恐怖の万華鏡 【Miracle Fanta詩 Ⅱ 309】
アストンに殴り飛ばされたマダムネヴァは
魔導炉室の冷たく硬い床に打ちつけられた
マダムは自分の顔の状態よりも
ダイヤモンドの瞳を以ってしても
捉えられなかった何かの正体に畏怖した
アストンはすかさずマダムネヴァに馬乗りになって
そのまま彼の顔面を殴り続けた
アストンの拳はダイヤモンド製であるにも関わらず
メリケングローブを嵌めているので
通常の人間が殴る威力を遥かに凌駕していた
魔導炉室には
スイカを叩き割る時のような鈍い音が
幾度となく響き渡っていた
アストンの身体は最初よりも濃い黒いモヤに包まれており
その濃さが増すごとに魔導炉に寄生したニガマトも
さらに巨大になっていった
あまりにも支離滅裂で感情的な攻撃に
マダムネヴァはさらに畏怖した
ダイヤモンドの瞳の能力を発現したが
そこに映ったのは紛れもなく
恐れ慄く自分自身の顔だった
その顔にまた彼は畏怖した
今度は氷のナイフを形作って
アストンを突き刺そうと試みたが
彼の身体に触れた瞬間に
氷のナイフは脆く崩れ落ちてしまった
マダムネヴァは自らの能力では
太刀打ちできない無力さに絶望し
抵抗することを諦めた
マダムネヴァには
徐々に彼の声も初めの頃に聞いた
作り物の声に聞こえてきたが
アストンは今自分自身の声で叫んでいた
遠のく意識の中
ぴたりと拳撃が止んだ
アストンの凶行に見かねたホークジョウは
彼の拳を掴んでそれを止めた
♦︎コマンド♦︎
・あなたは喧嘩や争いをなだめる感情を思い出してみる。
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