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開かずの扉 【地底帝国の詩 103】
テンムスたちは困り果てていた
鏡の断片のある部屋の前まで
来たというのに
肝心の扉が開かないのだ
テンムスは扉を隈なく調べてみたが
パスワードの文字盤も
重く厳つい錠前も
どこにも見当たらなかった
やはりこれは誰かの心力で
固く閉ざされているに違いなかった
ゾニィに思い当たる節を
聞いてみたが
研究員のなかには呪詛術師のような存在は居なかったという
思いつく方法は潰えたので
ヤマトにテレパス通信を繋いだ
「そういえば…、祭壇の裏口もそんな仕掛けがされていた気がする」
「それ、どうやって開けたの?」
「いやぁ、それが…覚えてないんだよねぇ〜。
完全に無意識だったからさぁ…」
「呆れた…。
…あと変わった状況と言ったら?」
「強いて言うなら…、機動石器《ヴィークル》に乗っていたことかなぁ?」
「そ、ありがとう。
"彼はやはり何かとてつもないものを内に秘めているに違いないわ…"」
テンムスはヤマトに秘められし力の存在を
改めて確信した
「心力でロックしているなら、本体はそこまで遠くには居ないはず。
ゾニィ、この周辺は何の部屋なの?」
ヤマトが勾玉光輪にインストールした
研究棟の地図を見ながら
テンムスがゾニィに問いかけた
「ここら一帯はオレの知る限りでは全部物理実験室だぜ」
「空き部屋もなく、研究員も白と考えると…」
その瞬間
扉についていたテンムスの手が
みるみる内にめり込んで行った
◆ 新事実 ◆
・テンムスはヤマトのポテンシャルに気付いてらっしゃる。