苦し紛れの発明 【Miracle Fanta詩 Ⅱ 323】
ウィードの意思号へ向かう途中
ニガマトの襲撃を受けたドブナガたち
砂煙のなか
他のふたりはどこへ行ったのか
分からなかった
無事なのかあるいは…
ドブナガは全身に駆け抜ける痛みを
堪えながらも
ゆっくりと立ち上がった
が
しかし
直ぐに激痛がはしり
その場で倒れ込み悶えた
五体は一見満足そうに見えるが
脚の骨が折れているようだった
ドブナガをはじめとした
ドブリン族の身体は
肉体こそ泥で出来ているものの
それに覆われているものは
我々人間同様に
骨格なのであった
ドブナガは諦めかけていたが
ふと近場を見渡すと
ドックの崩れた瓦礫のなかに
クレーンのフックが目に入った
ドブナガは匍匐前進で
そこまで辿り着くと
瓦礫を少し動かした
フックには頑丈なロープが繋がっていた
ドブナガは力なく床に座り込むと
フックに繋がったロープを
ひたすら引っ張りすべて引き出した
あとはそこら辺の瓦礫を
自前の伝家の宝刀で
一頻り組み上げて何かを作成した
完成したのは
砲台の先からクレーンフックが飛び出している
妙な機械だった
少し深呼吸をして
ジェットボードを無事な方の足で
足元へ引き寄せた
妙な機械を作動させると
フックは勢いよく
ウィードの意思号向けて飛んでゆき
カツン!
と船体に引っかかった音がした
その後は機械を持ったドブナガが
勢いよく引っ張られてゆき
ウィードの意思号へ
瓦礫を渡りながら一直線に進んだ
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