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横浜F・マリノスの決算(2021年度)

横浜F・マリノスは、はたしてビッククラブなのか!?
チームの強さだけではなく、経営成績の面からみてみたいと思い、公表されたJリーグクラブ経営情報開示資料から勝手に考察。

1.損益計算書推移(直近3年)

2021年度の"営業収益"は、”スポンサー収入”5億30百万円減少の影響により、6億36百万円減少の52億28百万円。
"営業利益"は65百万円の損失だが、前年より51百万円改善している。
"当期純利益"もなんとか黒字の4百万円。

2.貸借対照表推移(直近3年)

"流動資産"と"流動負債"がほぼ同額減少。
"利益剰余金"は4百万円改善して、△25百万円。

3.営業収益内訳

売上の合計でもある営業収益の内訳をみると、順位や割合に大きな変化はないが、2021年からアカデミー関連収入がなくなっているため、一般社団法人F・マリノススポーツクラブに移ったのか。
2019年まで2番目に多かった入場料収入は2020年よりも増加したが、まだ通常の半分ほど。

4.営業収益項目別チームランキング

(1)営業収益

前年とは逆で、他のチームが軒並み売上を増加させている中、売上が減少してしまい、1番目から6番目へ。よく補強をしているせいか金満クラブと思われているが、そんなことは決してない。
約6億減少しているが、アカデミー関連収入の減少を除くと実質的な減少は約3億となる。(詳細はアカデミー関連収入の項目参照。)
次からは、営業収益の項目別の推移。

(2)スポンサー収入

今年の中で一番注目すべきは、スポンサー収入の減少。5億30百万円の減少で7番目。額が大きいため、要因は、メインスポンサーである日産か2019年7月から2年間トップパートナーだったメルコリゾーツの影響か。
(2022年8月27日追記)
今年の減少の要因の1つに2019年優勝ボーナスの影響があるのではないか。
スポンサー契約の中に、優勝した際には、翌年度に何%かの上乗せがある可能性。仮に10%とするとその額は2億ちょい。その分を2020年→2021年の減少額から控除すると、今年の減少額は約3億になる。これぐらいであれば、説明はつきそう。

(3)入場料収入

まだまだ入場制限があるなかだが、昨年に引き続き、1億57百万円増加で1番目!
上位陣は、まだ通常時の半分ほど。

(4)Jリーグ配分金

1番目。主な内訳は、均等配分金3.5億円+2019年優勝の理念強化配分金5億円(2020年5.5億円、2021年5億円、2022年5億円)。
川崎の理念強化配分金は、今と年間の配分額が違う。
理念強化配分金は、コロナの影響で2020年から2022年までの3年間は停止中。

(5)アカデミー関連収入

去年1番目だったが、今年は0。今年からアカデミー関連収入は、2021年2月より事業を開始した”一般社団法人F・マリノススポーツクラブ”に移したと思われる。

(6)物販収入

前年から2億64百万円減少で3番目!
やはり昨年は2019年優勝記念グッズブーストがあったのだろう。その額約3億円とみる。

(7)その他収入

3億29百万円増加の8番目。ここはなにが計上されているかわからないが、移籍金収入を報道での金額で計算すると約4.5億円(遠藤・アンジェ・オナイウ阿道・ティーラトン・扇原)。
上位チームの増加額がエグいので、おそらく通常であればスポンサー収入に入るであろうものが、なんらかの理由でその他収入に計上しているか。
額的にその他では説明できないので、基準を設けてほしいところ。
神戸は、その他収入で約31億、特別利益で約33億の合計約64億をスポンサー収入とは別で計上している。

5.営業費用内訳

収入同様、2021年からアカデミー関連費用がなくなっているため、一般社団法人F・マリノススポーツクラブに移ったと思われる。

6.営業費用項目別チームランキング

(1)営業費用

通常の費用の合計でもある営業費用の推移で、6番目。
アカデミー運営経費(約2億)を除くと減少額は、約4億円。
次からは、営業費用内訳の推移。

(2)チーム人件費

年々選手も揃ってきているので、前年比で減少する理由はわからないが、約4億円の減少。
(2022年8月27日追記)
”ずっと、気になっていた人件費の減少の理由。
スポンサー収入同様、ここにも2019年優勝の影響があるのではないか。
優勝ボーナスが2020年の人件費に上乗せされている可能性。2019年→2020年の増加額は278百万円で約10%の増加。その分が優勝ボーナスと考えれば、今年の減少も通常の変動になる。”

(3)試合関連費

6番目。日産スタジアムと三ッ沢競技場もうまく使いながらやっているので、費用は抑えられているのではないか。

(4)トップチーム運営経費

(5)アカデミー運営経費

収入の方にも書いたが、今年から0に。

(6)女子チーム運営経費

(7)物販関連費

物販収入が減少しているので、原価でもあるそれに応じて減少。

(8)販売費および一般管理費推移

7.その他の項目別チームランキング

(1)営業利益

51百万改善したが、営業損失14百万。
昨年、営業黒字は3チームだったが、今年は2チーム増えて5チームに。

(2)営業外収入

(3)営業外費用

(4)経常利益(△損失)

経常利益はなんとか黒字。

(5)特別利益

神戸は去年の52億に続いて、今年は33億円を計上。

(6)特別損失

(7)税引前当期純利益(△損失)

だいたい税引前当期純利益は、プラマイ0ぐらいを狙って資金管理をしてきているイメージだが、川崎Fはがっつり利益をだし、次の項目でわかるように税金もがっつり納める高額納税チーム。

(8)法人税および住民税等

(9)当期純利益(△損失)

あいかわらずの少し黒字は、明らかに狙っているし、すばらしいコントロール。

8.まとめ

今年のトピックは、①スポンサー収入の減少、②移籍金収入がっぽり、③Jリーグ分配金がっぽり。
なんといってもスポンサー収入の減少は、今後も考えると何とも不安。横浜F・マリノスのことだから、うまく調整したのかなと思いたいところだが、上位との金額の差は小さくない。
移籍金収入は、来年もチアゴ・前田大然が確定しているので少なくはない。チアゴは報道だと約5億円。そして前田大然については、買取前提のレンタルということで、こちらは、ほぼほぼ今年の資金繰りにめどがついた横浜F・マリノスからの要望だったのではないかと予想。これにより、2022年シーズ初めのエドゥアルドとアンデルソン・ロペスの獲得が可能になった。
なにはともあれ、今年も無事に黒字を計上し、ここ数年の経営成績の安定には拍手を送りたい。
(2022年8月27日追記)
”優勝した翌年度には、優勝ボーナスとして、スポンサー収入と人件費の増加(約10%)、物販収入(約3億)と物販関連費用の増加があると思われる。”

ビッククラブへの道は始まったばかり!

以上。

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