夜の空と。
鼓動が間引かれたように、トロくなっていく。
口の中には血の匂いと、女の匂いが混じっている。
血生臭く、屈辱的な気分だ。
人のこない大きな公園のど真ん中の芝生に
俺は寝転んでいる。
もう秋も深くなって
星空はどこまでも澄み渡っている
捻り折られた腕が発していた痛みは
焦熱に変わっていて、
その熱は体の真ん中にある冷たさを却って際立たせる。
もう、死ぬんだな。
というのがやけにはっきりとわかる。
それにしても、
まあ酷い死に方だこと。
俺はその自嘲をせめて皮肉にしようとして
唇の端を引き攣らせようとしたが、
それさえも叶わなかった。
秋の夜の風が、俺から体温を奪っていく。
間引かれて、飛び飛びになった鼓動が
もう2度とならないかもしれないと予感させる音を一つ奏でた。
夜の空が、幻惑的に俺を包み込んでいる。
何もかも、あの女と出会ってしまったのが最初の過ちだ。
ここから先は
8,298字
¥ 2,000
期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
読んでいただきましてありがとうございます。サポート、ご支援頂きました分はありがたく次のネタ作りに役立たせていただきたいと思います。 皆様のご支援にて成り立っています。誠にありがとうございました。