”海外で研究者になる”を読んで
読んだ理由
自分が海外で研究者になることをあきらめた人間なので、海外で研究者になった人たちの生活・考え方を知りたくなった。
概要
・筆者の体験談だけではなく、海外で働く様々な研究者のエピソードを紹介。
・海外と日本の違いは、会議が少ないこと、研究室を独立して運営できる、入試業務がない、長期の休みがとりやすい
・国や研究分野によって、文化が異なるので、ネットなどで確認が必要
興味
先進国中の投資額当たりの質の高い研究成果の量は、日本は30位
⇒原因は大学予算の減少、教員定数の削減、非正規雇用の増加、研究と授業以外の業務の増加、戦力となる大学院生の確保の難化が挙げられる。
研究室の教授にくっついた「助教」相当の職があるのは、主要国では日本のみ
⇒海外では、若くして研究室を主宰できる。
海外の大学に就職することの長所
⇒若くして研究室を運営できる。最先端の研究者が周りに多い。研究資金が豊富。夏休みが長く、その間は研究や私事にまとまった時間を使える。会議など、組織のための業務が少ない。学会業務なども少ない。給与が高い。家庭や子育てと両立しやすい。年功序列ではない。などなど
労働時間がずいぶん少ないように見える
⇒これは表面的な理解。定時以外はオフィスでないところで働いているだけ。世界と張り合うために、猛烈に仕事をしている。しかし、大学院生やポスドクは分野や目指す立場にもよるが、割とゆったりしていることが多い。
日本以外の全ての国で、昇進は絶対評価で、教授数に定数はない。
⇒日本では、大学ごとに教授の定数が決まっているので、教授の数を勝手に増やすことができない。新学科ができたとしても、ほかの学科の教授枠を供与したり、併任したりなどで融通している。ほかの国では、昇進は絶対評価で、教授の数は一定でない。
日本の子たちは、「自分が留学して何を得るか」は書くが、「自分を採ることであなたたちが何を得るか」を書かない
⇒世界でアピールするには、自分がどういうふうに役に立つかを示す必要がある。日本式の考え方は通用しない。
日本の研究は独立性が高い
⇒日本では、ほかの先生に遠慮して、共同研究を持ち込まない。大学内でも横のつながりが弱い。アメリカではわからないことがあれば、すぐに聞きにいく。
感想
自分が留学していた時に感じたことがそのまま書かれており、すべてが腑に落ちる一冊。研究における日本の立場がどんどん危うくなっていることを実感する一冊でもあり、もう追いつかないのではないかと思ってしまう。下の記事にも書いたが、国に意見する科学者ではなく、国の内部に入って動かす科学者が必要に思える。
読書期間 2022/4/22~2022/4/26
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