slow motion ~arm bar~ male eyes
俺はその瞬間を悔いていた。
まんまと術中にはまっていたと、気づいてしまったからだ。
いや、それすらも違う。
気付いたのではない。
わざと気づかされたのだ。
ゴトン、
というリングがなる音が地味に響く。
少数ながら熱狂的な観客がこの瞬間に注目している。
目の前の相手は、もう既に「自分の型」に入っている。
俺の体をコントロールするための型、
崩れ落ちていく俺の体まで含めての、型。
俺に残された勝機というのは、
もうない。
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