
天才のひらめき 【Miracle Fanta詩 Ⅱ 319】
ミナミは漆黒のオーラを纏いながら
その目は確実に正気を失っていた
ニガマトの身体も
のたうつ触手のように伸びてゆき
艦内を破壊し始めていた
ドブナガは少々パニックだったが
この状況を打破する方法を
一頻り頭のなかで捻り出していた
最早それは
一か八かの賭けに近いアイデアだった
「たまご…。そうだ、ライスワイフの持っていたたまごがあったろう…?
記憶を失ってまで守っていたものだから、余程大切なものなんじゃないのか?
意思号から、それを持って来れば…」
「バカ、あれはアイウェオのたまごだ。
ドラゴンのたまご。
でも…、アイウェオは短剣になった人物のなんとかって魔女が言ってたな…」
それを聞いたドブナガは
すぐさまその場から走り出し
冬籠りのクジラ号のなかに置いてある
ウィードの意思号に向かった
「ミナミさんはアストンに止めてもらって時間を稼いでくれ!
彼には反魔法装甲《リフレクター》が備わってるだろう?」
「おい!
…勝手なヤツ!」
ドブナガは思い出したかのように
シスルーとズマップを引き連れて
魔導炉室|《エンジン・ルーム》を飛び出した
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