学校の怪談〜赤と青〜
藤本琢磨の小学校には七不思議がある。
今時怪談話なんて流行らないよな、という高学年の生徒でも
どこかでその七不思議を意識して日々の生活を送っている。
放課後4時44分に2階の女子トイレに入ると花子さんが現れて霊界に引きずり込まれる、とか。
夜中に1〜2階の踊り場にある姿見を覗き込むと自分の死ぬ時の姿が見える。とか。
実にどこにでもあるような話の羅列だったが、
一つだけ由来のわからない話があった。
それが、『赤と青』の話だ。
「学校の視聴覚室に夜中忍び込むと、女が現れて「赤が好き?青が好き?」と聞かれる。どちらと答えても何もされないけれど、数日のうちに赤と答えれば血まみれにされ、青と答えれば水に落とされて殺される。」というものだ。
これもまたよく聞く話ではあるが具体的に幽霊というか、オバケ的なものの犯行が仔細に語られている点では異色だし、血まみれなんて実に生々しくて「霊界に引きずり込まれる」などという具体性に欠ける他の話に比べるといかにもグロテスクで子供達の興味を引いた。
藤本琢磨は今年4年生になった。
友人の岡本ツヨシとともに学級新聞に書くべく、
学校の七不思議、中でもとりわけみんなの興味が向いている
「赤と青」について調べてみることにした。
図書室でこの学校のある区域についての過去の出来事などを調べることから、先生たちへの聞き取り、また、他の学年へのアタックも含めて
琢磨とツヨシはかなりアグレッシブに調査を繰り広げていた。
しかしそのアグレッシブさとは裏腹に、収穫と呼べるものは何もなかった。
そんな話は聞いたことがなかった、という先生や先輩もちらほらいる。
これはどういうことだろうか。
琢磨とツヨシは本当のところが一体どうなのかを調べるべく、
学内で有名な怪談博士、6年生の「中条アツシ」君を訪ねることにした。
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