ない。
豆やじゃがいもがたくさん使われていてしっかり腹にもたまる!
ヘルシーでダイエットにも良さそうだ、南インドの食事は女子力が高い。
旅の友達がスパイスや体にいい食材の話でキャッキャしているのを眺めながら、1人「二日酔いの朝も食えるな」と確信した。
左利きなんですが作法は大丈夫?
インドの食事の作法は右手で食事、左手はお尻を拭くもの。
左手で食事はNG。
別に右手が使えなくもないが、咄嗟に出るのは左手なので失礼にならないか聞いてみた。
答えとしては「外国人だし、スプーンやフォークを使うなら大丈夫」とのこと。
ただ、外で食べるときはそれを使っていても変な目で見られる可能性はある。
正式な場所では右手(素手)で食べた方が失礼にならない。
インドもコロナの流行でスプーンを使う人が増えたのでそこまで気を遣わなくていいが、今回体験する予定のプラサード(神様のお供物のおさがりを頂くこと)やスプーンが出されなかった場合は右手で食べることにした。
郷に入れば〜とは言うが、咄嗟に出来ない時もあるし旅の楽しみである食事のたびに気を使うのもなんだかな、が私流。
それが無理ならずっとバナナ食ってるしかないか。
主食が多いぜ!
仕事柄、中国人の友人がたくさんいる。
小さな島国の日本ではほぼ全員が主食を「米」にしていたが、広い大陸の人達は地域によって色んなものを主食にしていた。
麺や饅頭(日本と違って中に何も入っていない白い蒸しパンみたいなもの)ご飯と、多種多様。
そしてインドもやはり大きな大陸。
米代わりの主食が多種多様。
黒いつぶつぶは、マスタードシード。
米は縦長でパラパラ。白いご飯の時もあるし、炊き込みご飯の時もある。
安心した頃に突如、食卓に現れたパクチー(ピンクのタイルに混ざっていた)やっぱインドでもいるのな、お前。
私はパクチーダメ派。つくづく女子と程遠い。
蒸したバナナの本気を私は知ってしまった。
あっさりしたサツマイモみたいなホクホクした美味さ!あんなに渋かったのにどうしちまったんだ、バナナさん!
酸っぱいもの苦手芸人の私はイドゥリは苦手だったが、ドーサは美味しく食べれた。焼いてしまうと酸味がなくなって食べやすい。
そしてお気づきになっただろうか。
盛り付けをもはや他の人に頼んでいることに。
主食だけを盛り付けてもらい、他にも沢山ある副菜は自分で選ぶ(甘いやつ)システムに変えたことで写真写りが5割り増し。
頼れる旅の友達よ、本当にありがとう。
本気の南インドミールス
近所でアート展のセレモニーがあるとの事でお呼ばれした際に、本場の南インドミールスをご馳走になった。
アート展の内容はまた別記事で書くが、なんせクセが強くて楽しかった。
葉っぱ一枚あればいい。
南インドの食事はエコでワイルドだ。
バナナの葉っぱが敷かれる。これはお皿の代わりなので、先に出されたお水でお皿を濡らして綺麗にするとご飯を盛り付けてくれる。
テーブルも汚れないし、洗い物も出ないし、捨てても土に還る。
しかも写真映えする。
バナナってすごいぜ!実も最強に美味しいし!
ちょっとずつ、京都のおばんざいみたいに盛り付けてくれる。
左手前の野菜炒めみたいに見えるのは、モリンガをスパイスで炊いたカレー。たまにすごいスジがあるがモリンガ美味い。
マンゴーを炊いたものは、少し酸っぱくて不思議な味がした。
ここで一つ訂正したい。
さっき料理を「京都のおばんざい」と例えたが、終盤はギアが上がってきて「わんこ蕎麦」状態におちいる。
どんどん盛り付けられるカレー、慣れない右手(素手)でもたつくせいで、限界が近づく私と、流れてくる汁物。
明日を考えて、そろそろこのゲームをしめたい、私のインドはまだ続くのだ。
完全に覆せない点差(サービスしてくれる量)に試合(胃袋)の結果は明白だ。
ちょっと旅の友とおしゃべりをして様子を伺うが、相手も手練れだ・・・その場にとどまりボールをキープ(食材を持って隣で待機)し、時間を使ってくる。
「I'm OK」と断るとその時は引き下がるが、違う食材を持ってきてくれる。攻撃のバリエーションに底が見えない。
こっちも本気だが、向こうも本気で挑んでくれているのだ。
「お腹いっぱいになったら葉っぱを二つ折りにしてください!それが終了の合図です!!」
突然、旅の友の1人が声をあげ、サッと葉っぱを閉じた、すると彼女へのサービスは瞬く間に終了。
なるほど!わんこ蕎麦で蓋を閉めるのと一緒だな!
私は葉っぱの上の食材を一気に食べ、タッチの差で葉を閉じ試合を閉めた。
ここで流されて出し切ってはならない。
連勝をストップさせたが、シーズン戦(南インド)で体を慣らしておき、後半(北インド)でいい試合(ヘビーでも楽しい食事)をすることが今季(旅)の目標だ。
とは言え、作法は先に学ばねばならないな。
私がリゾートでゴロゴロしている間に、インド占星術の授業を受けに荘厳な寺院に赴いていた旅の友が、先に作法を聞いていたおかげでなんとか事なきを得た。
プロのお手並み拝見
南インドのご飯は、口に美味しいが見た目があまり変わらない。
最後にちょっと小慣れた感を出した初心者と、インドに旅慣れた猛者の盛り付けの違いを披露したい。
上は「いけてんちゃん?!」と鼻息を荒げた私↑
↓皆んな混ぜるんやから混ざってる方が合理的のプロが下
マイペースを貫いて、ボクシングで例えてる暇あったらインドを学べ、私。
早朝のインドにニワトリの咆哮がこだまする。