【救急疾患を知ろう】 過換気症候群
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初めての人は、はじめまして!
救急医のかたかたです🚑
日々活用できる、知ってて自慢できる救急の知識を提供しています👊🏻
今回ご紹介するのは過換気症候群です。
それって救急疾患なの?と思う方もいるでしょうか。
救急車で運ばれることは普通にあります!
過換気症候群は軽症が多いですが、怖い病気が見つかることもありますので、しっかり知識をつけていきましょう!
結論
過換気症候群は必要以上に呼吸し、しびれなどの症状が出るもの。
精神的、心因的な経過であれば、落ち着いて呼吸するよう指示、不安や緊張を取り除くような声掛けを!
ペーパーバッグ法はダメ、ゼッタイ!
精神的・心因的な経過でなければ、救急要請や受診を!
過換気症候群とは
過換気症候群を理解するためには、まず換気という概念を考えましょう。
換気というのは呼吸による空気の入れ替えのことで、二酸化炭素を体外に出す働きをします。
過換気はその名の通り換気が過剰に行われる状態を指し、不自然に速い呼吸が見られるときに発生します。
過剰な換気により二酸化炭素が過剰に出され、結果として手足の痺れなどの症状がでるため過換気「症候群」と呼ばれます。
<補足>頻呼吸、過呼吸
似た言葉で、頻呼吸や過呼吸があるけどどう違うんや?
それぞれの意味を見ていきましょう!
頻呼吸とは呼吸が速いことをいいます。大体3秒で2回以上呼吸しているなら頻呼吸と言えるでしょう。
過呼吸とは二酸化炭素が溜まりやすい状態であるため、身体がそれを出そうと深く速めの呼吸をすることをいいます。
正直この違いをロジカルに説明できる医療者はあまりいない気がします。
恥ずかしながら、かくいう私もこれを機に正確に知りました🙇🏻♂️
簡潔に言えば、異常なくらいの数を呼吸をしている場合は過換気を疑う、といったくらいの認識で良いかと思います。
原因
過換気と疑うのには多少経験が必要で、判断を間違う可能性があります。
なので過換気症候群の原因に着目すると区別しやすいです。
過換気症候群の原因の多くは精神的、心因的要素で、パニック障害や不安神経症、ストレスがあります。
例えば、口論後や呼吸困難感でパニック(バスや電車内が多い)などが典型的です。
過去にも繰り返されていることがよくあります。
他の原因としては、病気によって生じるものです。
軽度の気管支喘息や声帯麻痺、コロナなどの呼吸器感染症など幅広くあります。
ただしいずれも上記のような精神・心因的エピソードでは起こらず、ゼーゼーしていたり声が出せない、発熱や咳をしているなどの他の症状の方が目立つでしょう。
対応
精神・心因的なエピソードがあるとき
まずは原因をなくすこと。
次に落ち着いて呼吸をするよう言葉かけをしたり、手を握るなどの対応をします。(原因となる人がやると逆効果かも、要注意)
呼吸の仕方の指示も有効で、大きく息を吸い(4秒間)、少し止めてから(数秒間)、ゆっくり吐くように(8秒間)指示します。
これを5〜10サイクルします。
それでも治らない、数十分間以上継続していれば、薬剤投与が必要なまでの精神状態か下記のそれ以外の可能性があるため受診を勧めます。
過去にペーパーバッグ法といって穴を開けた紙袋を口に当てて呼吸させる方法が世に知れ渡りましたが、低酸素のリスクがあるため危険です。やめましょう。
それ以外
上記の病気がベースとしてありうるため、ただちに受診もしくは救急要請が必要です。
精神的なものかそれ以外か判断が難しい時も同様の対応をしてもらっても構いません。
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