マガジンのカバー画像

小説入れ

10
noteで公開した小説が入っています。
運営しているクリエイター

記事一覧

流れ星を見つけたなら

 夜の街には雨の気配が濃厚に残っていた。むわっとする大気をかき分けるようにして、駅前の陸…

蒼桐大紀
3週間前
7

凪の海のマナ

 今日も上手く話せなかった。  奈緒美は暗い気持ちを抱えて、学校が終わると近くの海岸に立…

蒼桐大紀
1か月前
14

ワンナイト・クロスオーバー・セッション

 BFCオープンマイクに投稿しました。  ※BFC=ブンゲイファイトクラブ はじめに  …

蒼桐大紀
2か月前
2

雨上がりの青は日々是好日

これはなに?  古賀コン5に応募した『雨上がりの青は日々是好日(未完)』の完成原稿です。…

蒼桐大紀
3か月前
2

雨上がりの青は日々是好日(未完)

 即興創作のアプローチに一時間以内に書き切る〝ワンライ〟と呼ばれるものがある。私達が私立…

蒼桐大紀
3か月前
17

ラブレターの裏側に(Original Edition)

これはなに?  なにを書いても言い訳がましくなる。  古賀コン4に応募した『ラブレターの…

蒼桐大紀
6か月前
4

ラブレターの裏側に

「青葉」  放課後。中庭で寝転がっていると、いつの間にか詩乃がかたわらに立っていた。縁にレースのついた真っ黒な日傘の作る陰が私にちょっとかかっている。 「はい、冷やした方が良いよ」  詩乃が差し出してきたのは、冷えたミネラルウォーターのペットボトルだった。その視線が私の左頬に注がれているのがわかる。 「もしかして。見てた?」  ペットボトルを受け取りつつ、そう問い掛けた。  さっきまでの光景が脳裏に浮かぶ。甲高い怒声を上げる女子、振り上げられる手と頬を張られて体勢を崩した自分

ノンマスカブル・コーリング

 和泉香菜に日曜日はあって無いようなものだった。勤め人ではないので定休日が存在しないこと…

蒼桐大紀
9か月前
15

二人の落選展

 インターホンが鳴った瞬間、楊春水は脳裏にひらめくものがあった。予感。読みさしの本に栞を…

蒼桐大紀
10か月前
3

面影は消えない

「昔、すごく良い文章を書く人がいたんです」  春水朔夜のことを話すとき、私はいつもこう始…

蒼桐大紀
11か月前
13