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【映画感想】割に合わない商売、それは犯罪。

 2011年8月31日にアップしたやつ。

 今更私がどうこう言うまでも無い映画だと思いますが。犯罪映画の体裁だけど、青春映画ですよね。女の取り合いにすらならないくらい(変な意味で無く)完結してる男同士の友情にしびれます。ポール・ニューマンもロバート・レッドフォードもハンサム過ぎてびっくりします。
 主人公二人が南米のボリビアでどうにかカタギになろうとするけれど、あっさり挫折してしまう一連の場面がいちばん好きなところだったりします。今まで好き放題やってきた豪胆さと相反する「俺たち、別に手に職ついてる訳じゃないし」みたいなナイーブさが、とても人間臭くて愚かしくて好きです。青春映画だなあ、と思うとこです。今観ても、新鮮です。

 ストーリーの序盤から中盤に至るまでは「メロドラマっぽくてつまんねー映画だな」と思いながら観てました。主人公の彼女が逮捕されたくらいから俄然面白くなってきて、主人公が警察署に忍び込む辺りは中々良かった。とは言っても「ジョニー・デップ&マイケル・マン」と言う豪華さの割にはイマイチ感の強かった映画だと思う。☆3.5くらいか。犯罪映画は男の友情とか、男の執念が無いとつまらなくなると言う好例の映画だと思うので、クリスチャン・ベールにはもうひと踏ん張りしてほしかったところ。見どころはやはり、マイケル・マン監督の銃撃戦でしょうか。まるでヘルムート・ニュートンの写真みたいに巧みな、モノクロの、ひんやりとしている色彩。それでいて、画面越しに硝煙の匂いを感じてしまいそうなほどに、激しい描写。うーん、と思わされます。


 何で今まで観なかったんだろう…。と思わず後悔するくらい素晴らしかった。ヒューマンものとしても、推理物としても、犯罪ものとしても、卓越していて、それでいてエンターテイメントとして成り立っていて…。ラストシーン、山崎努の掴む金網が震える場面では鳥肌がたった。あれほど雄弁に犯罪者の内面をあぶり出す演出があるだろうか。あー素晴らしい、本当に素晴らしい、お粗末だけれどもそれ以外の言葉が無い。

 「明日に向かって撃て!」と「パブリック・エネミーズ」については、主人公である犯罪者が、いつの間にか民衆の支持を得ているところが共通点でしょうか。(「明日に向かって撃て!」の壁の穴強盗団は、後世で人気が出たのかな)しかし民衆はあくまで一種の娯楽の対象として面白がっているだけで、本当に彼らをリスペクトしているかと言えば勿論そんなことは無いわけですね。つまり孤独。しかもそれだけ注目を集めれば、当局の本気度も高まっていくし。つまり過酷。やればやるほど自分たちの首を絞めていく、犯罪と言うのは実に割に合わない商売だなあ、と思います。辞めとくに越したことは無い。
 けれども、人生の色んな分岐の選択の積み重ねで、彼らは必然的に犯罪者になってしまった訳で、今更どうしようもない。後悔もあるだろうし、マトモな死に方は出来ないと言う覚悟もあるだろうし、とは言え生き延びてやると言う不敵さもある。必然として、女性とのつながりも、刹那的で激しいものになる。彼らのそんなところが、犯罪映画の魅力なのかなと思ったりします。
 また何と言っても、彼らのファッションがカッコ良いなと。この時代、ジャージとかTシャツとかまだ無いので、基本スーツなんですね。どんな悪人も三つ揃いを着て帽子をかぶっている。「ゴッドファーザー」もそうですが、これ、何気なく、画面を洗練させている要素のひとつですよね。


マイケル・マンと言えばこれですよね!って書こうと思って調べ直したら監督はブライアン・デ・パルマだった。ロバート・デ・ニーロ小憎らし過ぎワロタ映画。マイケル・マンと言えば「HEAT」だろ!って感じなんでしょうがすみません観たこと無いです今度観ます。


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