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恐怖の万華鏡 【Miracle Fanta詩 Ⅱ 309】

アストンに殴り飛ばされたマダムネヴァは
魔導炉室エンジン・ルームの冷たく硬い床に打ちつけられた

「"誰?!何も見えなかった…!
どこから何が飛んで来たの…?!"」

━━ スノーマンズ総帥、マダムネヴァ


マダムは自分の顔の状態よりも
ダイヤモンドの瞳を以ってしても
捉えられなかった何かの正体に畏怖した

アストンはすかさずマダムネヴァに馬乗りになって
そのまま彼の顔面を殴り続けた

アストンの拳はダイヤモンド製であるにも関わらず
メリケングローブを嵌めているので
通常の人間が殴る威力を遥かに凌駕していた

魔導炉室エンジン・ルームには
スイカを叩き割る時のような鈍い音が
幾度となく響き渡っていた

アストンの身体は最初よりも濃い黒いモヤに包まれており
その濃さが増すごとに魔導炉エンジンに寄生したニガマトも
さらに巨大になっていった


「僕の!代わりは!いくらでも!居ると!言っていたな!
こんな痛みを!与えらる!代わりは!いくらでも!居るのか!?」

━━ ダイヤモンドの少年、アストン


あまりにも支離滅裂で感情的な攻撃に
マダムネヴァはさらに畏怖した

ダイヤモンドの瞳の能力を発現したが
そこに映ったのは紛れもなく
恐れ慄く自分自身の顔だった

その顔にまた彼は畏怖した

今度は氷のナイフを形作って
アストンを突き刺そうと試みたが
彼の身体に触れた瞬間に
氷のナイフは脆く崩れ落ちてしまった

マダムネヴァは自らの能力では
太刀打ちできない無力さに絶望し
抵抗することを諦めた


「オイ!ナントカ!言ッテミロ!」

━━ アストン


マダムネヴァには
徐々に彼の声も初めの頃に聞いた
作り物の声に聞こえてきたが
アストンは今自分自身の声で叫んでいた

遠のく意識の中
ぴたりと拳撃が止んだ

「そんくらいにしといたらどうだ?
もういい加減、気は済んだろう?」

━━ 幻術使い、ホークジョウ


アストンの凶行に見かねたホークジョウは
彼の拳を掴んでそれを止めた


♦︎コマンド♦︎

・あなたは喧嘩や争いをなだめる感情を思い出してみる。



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