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大雨時、体を濡らさない避難の呼びかけを

本格的な夏を迎える前、一部を除き梅雨に入る日本列島。今年はそのほとんどが6月中に明けてしまい、逆に「梅雨の戻り」が心配されます。
この時期、池沼に好んで咲く蓮の花は泥の中にあっても汚れのない美しさで日本人に愛されている花のひとつです。
大きな盾状の葉の上でコロコロと朝露の水滴が集まり、転がり落ちていくのを見て不思議に思ったことはありませんか? 蓮の葉には微細な毛がびっしりと密生していて疎水性が高いため、水滴が丸まって移動しやすくなるのだとか。葉に付着したホコリや虫などをからめ取りながら水が動くメカニズムは「ロータス効果」とも呼ばれ、天然の自浄作用としてさまざまな撥水技術に応用されています。“濡れない傘”も自然から学んだテクノロジーが実現した商品なのです。

梅雨末期になるとそんなハイテクな傘も役に立たないような大量の雨が局所的に降り続けるタイミングがあります。近年、日本各地に大きな被害をもたらしている線状降水帯は、数日にわたり同じエリアで停滞し、次々と発生する雨雲が大雨を降らし続けて河川の氾濫や土砂災害を起こします。
この6月1日から線状降水帯が関わる大雨について、気象庁によりその半日程度前から注意喚起が始まっています。自分のエリアが対象となった時自治体が発令する避難情報や大雨警報キキクル(危険度分布)等の防災気象情報と併せて活用し自ら避難の判断をすることが大切になります。

避難の呼びかけは、早めの行動はもちろんのこと逃げる際に両手が空くよう背負うタイプの持ち出し袋をおすすめしましょう。その中に大きなポリ袋を開いて持ち出し品を詰め、口は閉じて防水仕様に。傘はささず、レインウエアを上下に着込んで身体を濡らさないように気をつけること。長時間雨に濡れたままいると、真夏でも命に関わるような低体温症になる事例も少なくありません。避難時の危機回避を事前に呼びかけるのも、防災士の役割のひとつになります。

Writing / 鈴木里美


参考資料|草木花歳時記・夏(朝日新聞社刊 1999年)|生物に学ぶイノベーション 進化38億年の超技術(赤池学著 NHK出版 2014年)|新・いのちを守る気象情報(斉田季実治著 NHK出版 2021年)


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