横浜F・マリノスの決算(2022年度)
2023年5月26日にJリーグより2022年度(2023年1月期)の決算が発表された(2023年3月期決算チームを除く)。
https://aboutj.jleague.jp/corporate/wp-content/themes/j_corp/assets/pdf/club-r3kaiji_1_20230526.pdf
今年も勝手に考察してみる。
1.損益計算書推移(直近3年)
2022年度から「営業費用」が「売上原価」と「販売費および一般管理費」に分かれ、売上に「女子チーム関連収入」、売上原価に「その他売上原価」の項目が増えているが横浜F・マリノスにはあまり影響がない。
横浜F・マリノスの2022年度の売上高は、対前年比で「スポンサー収入」が3億31百万円減少しているが、「その他収入」が9億25百万円、入場料収入が3億65百万円等増加し、全体として12億53百万円増加した。売上原価は、対前年比で「トップチーム人件費」が8億74百万円増加し、全体として10億64百万円増加した。
営業利益は、対前年比で25百万円増加し、11百万円。(2019年ぶりに黒字に転換)
そして、当期純利益は、今年も安定のちょい利益。
2.貸借対照表推移(直近3年)
流動資産が減少し、固定資産等がほぼ同額増加しているため、クラブハウス関連の前払金が固定資産に振り替わったか。昨年度から流動負債が流動資産を大きく上回っており、今年度は2倍ほどになっているのは少々不安。
3.売上高内訳割合(前期比較)
4.売上の項目別チームランキング
(1)売上高
増収率トップの約12億の増収により前年度の6位から3位に浮上。詳細は次項目以降で。コロナが解除されつつあり、浦和が本領発揮してきた。
(2)スポンサー収入
2021年度の約5億円の減少、2022年度の約3億円の減少で8位から11位へ落ち込み。2020年度から32%の減少。いくつかのトップパートナーの撤退が影響していると思うが、ここまでの減少となると日産様の影響もあるのではないか。日産は2020年3月期、2021年3月期と2期連続の最終赤字であった。それ以降は黒字になっているため、なんとか来年度は増加になってほしい。
(3)入場料収入
コロナ制限の影響で前年度は1位だったが、今年度はコロナ制限解除による他チームの増加におとり、3位に落ち込み。チーム最高記録は2019年の約13億なので、ようやく通常に戻ってきた。
(4)Jリーグ配分金
2019年優勝の理念強化配分金のおかげで今年度も前年度に引き続き1位。主な内訳は均等配分金3.5億+2019年優勝の理念強化配分金5億円。来年度はこの5億円がなくなってしまう。
(5)物販収入
ここは販売方式によって計上額が違うので、一概にランキング通りではないが、前年度より約1.5億円の増収で3位から2位へ。2016年度から公表されて、チーム最高が2020年度の約10億円なので、それにあと約1億円にせまる約9億円。これは入場者数増加の影響か。自分の分析では、2020年度は2019年度の優勝記念グッズの影響で前年から約3億円増収したと思っているので、2022年度の優勝記念グッズの影響で来年度はもしかしたら過去最高記録がでるかもしれない。(SNSの反応をみると2022年の優勝記念グッズは、2019年ほどの盛り上がりはなかったと思っているのでそこまで影響はないかもしれない。)
備忘:2023年度からは自社HP販売から楽天販売へ変更されている。
(5)その他収入
その他収入は、主に移籍金収入と考えているが、報道での移籍金で計算すると約11億円(主にチアゴ・前田大然・レオセアラ等)。これにACL賞金約5千万円。
他に考えられるとしたら、セルティックにレンタル移籍していた前田大然のレンタル報酬(約4ヶ月分なのでそこまで影響はないだろう)や優勝した際のスポンサーからのボーナス支給がここに含まれるのか。
残り約4億5千万はなんだろう。
5.売上原価内訳割合(前年比)
6.売上原価項目別チームランキング
対象チームが少なかったり、横浜F・マリノスが計上していない項目は省略。
(1)売上原価
今年度から売上原価と販売費および一般管理費に分類されたので、2020年度と2021年度は営業費用から販売費および一般管理費を除いた金額で表示。
売上原価増加10億64百万円の主な要因はトップチーム人件費8億74百万円。
(2)トップチーム人件費
まさかの8億74百万円増加の2位(前年9位)。要因として考えられるのは、移籍金、優勝ボーナス(出来高含む)、円安による人件費高騰等。
まず移籍金については、報道や憶測で約6億ほど(主にエドュアルド、ロペス、ヤンマテウス)。通常、契約移籍金は契約年数で按分するという話を聞くので3年で割ったら約2億。
優勝ボーナス(出来高含む)については、完全に憶測で1割アップとすると約2.5億。
アントラーズの決算発表で報道になっていた円安による外国籍選手の人件費高騰。単純な年のドル円の平均レートでは2割ほど円安になっているので、うちの場合は約1.5億と予想。
あと、サッカー記者の河治さんのツィートによると、うちは選手とチームスタッフだけで56人ぐらいいて、他チームよりメディカルスタッフが多いとのこと。
普通にうちの選手層を考えれば、リーグNo.1と言ってもいいぐらいなので、これぐらいになっても不思議ではないが、今までの経緯をみるとどうなのか。
(3)試合関連経費
(4)トップチーム運営経費
(5)物販関連費
7.販売費および一般管理費チームランキング
8.その他の項目別チームランキング
(1)営業利益
黒字転換☆彡
(2)営業外収益
(3)営業外費用
(4)経常利益(△損失)
(5)特別利益
(6)特別損失
(7)税引前当期利益(△損失)
(8)法人税および住民税等
(9)当期純利益(△損失)
他のチームが年度によって変動が大きいのに対して、うちのこの狙いすました当期純利益の額は毎度素晴らしい。
9.まとめ
今年のトピックは、①スポンサー料の減少、②移籍金収入過去最大!?、③Jリーグ分配金過去最大!。
強くなれば、優勝すればスポンサー料はどんどん増えていくものだと思っていたけど、現実はその逆。いつかスポンサー料については深堀してみたいけど、ランキング上位チームは、親企業やその関係会社の金額が大きいのではないかと思っている。
2023年度は、2019年度優勝による理念強化配分金5億がなくなり、今のところ大きな移籍金収入もない。夏の移籍加入やシーズン後の移籍加入も静かなものとなりそう。
そのため、2023年度の優勝による理念強化配分金の獲得はマストである。
怖いのは、コロナ制限が解除され、他チームの収入増加による強化。仲川輝人が移籍した要因の一つに年俸の高さがあり、他チームがうちより高い年俸を提示してくること。昨今の強さにより、うちの年俸水準が上がっている可能性もあるので、そこまで差はないかもしれないが、億以上の提示をされたら勝負できない。
(湘南・柏の決算が公表され次第更新予定)
以上。