WTI原油先物(CFD):サヤに着目した投資戦略
WTI原油先物(CFD)を取引する際、価格変動に大きな影響を与える指標として、限月間価格差(サヤ)に着目する必要がある。サヤは、期近物と期先物の価格差を示し、原油市場における需給関係を反映する。
需要が供給を上回る状況では、期近物の価格が期先物を上回り、バックワーデーションが発生する。これは、市場参加者が近い将来の原油需要の増加を予想していることを示唆する。一方、供給が需要を上回る状況では、期先物の価格が期近物を上回り、コンタンゴが発生する。これは、市場参加者が近い将来の供給過剰を懸念していることを示唆する。
現在のWTI原油先物市場は、アメリカの原油在庫が過去5年間の平均を下回っているにも関わらず、価格が下落傾向にある。これは、中国の原油需要の低迷やアメリカの景気後退懸念による最終需要の低下が影響していると考えられる。
しかしながら、米国エネルギー情報局(EIA)は、短期エネルギー展望(STEO)において、2024年後半には原油価格が上昇に転じると予測している。7月のブレント原油スポット価格は81ドル/バレルであったが、年内には85~90ドル/バレルに回復すると見込まれる。この価格上昇の背景には、OPEC+による協調減産の影響による世界的な石油在庫の減少がある。
EIAがSTEOを公表して以降、WTI原油先物のサヤに大きな変化が生じている。期近の価格が期先に比べて上昇しており、これは市場心理の変化を示唆している。WTI原油先物自体は現在下降トレンドにあるが、サヤの変化を考慮すると、単なる一時的な反発ではなく、トレンドそのものが下降から上昇に転じる可能性が高まっていると考えられる。
なお、WTI原油先物のベンチマークは毎月ロールオーバーするため、ロールオーバー直前は第2限月と第3限月の先物価格を比較する必要がある。ロールオーバーする前は、第1限月と第2限月の先物価格差に注目することが重要である。
作:なりた・ひろゆき
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