危険な瞬間。
最初からわかっていた。
危ないと、わかっていた。
差し向かいに立つ、男と女。リングを囲むのは各業界のVIPたち。
ここは地下格闘技のメッカと言われている場所だ。
せいぜい200人くらいしか入らない、文字通り地下にあるこの施設には普通よりも狭いリングが一つ設られていて、VIPたちはふかふかのソファに座って決して表に出てこない人間たちの危険な試合をみる。
ファイトマネーは破格に高い。
だからこそ、危険が伴う。
これはそんな地下格闘技のリングに散っていった男の、その瞬間の話だ。
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