凍りつく石薔薇【Miracle Fanta詩 Ⅱ 303】
こちら魔導炉室
モントローザはマダムネヴァへ
先制攻撃を仕掛けた
石薔薇の剣の先は
マダムの目に向いていた
マダムの持つ真実を見通す
ダイヤモンドの瞳に
この動きを予測出来ない訳は無かった
「賢そうに見えたけど、案外考えてる事は単純なのね。
意外と素直な子じゃない」
マダムはひらり攻撃を交わすと
氷の息吹をモントローザへ向けて
すかさず吹きかけた
石薔薇の剣を構えた
モントローザの右腕は
瞬く間に凍りついてゆき
近くの壁に貼り付けになった
「魔女のクセに動きが単調よ。
そんな無策な方法、攻撃とは言わないわ。
ただの突撃よ。
軍隊なら真っ先にアナタみたいなのが死ぬわ。
犬死によ」
「いやぁ、厄介ね。そのダイヤモンドの瞳。
大妖精もなんでそんなもの人間に寄越すのか知らないけれど、頭に来るわねぇ」
モントローザは
顔を近づけて来たマダムの目に向かって
舌を石薔薇に変えて攻撃したが
マダムは目元を厚い氷で覆って
それを最も簡単に防いだ
「だから単調なんだってば。
そんなの読めちゃうのよ。
アタシの言ってること、理解出来て?」
モントローザは
腹を立てて仕方がなかったが
優劣は明確だった
だがしかし
彼女とて策が無いわけではなかった
「"死ね!ガチムチカマ野郎!"」
目を閉じて
心のなかで呟いてみたが
特に何も起きなかった
このダイヤモンドの瞳なるものは
読心術的に用いるものではない可能性が
彼女の中で浮上した
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