スーパーヒーロー。
ドガァァァァンン・・・!!!!!!!
コンクリートの発破する音が鳴り響く。
異界のものがこの世界のバランスを壊したために、
夜の空は赤く染まっていて、稲光が激しい音を立てて爆裂する。
いわゆる、この世の終わりと言って思い描く風景がそこにはあった。
いつからか、この世界には異界のものが訪れるようになった。
ただ訪れて散策をして帰ってくれるならまだ良い。
異界のものはこの世界の生き物、特に人間を食べる。
異界のものは影のようであり、爬虫類のようであり、または獣のようである。異界のものは厳しい姿であり、巨大であり、また時折人間とそう変わらない姿である。
まだ研究や理解は進んでいないが異界というのは一つではないのかもしれない。あまりにもその姿や形に共通点がない。しかし逆に共通する点は、人間を襲うこと。それがまたこの理解を闇の中に放り投げる要因だった。
今日はツルッとした、人より少し大きなサイズの異界のものが街を壊している。目からビームを発射するわけではない。手がバズーカになっているわけでもない。ただ激しく腕を振り回してビルをなぎ倒す。なで肩的で、フォルムは近未来的だがその蛮行加減はまるで原始人が怒りに見境をなくした姿のようだった。白い表皮、目と思しきところにある黒い丸が二つ。二足歩行のそれはゆっくりと歩いて、時折思い出したかのように両腕をブンブンと振り回す。
振り回される遠心力でそれはぐんんっ!!!と伸び始めて、逃げ遅れた人間の頭を吹き飛ばし、そしてコンクリートさえ、車さえ破壊する。
2メートルと少しの身長が、ゆっくりと大通りの真ん中を歩く。
「うわあああああああ!!!!!!!!」
勇気のある人が、車のエンジンを思い切りふかし、アクセルをべったりと踏み込んでその異界のものに突進する。
が、異界のものはヒュッ・・・と腕を鞭のようにしならせてドガァァァっ!!!!と、その車をおもちゃのように吹き飛ばす。車はビルの6階に届く高さまで殴り飛ばされて、その形をなくし、中で決死の覚悟をした男も、その形をなくしていた。
あまりにも絶望的な景色は深刻さを増すばかりだ。
赤くなった夜の空に紫色の稲妻が不気味な毛細血管のように走る。
誰もが自分の命とこの世界の終わりを予期していて、涙を流すこともできずに地獄絵図の中に佇んでいた。
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