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【無料記事】オランダの政治における男女比率

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最近、和田靜香さんの新刊「50代で一足遅れてフェミニズムを知った私がひとりで安心して暮らしていくために考えた身近な政治のこと」を読み始めました。神奈川県の大磯町をモデルケースとしてパリテ(ここでは町議会議員を男女同数とすること)や市民の政治参加などについて語られおり、非常に興味深く読みました。もし私が何らかの理由でシングルで日本に戻ることがあるなら、大磯町に住んでみたいと感じるほどに魅力的な場所です。そんな場所で何か自分にできることをやれたらいいなと思います。

そしてふと疑問に思ったのが、私が今住むオランダのパリテ達成率。市議会はどのような状況なのだろうと考え、実際に調べてみました。

オランダの市議会の男女比率

まず最初に調べたのが、市議会の男女比率。女性の政治参加を後押しする団体のHP(※参照ページ1)を調べたところ、以下のような数字が挙げられていました。一部編集を加えながら抜粋します。

市議会の女性議員の平均数は 過去 4 年間で減少している。2018年の選挙直後はまだ34%だったが、最近の集計によると、現在女性議員はわずか31%となっている。市議会議員の半数(以上)が女性であるのは、345の自治体のうち7自治体だけだ。

女性の割合が最も高い自治体 (50% 以上) は、アムステルダム、バールレ ナッサウ、ブラリクム、ダイク アン ワールト、スヒールモニコーフ、ヴァーヘニンゲン、ズーテルワウデ。

とりわけ、ハルディンクスフェルト=ギーセンダム(男性100%)、アルブラッセルダム、ステーンベルゲン(男性95%)、ベルンヘーゼ、レンスワウデ(男性91%)とは大きな対照的である。全州の中で、フリースラント州のスコアが比較的高く、フリースラント州議会議員の 35 パーセントが女性です。リンブルフ州のスコアが最悪です。ここでは全議会議員の 75% が男性です

とのこと。31%なので3割越えはしていますが、5割以上なのは7自治体のみなのでやはり少ないと言わざるを得ません。
ちなみに女性比率が高いフリースラント州はオランダの北東部に位置する州です。35%とのことなので、州単位でみると、女性議員比率は3分の1を超えていますね。逆に女性議員が少ないと書かれたリンブルフ州は最南端。ベルギーとドイツに挟まれた細長い州になります。南北で結果がわかれたということは興味深いです。

市長の男女比

では、市のトップである市長の男女比はどうでしょう。オランダ市長協会なる組織のサイト(※参照ページ2)によると、現状は以下のようになっています。

全市長の約30%が女性です。
市長団には移民背景のある人や身体障害のある市長が数名しかいない。
市長の約70%は以前に市会議員を務めていた。したがって、市会議員としての職責は、市長にとって最も合理的な「準備訓練」である。しかし、市長になる前に別のキャリアを積んだ市長も何人かいます。たとえば、会社の取締役、弁護士、検察官などです。

そして他の媒体(※参照ページ3)を読んだら、面白い記述に遭遇しました。

州ごとに違いがあります。女性市長の割合が最も高いのはゼーラント州とリンブルフ州で、それぞれ38%と39%となっている。ドレンテ州とフローニンゲン州では、市長として活躍している女性が比較的少ない。それぞれ、市長の 8 パーセントと 17 パーセントが女性である。

えーっ。市議会で女性議員が多いと言われていたフローニンゲン州ですが、女性市長は少ないんですね。先ほどの市長協会のサイトが言っていた「市議会議員→市長」のコースに上手くはまらなかったのでしょうか。
そしてこれまた女性議員の数が少ないリンブルフ州は女性市長の割合は高いと。
になみにオランダの市長は直接選挙ではなく、市議会によって選出(指名)されます。この選出フローに、市議会議員と市長の男女比逆転現象のカギがあるのでしょうか。でもそれが何故起こるのかは、私にもまだ分かりません。

ちなみにこれは余談ですが、市長協会のサイトの別ページ(※参照ページ4)に、以下のような表記がありました。

最終的に市長を任命するのは「国王」(国王と内務・王国関係大臣の責任者)である。国王は原則として市議会の勧告に従う。

すごい、市長の任命過程に王様が!壮大ですね。

国会議員の男女比

市政から国政にスケールを上げてみましょう。オランダは二院制なのですが、そのうちの下院議員の女性比率を調べてみました。議会公式サイト(※参照ページ5)には、以下のように書かれていました。

現在、女性議員 は57 名います。これは、下院議員150名に比べて女性が少数派であることを意味する。しかし、下院の女性議員の数は四半世紀前と比べて大幅に増加している。

150人中57人なので、国会(下院)の女性比率は38%ということになります。ちなみにオランダに初めて女性国会議員が誕生したのは1918年で、1977年以降になって初めて約20名になり、1991年には約40名に増加。1997年には150名のうち3分の1が女性となったそう。やはり3分の1を超えるというのは、大きなマイルストーンですね。

内閣の男女比

更にさらに、内閣の男女比も調べました(※参照ページ6、7)。実はオランダは2023年11月末に解散総選挙が控えています。けれど現行内閣は、初めて女性閣僚の数が男性閣僚の数よりも多くなった内閣なのです。スタート時は48%だったのですが、男性大臣辞任などにより、29人中15人(11人の大臣と4人の国務長官)が女性になるという記念すべき期になりました。パリテ達成!
次期首相はどんな方になるか分かりませんが、ぜひこの男女半々内閣の風潮は引き継いでいって欲しいと思います。
そして、実はまだオランダの近代史に誕生したことのない女性首相。正直次期選挙では難しいかもしれませんが、ぜひ多様性達成のために近い将来成し遂げて欲しいと思います。

※参考資料の一覧は、この「お知らせ」の下にあります。
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