騎馬とバイク【地底帝国の詩 92】

テンムスはゾニィのバイクに
ヤマトは他のマテリカンのバイクに乗った

だがしかし
ゾニィの言った通りひとり乗りなので
ほぼライダーに
しがみついているような状態に近かった

背後からは
追って来た黄金騎士団の騎馬が
三体ほど走っていた


「んで?公社へ行きたいと」

── 暴走族長ゾニィ

「そうよ」

── テンムス

「あんなところ行ってどうする?」

── 暴走族長ゾニィ

「そこにはわたしたちの探しているものがあるの」

── テンムス

「と、いうのは?」

── 暴走族長ゾニィ

「鏡の断片よ」

── テンムス

「おっとそりゃまずいな。
きっとそんなもの社長のヤツの手に渡っていたら
今頃すぐに利用されてるぜ」

── 暴走族長ゾニィ

「あなた、やっぱりあそこの研究員だったのね」

── テンムス

「ああそうだとも。オレたち全員そうさ。
だがな、社長のヤツ、
オレたちが研究開発した成果を
まんまと横取りして自分のものにしやがった。

集団ストライキを起こして
ヤツらの技術を利用して
復讐しようと計画していたところだったのさ。
ちょうど手間が省けてイイ感じだぜ」

── 暴走族長ゾニィ

「そうかしら〜?
わたしたちが居なければ
動き出さなかったんじゃない?」

── テンムス

「んなこたねぇよ!
オレたちマテリカンの誇りにかけて、
やってやるって決めてたんだぜ?」

── 暴走族長ゾニィ

「そこ違法車両集団!
公道脇に停車し投降しなさい!」

── 黄金騎士団騎兵


馬型機動石器キバホースの口から人間の声がした


「んなこと言われて停まるかよ!
このまま公社までぶっちぎるぜ!」

── 暴走族長ゾニィ


勾玉光輪デザークルを中心とした
増幅エンジンの回転数を上げ
|カタツムリ型機動石器《バイカルゴ】は
さらに加速した


「ゴールは公社の玄関よ。
ド派手にやってやりなさい!」

── テンムス


テンムスはゾニィに発破をかけた

騎馬とバイク
一見すると有機物と無機物だが
どちらも有機物であり
そしてまた無機物である

地底の石は意志を持つのだ

騎馬隊を一気に振り切り
石造りの公道を駆け抜ける

漆黒の狼ゾニィたちは
刹那
黄金きん塗りの門を突破し
公社の通門を横滑りした


ガッシャアン!!


公社オフィスのロビーに
ガラスの雨が横殴りに降り注ぎ
悲鳴の嵐が沸き起こった



◆ 新事実 ◆

・地底帝国の石は意志を持つ。
洒落のようだが紛れもない事実。

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