見出し画像

5000円で…②

前回(↓)の続きから。

昨年来た時と同じ場所で記念撮影を済ませた頃、家主から片付けが住んだから来いとの連絡が入った。その場から5分ほどだった、彼から送られてきた住所に向かう。

「うち、ものが多いからさ」

日頃、夜な夜な電話で彼がよく言っていた意味がわかるような家だった。本当にものが多い。汚いとかいうわけではなく、ただただものが多い。男心をくすぐるような、面白そうな本や漫画、ギターにダンベルその他諸々。よく分からない掛け軸なんかもあった。大抵のものは、なんらかの理由で大学で不用になったものを頂いてくるのだそうだ。一人暮らしでこんなものがあればいいな、というのを詰め込んだような不思議な部屋であった。そしてベランダには彼の大学の研究対象である植物が、所狭しと並んでいる。あと彼の部屋にはカーテンがなかった。ソファは大小二つあった(なんで?)。よく分からないけど暮らせば楽しそうな部屋だ。そんなことを話していたら、近くの銭湯に行く話がまとまった。風呂以外オール電化、というこれまた変な家に住む彼は、ガス無し生活をしているらしい。本人曰く、徒歩圏内に複数の銭湯があるため全然暮らしていけるとのことだった。
そんな彼に連れられ向かった銭湯は、家から歩いて10分しないくらいの距離にあった。非常に良いところで、長旅の疲れもあってか、風呂で寝落ちするんじゃないかってくらい(ちょっとアブナイ)だらけてしまった。
そこから彼がよく行くという立ち飲みバーへと向かった。夕方のカツカレーから何も食べていない僕の空きっ腹にお酒はよく効いて、そんなに飲んでいないのに酔っ払ってしまった。ちょっとしたおつまみと今日のここまでの道のり、お互いの日常生活の話を肴にお酒が進む。非常に良い夜である。後ろのサラリーマン二人組が、何故か遠く離れた僕らの地元の話をしている。これには驚いた。こんな偶然もあるんだな。生憎話しかける勇気もなかったが、第三者から盗み聞きする地元の話に少し嬉しそうな彼の顔を見ることができてそれなりに満足だった。
帰り際、店のカウンターの下にあった「ご自由にどうぞ」と書かれた特大のジョッキを二人で持って帰る。店で不用になったものだそうだ。こういったことの積み重ねであの家はできているのだと思った。拾ったり貰ったもので生活するなんてオードリーの春日くらいだと思っていたが、案外可能なようだった。のちに彼に尋ねると、東京の実家から持ってきて今の家で使っているものは、ギターくらいだそうだ。それ以外はだいたい貰い物。面白い生活である。
帰り道、家の近くにあるセブンに寄って夕飯を物色する。時刻はすでに午後10時を回っている。部活内で体重管理をされている(痩せなきゃ怒られる)私にとって、この時間の夕飯の選択は非常に重要だ。旅行先ではたくさん食べたからといってジムに行ってカロリーを消費することも難しい。満腹感を得つつ、それなりに低カロリーのものを摂取しなければ…。
そんなことを考えながら僕が手に取ったのは…

コンビニ二郎であった。

もう何もかもダメである。どうしようもない。嫌んなっちゃうなモウ。"ワシワシMAX"。その素敵な響きに見合う、コンビニとしては異例の重量感そして味の濃さ。非常に美味しかった。友人がなるべく捨てるものを減らせよ、というのでスープまで完飲してしまった(たぶんそういう意味じゃなかった)。もう後戻りはできないな。ごめんなさい部活のトレーナーさんたち。東京に戻ったらちゃんと怒られよう。そんなことを思いながら食べる深夜の二郎は、ニンニクさらには背徳感までマシマシで私をこれ以上ないほどに満たしてくれた。その日はそのまま眠りについた。

ちょっと疲れたのでここまでにしておく。
また書きます。では。

いいなと思ったら応援しよう!