血まみれの映画を数本(と、そうじゃないの1本)。今回はバイオレンスですよの巻。
2011/12/15にアップしたやつ。
だいぶ寒くなってまいりました。ボーナス月だけど私には関係ないので、私の懐も常に寒いです。
そんなちょっとすさんだ心境が反映したのか、今回はだいぶバイオレンスな映画の御紹介になっております。それとそうじゃないの1本。
いやしかし、ぼろは着てても心は錦。胸を張って生きていきたいです。
本サイト的スコア…79点/100点
いやーこの映画面白かったわー。もっと早く観とけば良かったわー。コーエン兄弟観る目が変わったわー。
1980年のテキサス。麻薬取引の現場で仲間割れしたギャングたちが死屍累々と横たわる現場に偶然居合わせたモス(ジョシュ・ブローリン)は、麻薬の代金200万ドルが入ったカバンを持ち逃げする。冷血の殺し屋シガー(ハビエル・バルデム)は、屠殺用のエア・ガンを武器に、追跡の障害になるものは全て屍に変えてモスを追う。更に彼らを追うのは、老保安官エド(トミー・リー・ジョーンズ)。逃走劇の果てに待ち受けるものは何か。と言うようなお話。
バイオレンス度は堂々のR15(日本では。アメリカではR18でした)。飛びまくる血しぶき、そこかしこに出来る血だまり、巻き込まれまくる市井の人々。暴力をふるうのは主に殺し屋シガーなのですが、演者ハビエル・バルデムの狂気メーターの振り切れっぷりがスゴイ。現世の人と明らかに違う倫理観を持つ彼が、顔色ひとつ変えずにエア・ガンをぶっ放しまくります。
逃げる主人公と追い詰める殺し屋、と言う、主人公頑張ってー!な展開になりそうな映画なのですが、今回は何故かそこまで感情移入せず。主人公も主人公で良いタマだからかもしれない。コーエン兄弟の撮り方も、追われる側をことさら悲痛に描こうとしていないからかもしれない。
コーエン兄弟と言えば、どっかシニカルな筋運びとか、アイロニックなユーモアが代名詞。私があんまり好きじゃなかったのは、そのそこはかとないイジワルさが原因なのですが、今回はシニカルもアイロニーもユーモアも封印。シガーの通った後にはペンペン草も生えない、そんな圧倒的な暴力を、正面切って描いています。
原作は本ブログでも過去に御紹介した、“ザ・ロード”の作者、コーマック・マッカーシーの小説「血と暴力の国」。原作は読んでないのですが、是非読んでみたいと思いました。
映画評論家の町山智洋さんのブログに、本作にまつわる面白いお話があったのでリンクしておきます。
⇒”「ノーカントリー」の結末の夢の意味…ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記”
こう言うquoteがサッと出てくるってすごいな。外国文学を読み解くのには色んな知識が必要なんだろうな…。
「“ノーカントリー”を彷彿とさせるモダン・ウェスタン!」ってツタヤの新作の棚にあったから観たわけですよ。「日本で公開してない作品をツタヤだけでレンタル!」って言う煽り文句も気になったわけですよ。
まあ、本当におもしろけりゃ映画館で封切ってるよね。
私がお人好しでした。素人みたいな手に引っ掛かってしまいました。
95分だったから良かったけど122分とかだったら暴れてたよ本当に。
オーストラリアの片田舎、レッド・ヒルに赴任してきた保安官シェーン・クーパー(ライアン・クワンテン)。初日は穏やかに始まったように思われたが、かつてこの街で妻を殺し警官に怪我を負わせた凶悪犯・ジミー(トミー・ルイス)が脱獄したと言うニュースが届く。ジミーはレッド・ヒルの街を復讐の焦土と化すために舞い戻って来た。かくして、シェーンと、レッド・ヒルの保安官たちは、ジミーに立ち向かうのだった。と言う、ガンアクション&スリラーもの。こちらもバッタバッタと人が死にます!
物語にヒネリなし、アクションに迫力なし、伏線に驚きなし。
無い無いづくしですが、BGMの使い方はまあまあ良かったです。ほんとねー、こう言うレアものにもならないDVDを、いかにもレアです!隠れた佳作です!みたいにして出すの良くない。ツタヤは反省して欲しいと思った。ツタヤONLYは借りたくなくなっちゃうよ…。15点/100点。
こないだ御紹介した“クロッシング”の監督、アントン・フークワが2001年に撮った映画。デンゼル・ワシントンがオスカー獲った映画でもあります。
LA市警の巡査ジェイク(イーサン・ホーク)は、かねてから志望していた麻薬捜査官への転属が決まる。上司であるアロンソ(デンゼル・ワシントン)は、凄腕の捜査官として、ジェイクが憧れていた存在だった。初日は「訓練日(トレーニング・デイ)」だと、アロンソはジェイクを捜査に連れ出す。そこでジェイクが見たものは、アロンソの強引な捜査であった。違和感を覚えながらも、アロンソと行動を共にするジェイクだったが、やがてアロンソの本性に触れることになる。
と言うおはなし。こちらも主人公血まみれです!すごく痛そうです!
“クロッシング”より面白かった。“クロッシング”の方が奥深かったけど、こちらの方が解りやすかったと言うのもありますし、単純に物語や映像が明るかったからと言うのもあるのかもしれません。本作において、血気盛んで正義感に溢れる、新婚ほやほやのお巡りさんだったイーサン・ホークが、10年後の“クロッシング”では生活に追われて正義感をすり減らしてしまった子だくさんのお巡りさんを演じているのが意味深。勿論同一人物では無いですが、人が正しい心を保ち続けるのは困難なんだと言う裏メッセージが込められていそうな気がします。65点/100点。
世間様ではポール・ニューマンの演技が高く評価された佳作と言うことになっております。IMDBでも堂々のレート7.7を獲得しております。
尊敬していた先輩弁護士にハメられて身を持ち崩した中年弁護士が、医療過誤裁判を通じ、本来の正義感に目覚めて行くと言う法廷もののお話。
私、“フィラデルフィア”とか“ラリー・フリント”とか、「法廷モノ」を観て薄薄感じていたんですけれども、
法廷モノ、苦手かもしれません…。
弁護士の法廷でのイヤラシイ駆け引きとか、場所が限定されてて広がりがない感じとかが、性に合わないようです。
この“評決”、監督はシドニー・ルメットなんですけども、この方の映画の撮り方がまたね。引いたアングルからの長回しとか、BGMを徹底的に排除する点であるとかが、何と言うか非常に辛うございました。眠い。眠いねん。
私にこう言う映画を面白がることのできるアンテナがついてないのが、無念であります。観る人が観れば、優れた作品であるとは思うのですが。40点/100点。あ、この映画はバイオレンスの真逆を行く作品です。
年内にもう1回くらい更新出来たらいいなあと思います。今年は去年よりは更新出来て良かったです。しかし、半端ない量の更新をされてる映画ブロガーの方々がいっぱいいらっしゃるのを見ると、自分の雑魚感に打ちひしがれます。自分も精進したいです。
あと、今週のロビン・ファン・ペルシーもすごかった。何なんだあの人。サッカーの天使かなんかですか?
最高過ぎます!ありがとうRVP!