学校の怪談〜ミイラ女の怪〜
五年生のタケルの通う小学校には一つだけ怖い噂がある。
それはこの学校の近くにはミイラ女が住んでいて、帰りが遅くなった小学生を襲って仲間にしてしまう。
というものだった。
「本当に見たっていう人もいるんだよ。」
と、タケルの友達の洋平が言う。
「誰が見たの?」
「・・・・さあ?」
タケルは心底怖がりで、そんな怖い噂もできる限り自分からは遠ざけておきたかったが母親の「嫌なことは先に済ませておきなさい。」という教育をうけていつの間にかタケルはそのミイラ女のことを積極的に調べるようになっていた。
結果、ミイラ女に関する情報は全て根っこのないものだということがわかった。ミイラ女が住んでいる、というのもその言葉だけが校内をうろついているし、見たことがある人がいる、という情報も実際のことではなくその言葉だけがひらひらとその辺りを舞い飛んでいるのだ。
噂というのは得てしてそういうものだ、ということがタケルにはわかった。
それだけでも大いなる収穫だし、母親の熱心な教育に感謝しようというものだった。これでその根も葉もない噂話に怯えることはしなくても良くなったし、誰かがまたしたり顔で新しい怖い噂を持ち込んできてもそれを打ち消す手法を理解しているからやたらに怖がる必要もなくなった。
これは素晴らしい自信になることだった。
タケルは意気揚々と日々を過ごしていた。
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