【映画感想】続けることが才能です。駄目でも別にいいんです。
2011年5月7日にアップしたやつ。
昨日自宅の団地の敷地内を歩いていたら、テニスボールがコロコロと転がって来たのです。拾ってボールの持ち主の少年に渡したところ、「ありがとうございます!」と元気に頭を下げられてしまいました。普段あんまり他人と会話をしていない私は、「ど、どういたしまま」とカミカミになってしまいました。駄目駄目です。駄目な大人です。
無頼の作家、C.ブコウスキーも駄目人間として有名ですが、でも作家としてこんだけ成功したので、駄目界の紳士録の中では末席に座するべきだと思います。駄目な大人として知られている人は、「知られている」という時点である一定の成果を上げているわけで、全然駄目じゃないですよね。駄目界の落ちこぼれだと思います。もっと徹底的に駄目な人はいるはずです。あまりに駄目だからこの世に出てこないだけで。
ちょっと話が逸れました。そんな駄目紳士録なら多分末尾にいるであろうブコウスキー、しかしやっぱり駄目です。「お前もっとちゃんとしろよ…」って、自伝とか小説を読むたびに思います。でも、これだけ駄目でだらだらで働くのが嫌いで、四六時中おねーちゃんのことばっかり考えてて、たまに働こうとしてもすぐ挫折するみたいな人でも、どうにか生きていけるんだなあと思うとちょっと勇気が出てきます。駄目でもどうにかなる。それを全身全霊で伝えてくれるブコウスキーに、私はいつもとても勇気をもらっているのです。
上の映画は、そんなブコウスキーの懲りない日常を(映画ではヘンリー・チナスキーと言う名前になってますが、ブコウスキーの自伝小説が原作なので、ブコウスキーと思って差し支えないと思います)淡々と描いたものです。タイトルの「なるまえに」が示す通り、作家以前、本当になんでもない飲んだくれだったブコウスキーがそこにはいます。でも、彼は書くことだけはやめなかったのですね。どんなにお金が無くても酔っ払っていても、書くしかなかった、書かざるを得なかった。それ自体がすでに才能だと思います。最近「あなたは作家ですかそれともエッセイストですかタレントですか?」みたいな人も多いですが、ただ愚直に書き続けたブコウスキーはやはり才能に溢れた作家だったんだと思います。そんなブコウスキーがちょっとうらやましいです。
私が学生の頃、普通に手に入るブコウスキの文庫が上のものだったので、買って読みました。なんでブコウスキー読もうと思ったかと言うと、多分W.バロウズを読んだからで、それは「バロウズの妻」を観たからで、それはコートニー・ラブが出てたからなので、あの頃の自分はやはり音楽に色んなものをもらっていたんだなあと思います。