催眠関連の資料
マジックマーケット2024春のオンライン出展で出す『はじめて以前の催眠術』内で催眠を独習するにあたりオススメの資料を記載しましたが、当 note の読者的には初歩的すぎるか、既に読んでいる人がほとんどだと思うので、もう少し踏み込んだものをここで紹介します。
以前に自サイトの会員向けに紹介していたものと共通するものも多いため、そちらを知っている方はそこまで読む必要はありません。
※ 一部ダイレクトマーケティングが含まれています
なお、『はじめて以前の催眠術』はマジックマーケット終了後も自サイトで販売をしています。
書籍:
催眠関連の書籍で読まないよりは読んでおいた方が良いものを紹介します
The Oxford Handbook of Hypnosis:
2007年ごろまでの研究やら背景やらが詳しく書かれており、学術的に催眠を知るのに最も体系的な書籍で、ダレン・ブラウンの推薦図書でもあります。
ただ、心理学や認知科学分野はここ10年だけでも今までの常識が書き変わるレベルの進化をしており、2007年ごろの情報は既に古いとも言えるため、余力のある人向けです。
はじめての催眠術:
上述の "The Oxford Handbook of Hypnosis" なども参考文献に入っており、前半は現代的な研究を総括しているため、正直これ1冊で基本情報はほぼ足ります。
手法に関しても初心者がとっつきやすく、比較的高い成功率が見込める手法が紹介されていますが、後述する『8115 / 山の日セミナー』を見ると、ここで紹介されている手法が非マジシャン向けにかなりデチューンされていることが分かるので、マジックをやっている人はこれに合わせて『8115 / 山の日セミナー』を見ておくことをお勧めします(ダイマ)
催眠誘導ハンドブック
理論はあれとして、手法がとにかく多く紹介されています。眉村神也氏に勧めたら非常に良い反応が返ってきた書籍でもあります。
原著が絶版でプレミアム価格になっていますが、日本だと大きめの本屋で普通に買えます。
基礎をある程度把握してから読むイメージです。
The Stage & Street Hypnosis Handbook:
ストリート(2~10分)、ステージ(30~90分)の催眠パフォーマンスについてのハンドブックで、漆原正貴氏の推薦図書の1つです。
ホッピング環境のような短い時間で催眠パフォーマンスをやりたい人もこれを読んでおくと参考になるかも知れません。
The New Encyclopedia of Stage Hypnotism
英語圏ではステージ催眠のバイブルとも称され、「ダレン・ブラウンみたいな催眠はどうやったら覚えられますか?」という某掲示板での質問に対して「少し違うかも知れないが…」とこの書籍が紹介されていたことがあります。
正直、ステージ環境のある人は多くないと思いますし、情報としても全体的に古いため優先度は低く、 "The Stage & Street Hypnosis Handbook" の方が現代においては役に立つかも知れません。
ダイレクトマーケティング編:
自サイトで紹介していた頃と現在とで大きく異なるのは自コンテンツの有無と言えます。つまりダイレクトマーケティングができるんですよね…今は…
Private Hypno(?) Seminar
P.H.S. と略されがちなレクチャー動画(+PDF補足資料)です。
催眠初心者の2人を交えて軽く催眠の話をするという内容で、身体操作系やボディトリックを利用した失敗しにくい誘導法がメインと思われがちですが、前半の催眠基本情報みたいな部分の評判が地味に良く、当初の価格が「安すぎる」と言われたため、後に価格をあげたなんて事情もあります。
という感想が寄せられており、即効性の高い内容だったと言えます。
中には「今まで幾つもの教材を買ったけど催眠ができず、PHSを見てから初めて催眠に挑戦して上手くいった」みたいなニュアンスの感想があったように、今までの催眠教材は基本的にエビデンスのない、属人的な手法の解説がメインになっているため、ある種の才能を持っている人しか真似できない問題があったところ、PHS では根拠を交えて催眠が難しくないことを示しているため、その辺で差が出たと考えられます。
補足資料ではこの辺の記事の内容が軽くまとまっており、今度のマジケで出す『はじめて以前の催眠術』とも大部分が被っています。
『はじめて以前の催眠術』の大まかな内容については以下の記事を参考にしてください。
"P.H.S." が実践よりで、『はじめて以前の催眠術』が基礎よりの違いはありますが、実践だけならどちらかを見ていれば十分だと個人的には思います。
山の日セミナー / 8115
『はじめての催眠術』の著者である漆原正貴氏をゲストに呼んだ、コンボ・レクチャーみたいな内容です。
ショップでは「山の日(令和5年)」ということで、『8115』のタイトルでアーカイブを販売しています。
ゲストや関係者の強い希望によりアーカイブの販売価格を高くしていますがステージを3回転くらいできるくらいの情報量があり、実際に催眠ショーをやる人が構成などの参考にしている話も聞くため、仕事でやる人なら見る価値があります。
というより、現地参加した人、或いは既にアーカイブを見た人は、『はじめての催眠術』が如何に初心者向けの内容で、且つマジックをやらない人向けに作られたものであることがわかります。
『はじめての催眠術』で紹介されている手法は本来の漆原氏がやっている手法をかなりデチューンしたものであり、本来の手法はより強力で、マジックとの相性も良いものが使われていますし、こういった機会がなければずっと隠したままでいたであろう内容だったと思います。
(というより、実際にあまり広めたくないと言われており、アーカイブの価格を上げている大きな理由の1つになっています)
番外編:
純粋な催眠ではなく、メンタリズム系の映像資料がメインですが、実演の参考にしていたものを(一部)購読者向けに紹介します
SKIN - Benjamin Earl
イギリスのマジシャンであるベンジャミン・アールが発表しているマジックのルーティンですが、いわゆる非催眠条件における催眠(類似)現象が取り入れられています。
レビューでは成立しないみたいなことが書かれているものの、『はじめて以前の催眠術』を読んだ方であれば、この催眠(類似)現象がそう難しいものではなく、かなり効率の良い現象であることが分かるかと思います。
難点を挙げるとすれば、主な現象がコインベンディングであるため、日本の硬貨でやると法的な問題があることです。
皮膚の変化など、催眠類似現象の部分については、スクリーニングとして機能するため、主体となる現象(コインベンディング)をやりつつ、観客の感受性を確認する手段として使えます。
SKULDUGGUREY - Luke Jermay
SKINと似たような現象も含まれており、補足資料に Benjamin Earl と Luke Jermay が情報共有しているとの記述もありますし、イギリスのメンタリズム界隈でこの手の現象がちょっとブームだった時期があるんじゃないかと思っています。
こちらもAmazonのレビューを見ると、これも(高度な)催眠現象であると思っている人が多いのですが、実際にはこちらも催眠の文脈を排除することで起こりやすい現象であるため、「催眠である」という先入観を取り除けば比較的簡単な現象だと言えます。
SKIN と比較して、より直接的に暗示の要素は入っているものの、これもある程度のトリックで現象を起こしつつ、スクリーニングとなる手順なので、雰囲気に合う人は選択肢の1つに入るかと思います。
なお、この中で紹介されている脈を止める現象の第一段階を簡単に起こそうと考えたのが note などでも出している "Easy stop my pulse" です
ここからさらに発展させて、脈拍を自由にコントロールするトリックも考案しましたが、属人性が高すぎるため余りオススメはしていません。
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