見出し画像

マリノ様は、骨の音を聞きたい。

 彼女の噂を聞いたのは、確か半年ほど前だったと思う。
「あの子はやばい。」という確かな情報筋からの噂は俺の感覚に鋭く響いた。

「何がどうやばいかは言葉では言い表すことができない。とにかくやばい。」

この程度の情報とも呼べない文字の羅列だったが、
それでもその情報筋がこの言い方をするというのが
そもそもかなりやばいことの証左になる。

俺は彼に、どうにかして彼女とコンタクトできないか。
と聞いた。ほとんど反射的に尋ね返していたと思う。

帰ってきた答えは、「今回ばかりはやめておいた方がいい。」という返答だった。彼自体もかなり狼狽しているらしかった。
俺は暗い自室でスマホと睨み合いをしながら、必死になって文字を打った。
俺もまた飢えていたのだ。

ここから先は

7,858字

¥ 2,000

読んでいただきましてありがとうございます。サポート、ご支援頂きました分はありがたく次のネタ作りに役立たせていただきたいと思います。 皆様のご支援にて成り立っています。誠にありがとうございました。