40歳と8歳の備忘録
10月は当社(Trim株式会社)の決算期であるとともに、僕の誕生月でもある(アピールです。呑みのお誘いまってます)。
今年で40歳になる僕の節目っぽいので8歳になるTrimも含めて備忘録を書いてみようと思います。(!!!! 長いよ !!!!)
40歳の僕
漠然と40歳は大人のイメージ。
孔子の四十不惑(しじゅうにしてまどわず)という言葉からもどっしりと構えた熟達した人物を想起します。
↑迷うと惑うの違いが知りたくてネット検索しました。
30代の僕を振り返る
・30-32歳 【コピーライターがベンチャー企業へ】 N車やS車やMタイヤなんかの割りと硬いクライアントから食品・飲料や化粧品、不動産なんかもやって、いくつか国内外の賞を受賞していたコピーライターが一念発起し医療系ベンチャーへ転職。CMOとして新規事業の立ち上げや既存事業の立て直しに携わりその時にベビ★マの事業化にも着手しました。
・32歳 【創業】ベビ★マの運営を続けていくために前職から権利を買い取りTrimを起業。資本金はわずか30万円しかありませんでした(時価総額30万円の会社でした)。
・32-39歳 【シードからプレAまで】・・・色々ありすぎて書き始めたらたぶん超長文になるし来年の誕生日くらいまでかかりそうなのでバッサリ割愛。
30代は、ほとんど仕事の人生だったと思う。それでも毎日楽しくやれてた気がします。ワーク・ライフ・バランスとか意識することは無かったし忙しいことに不満も特になかった。仕事が好きだったから毎日がむしゃらにやれていることが幸せだったんだと思う。
でもがむしゃらだったから生きる目的も目標も定まっていませんでした。
ただ必死に溺れないようにもがいていた。というのが正しいかもしれません。
40歳になってみて
体力は落ちたし、お酒も弱くなって、白髪も増えた。
肉体的には衰えを感じます。
精神的にはどうかというと、全然成長している感じがしない。
冒頭の四十不惑といわれても
僕はこの先も悩み、心が混乱し、どうしていいか分からないことに何度もぶつかる気がしている。というよりそうなると確信しています。
でも、意識が変わったなと思うことがひとつだけあります。
自分の人生の行先を定めること。
言い換えれば、人生の終わり方。
ってものをすごく意識しはじめました。
どう生きるかを考えるというよりも、
どう終わるかから思考することで、どう生きるかを考えるようになった。
僕は時々、酔っ払って社員とかに
「何を成し、何を残すのか、それは誰かを幸せにするのか」
みたいなことを言っていながら、
きっと僕は僕自身に自問しているんだと思う。
僕が定めた人生の行先はコンパスのような大雑把な方向です。
決して真っ直ぐな一本道ではないし、グーグルマップのような詳細なルートでもない。ましてや精緻で蓋然性のある計画があるわけがない。
きっと回り道や谷間や山を登っていくようなその都度ルート変更をしていく俯瞰して見れば非効率で時間のかかる旅になるかもしれない。
でも、行く方向が決まっているというのは不惑といえるんじゃないかな。
どう行くかは決まっていなくともあの山の向こうに行く。と決めてあればあとは何とかして越えていくだけだ(それが大変なんだけども)。
永遠に若々しく挑戦者でいたいと願っても老いとは自覚するよりも早く訪れるものだと思います。
だからまだ挑戦者でいられるうちに僕は何を成し、何を残すのか、誰を幸せにするのかを定め、来るべき時にバトンを気持ちよく渡せるように日々を生きていきたい。そんな風に強く思うのです。
8歳のTrim
Trimはまもなく8周年を迎えます。そして9期のスタートです。
8期を振り返る前に、7期の話をしなければなりません。
7期(2021.11-2022.10)は最悪だった。
11月 多くのメンバーを採用しIPOに向けたロードマップを描き始める
資金調達の為に外部アセットも使ったチームを組成
12月 4月頃着金で資金調達活動を本格化
2月 調達目標額を下方修正
5月 資金調達失敗 ランウェイ期間 5ヶ月
7月 追い打ちのように製造元からの値上げや支払い条件の悪化
8月 ランウェイ引き伸ばしのために支出の調整
9月 さらに営業代理店から与信が足りないと、取引停止の連絡
社内も多くの問題を抱え、小さな組織なのにセクショナリズムがはびこり、上司のパワハラや部下の陰口など社内メンバーの不調和が生まれていました。
当然そんな環境なので頑張って採用したメンバーもすぐに辞めてしまいました。
正直これまで資金調達はどうにかなってきました。
最初の頃は業績も伸びているし問題なくいけるだろうと高を括っていたのも事実です。
ですが日を追うごとに調達の状況は悪化していきます。
"今はシリーズAの調達環境が悪いのだ"
"投資家との相性が悪い"
"あいつはきっと子育てなんてしたことないし見る目がない"
"VCなんて所詮金儲け"
そんなくだらない毒を吐きながら、どうしようもない他責感を抱え、どんどんと自分が惨めになる思いを溜め込んで暗澹たる日々を過ごしていました。
いよいよ資金がショートすると目に見えてはっきりした7月頃、普通なら絶望する瞬間に、何故かぱっと視界が開けた気がしました。
覚悟を決めろ!自力でこの状況を打開するんだ。
僕はそう腹をくくりました。
COOの齊藤を呼びつけて
「俺の報酬を全額止める。必要なら齊藤の報酬も止めさせてくれ。期間は会社が回復するまで無期限だ。生活もあるだろうから転職しても構わない。ただ会社は今、そうでもしないと乗り切れない状態だ。」
辞められてもおかしくないと思いながらそう告げました。
「わかりました。仕方ないですね。」
しかし齊藤はあっさりと僕と同じ覚悟を背負ってくれました。
(実際には僕の報酬を止めるだけで乗り越えられたから本当に良かった)
この一件を皮切りに、大幅なコスト削減に取り組みます。
もうケツの毛もむしり取る勢いですべてのコストを切り詰めました。
(下品でごめんなさい)
人以外のあらゆる削減を実行した後に、社員にも状況を伝えました。
もとより社内の雰囲気が良くなかったこともあり続々と退職者が出ました。
恥ずかしながら実際には退職勧奨もしています。そうでもしないと乗り切れなかった。
当然、組織は崩壊し文字通り散り散りになりました。
これ以上ないくらい崖っぷちからのスタート
8期のスタートは残キャッシュ約1500万円。
今までのバーンレートなら2ヶ月でショート。
やらなきゃいけないことは山のようにあるが人手はない。
わかっていた状況ですが、控えめに言って最悪な状況でした。
残ってくれたメンバーで組織を0から作り直しました。
部門制を廃止し、上司も部下もないフラットな関係に。
定例会議を報告の場ではなく議論の場に変え、
遠回しな言い方を禁止し、シンプルな発言を徹底。
KPIを設置台数ではなく粗利に変え、
一番台数が稼げていた新品レンタルを廃止。
(営業からは売れなくなる!と反発が出たが断固譲らなかった)
値下げ幅を厳しく管理し
製造元も変え、製造単価を極力コントロール。
必達で超えるべき計画だけを作成し、ストレッチ目標などは廃止。
やったほうがいいよねという業務はほとんど止めて、やるべきことだけに集中しました。
そうして迎えた8期初月の会計は、予算を達成し単月黒字となりました。
その次も、その次の次も。
成功体験が社内の雰囲気を一変させ、メンバー間に信頼が生まれ健全な議論が活性化していきました。
1Q 全期間単月黒字 予算達成率116.16%
2Q 全期間単月黒字 予算達成率163.82%
3Q 全期間単月黒字 予算達成率124.48%
4Q 四半期黒字 予算達成率152%(執筆時点で)
まだ今月が締まっていないのですが、現時点で、昨対170%を超える売上(約3.7億円)を、昨対58%の販管費で達成しています。
営業利益は1億を越え、利益率は25%を越える見込みです。
資金調達せずに手元のキャッシュも約10倍になりました。
学びと抱負
8期に関しては不退転の覚悟をもって取り組み火事場の馬鹿力的な何かで成せた結果だと思う。正直、再現性が高いとは思いません。
しかし、僕たちはこの体験を通じて多くを学んだと思います。
利益の重要性を、ビジネスのシビアさを、そして諦めないことの価値を。
この夏に上期の達成祝と経営会議を兼ねて全社員でmamaroの導入先施設に、一泊二日で訪問してきました。そこで副町長や町の人々と交流し改めて僕たちの社会的意義を感じることができました。
また二日目にはレクリエーションとしてラフティングにも挑戦。
ゴムボートに乗り川を下るのですが途中濁流があったりゴムボートが沈みそうになる遊びがあったりと非常に楽しい時間を過ごしました。
僕はこのラフティングがチームビルディングにはとてもいい研修になるなと感じました。
みんなで一つの船に乗り、
みんなで声をかけあって漕がなければ前に進まない。
恥ずかしさもなくなるくらいビショビショになり、みんなで笑う。
中途採用者が多く、それなりに大人だからこそ存在する微妙な間や空気感を一気に取り除くことができる体験でした。
合宿の終わりに
「来年の今頃に今日を振り返り『あの頃は浮かれていたよね』ってことにならないように、着実に日々の目標を達成し、また今日のような日を迎えられるようにしよう」
と少しだけメンバーに発破をかけつつ、僕自身も来年も再来年も良いチーム、良い経営を続けていかなければと改めて決意しました。
来月から当社は9期目が始まります。経営者は結果が全て。
また来年、今日より多くの成果を生み出し、こういうところに書き残せたらいいなと思います。
四十不惑(しじゅうにしてまどわず)
今の僕に迷いや悩みはあったとしても、惑いはない。
さあ、9期も頑張るぞ。
※余談だけどスティーブ・ジョブズをずっとロールモデルにしていたけど最近はジェフ・ベゾスの経営を学んでいます。
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