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【香りが見つけてくれる私の大切なもの】-micare-(エッセイ小説)



TRIP STORY とは?


何かと忙しい
日常を過ごす主人公たち。

そんな主人公が“旅”へ行き
「本当にしたいこと」
を見つける明日への
希望を描いた
[エッセイ小説]です。

この物語があなたの人生にとって
大切なきっかけが見つかる

“旅のガイド”

となりますように。

物語の舞台

-店名-
micare-ミカーレ-

-出店情報-
詳しくは下記のアカウントをご覧ください!



-Trip Story-

主人公紹介


千夏(ちなつ)
年齢:28歳
職業:広告会社のデザイナー
性格:素直で几帳面だが、自分の感情を後回しにしてしまう癖がある。


都会の広告会社で働きながら、デザインを通じて人々の心を動かす仕事に情熱を注ぐ千夏。しかし、常に締め切りに追われる日々が続き、自分のペースを忘れ、心に余裕がなくなりつつあった。ふとした瞬間に感じる「何か足りない」という空虚感に戸惑いを覚える。

ある日、思い切って取った休暇で、一人旅を決意。旅の途中で偶然訪れたカフェ「リーフノート」でアロマイベントに参加し、香りの力を通じて、久しぶりに自分の心と向き合うことになる。

彼女は自分が本当に大切にしたいものは何かを考え始め、新しい人生の道を探る一歩を踏み出していく。





静かな丘の上に立つ小さなカフェ「リーフノート」。


木々に囲まれたこの場所は、
地元の人々に愛される憩いの場だ。


窓際に座れば、
遠くに広がる田園風景を眺めながら、
手作りのケーキと淹れたてのコーヒーを楽しめる。


千夏(ちなつ)は、偶然このカフェに立ち寄った。

都会の喧騒から逃れるようにして始めた
一人旅の途中だった。

少し疲れた心を抱えながら、
彼女はドアを開けた。


中に入ると、優しい香りが彼女を包み込んだ。

ラベンダーやベルガモットのような自然な香り。
それはただのカフェの香りではなく、
何か特別なものを感じさせる空気だった。


「こんにちは。今日はアロマのイベントをやっています。よかったら参加されませんか?」

カウンターにいた店員が
柔らかい声で話しかけてきた。


千夏は少し驚いた。

イベントには興味がなかったが、
香りに惹かれるものがあり、気がつくと頷いていた。




イベントスペースはカフェの奥に用意されていた。

木のテーブルの上には、
色とりどりのアロマオイルの瓶が並べられ、
周りには地元の人々らしい和やかな笑顔があふれていた。


「アロマには、自分を見つめ直すきっかけをくれる力がありますよ。」

講師の女性がそう話しながら、
参加者に自分の好きな香りを選ぶよう促した。





千夏も瓶をひとつ手に取った。

ふわりと香るシトラスの香り。
それは彼女の心をそっと解きほぐすようだった。


講師が続けた。

「香りを通して、自分が何を求めているのか、何を大切にしたいのかが見えてくることもありますよ。」





その言葉に千夏はふと立ち止まった。

都会での忙しい日々、
自分を追い込むように働いてきた理由、
そして最近感じていた孤独。

それらが次々と思い浮かぶ。




イベントが終わる頃、
千夏は自分の選んだ香りの小瓶を受け取り、
それを手の中でじっと見つめた。


その香りは彼女にとって、
新しい一歩を踏み出す勇気を
与えてくれるような気がした。


カフェを出ると、風が心地よく頬を撫でた。



空は澄み渡り、
遠くの山並みが優しく
見守っているようだった。


「また来よう。」

千夏は小さくつぶやいた。

香りとともに始まった新しい旅が、
これからどんな変化をもたらすのか、
少し楽しみになっていた。




※この物語はフィクションです。

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