憧憬の極み。
彼女は僕にとって、憧れだった。
好きとか、そういう恋愛に基づいた感情ではないのかもしれないが
なにしろ生きていく上で、彼女という存在は常に僕にとって「必要」だった。
ついさっきまでそんなことは思っていなかったのに、
唐突に彼女が人生にインサートしてきたのは中学三年の夏だった。
友人は両親が共働きで夜遅くまで帰ってこない家だった。
中学三年ともなると何かと遊びまわりたくなる年頃で
僕は彼の家によく遊びに行っていた。
特に何をするわけでもない。タバコを吸うわけでもなければ、酒を飲むわけでもない。ただゲームをしたり、いつもは居ない他の友人と話をしたり。
そういうことをするだけなのだが、それが最高に楽しかった。
八月に入ると、友人の家はさらに騒がしくなった。
みんなで小遣いを持ち寄って出前をとったりして、
パーティ感が強くなって行ったのを覚えている。
そして、その中に彼女がいた。
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