Ep.3 : 必見!優秀な経営者がアートに夢中な理由とは?
普段の生活の中でアートを不可欠のものと考えている人は約1割程度であり、アートを日常的に身近なものと考えている人は多くはありません。
しかし、同時に現在多くのグローバル企業がアートスクールや美術系大学(大学院)に幹部候補を送り込んでおり、アートの重要性が高まってきています。
なぜそんなにアートが大事だと考えられているのでしょうか。
それは、アートのもつ「美意識」が経営者のクリエイティブな発想と行動指針に重要な役割を持っているからです。経営者が持つべき創造力と意思決定力は、自分の中のアート的感覚と密接に関わっているのです。
著書【世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 】-山口 周[著] / 光文社[刊]- (以下、同書籍)では、「高度な意思決定の能力は、はるかに直感的・感性的なものであり、絵画や音楽を「美しいと感じる」のと同じように、私たちは意思決定しているのかもしれない」
と表現しています。
アートや美意識がどの様に、経営者に働きかけているのか、大枠から考えてみたいと思います。
1. 多くの大企業がアートに興味を示している
数多くのアートフェアが存在する中、世界最大級の現代アートフェアはスイス北西部の都市・バーゼルで開催される「アート・バーゼル」です。こちらでは毎年世界トップのギャラリーが一押しの作品を展示・販売し、多くの来場者数を誇っています。その中で一際堅調さを示したのがアート・バーゼルのアジア版「アート・バーゼル香港」です。2019年には来場者人数が8万8000人といった過去最高人数を記録、130以上の国際的な美術館や美術期間の関係者が来場し、スイス銀行UBSをはじめ数多くの企業がパートナーとなり、一大アート空間を作り上げました。
そんな中、日本の企業はあまりアートに関心を持ってないというイメージがある人も多くいると思いますが、実は多くの大企業がアートに協賛しています。
例えば世界でも上位に位置する自動車メーカー。
トヨタは「TAM:Toyota Art Management」というサイトを開設し、美術にまつわる情報配信やアート関連求人の募集掲示板などを発信しています。また日産自動車は「日産アートアワード」を開催し、国内の有望な若手アーティストを発掘・プロデュースし経済面でも支援する活動を行なっています。
また自動車以外でもストライプインターナショナルの石川康晴社長は岡山県を現代美術で活性化させる「岡山芸術交流 OKAYAMA ART SUMMIT」をプロデュースしており、他にも大林組、ベネッセ、資生堂、パナソニック、セイコー、サントリーなど、日本の多くの企業がアートと深く関わっているのです。
2. アートから得られる美意識の影響とは?
企業を経営するにあたって重要視されているのが合理的な思考だと言われています。もちろん経営にとって分析やパターン化は重要な部分ではありますが、合理性が全てではありません。なぜならば、柔軟な発想力がないと競合との差別化ができないからです。つまり論理的思考と同時に直感や感性を鍛えることが重要なのです。
同書籍ではこのような記載がありました。
「高度な意思決定の能力は、はるかに直感的・感性的なものであり、絵画や音楽を「美しいと感じる」のと同じように、私たちは意思決定しているのかもしれない」
また英ロンドン大神経生物研究所によると脳の前頭部分は美しさを感じる部分であり、美しいと強く感じるほど活動量も増えるといわれています。またソマティック・マーカー仮説によると外部情報により呼び起こされる感情は脳の前頭部分に「よい / わるい」の意思決定の効率を高めると考えられています。
つまりアートで「美」を感じることによって意思決定力を高め、且つ論理的思考を合わせることでパフォーマンスを向上させることができるのです。
3. 最後に
現代社会は常に様々は変化を遂げています。その変化は複雑であり、論理性だけでは生き残っていけない時代になっています。競合との差別化を測るためには美意識を磨き、ユニークな発想で新たなアイディアを生み出していくことが重要なのです。
あなたも今日からアートにふれあいませんか?