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大学院生でルームシェアしてた頃の話
大学院にいた頃、しばらくの間ルームシェア生活をしていた。
某プログラムに採択された学生が利用できる制度で、学費免除に加えて家賃1.5万円で3LDKに住めるというお得なものだった。
それまでのワンルームでの一人暮らしに別れを告げた私は、大学のすぐ裏手にある3LDKマンションへと引っ越した。修士1年の秋のことである。
私は、1学年上の岡本さん(理系)と2学年上のWangさん(文系)と一緒に住むことになった。
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自分はわりと適応能力が高いらしく、赤の他人と生活することは別に苦痛ではなかった。むしろ色んな面白い事象が発生するので退屈しなかった。2人の先輩とも、最後まで楽しく付き合えた。
約3年半のルームシェア生活の中で、特におもしろかったいくつかの話をここに書く。
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ハムスター激太り事件
入居してしばらく経ったある日、中国人のWangさんと何気なく会話していたときのこと。
3LDKの広い家だし、リビングでハムスターとか買ってみたいよねという話になった。
「じゃあ今度一緒に見に行こう!」
Wangさんは当時中古の車を持っていて、かなりフットワークが軽かった。
数日後、彼からこんなLINEが来た。
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というわけで、土曜日にWangさんの車で近くのコーナンへ出陣した。
ジャンガリアンハムスターいいよねとか、ケージも買うから予算はこれくらいだねとか話しながら、コーナンへ到着。すると…
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自分もWangさんも、この二匹に見とれてしまった。
しばし協議の末、二匹とも飼うことにしたのだった。
この感じからすると、1つのケージで飼っても大丈夫そうだ。
というわけで、しばらくこんな感じで、和やかで良い生活が続いた。
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ところがある日を境に、彼らに自我が芽生えたのか、喧嘩をするようになってしまった。
急いでもう1つのケージを購入し、彼らは別居となったのであった。
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で、ここからが本題。
ハーマンスターたちの健康管理のため、毎週、タニタのキッチンスケールを使って体重を測っていた。
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そんなある日、もう一人の同居人である岡本さんが、台湾かどこかのお土産で、人が食べる用のヒマワリの種を買ってきた。向こうではナッツみたいな感覚でヒマワリの種も食べるらしい。
このヒマワリの種、普通のやつの5倍くらいのサイズで非常に大きい。
せっかくだし、少しだけハムちゃんにもあげようということになった。
とはいえ彼らにとってのヒマワリの種は、たぶん我々にとってのケーキみたいなもの。脂質たっぷりの贅沢品だ。1日1個以下にして、与えすぎないように注意していた。
…にもかかわらず。
2週間くらい経つ頃、ハムスターはありえないくらい激太りしていて、体重は50gを優に超えていた。
原因を探してみると、どうやらWangさんがめちゃくちゃに与えているらしいことが発覚した。
悠然と現れたWangさんは、ハムスターたちを満足そうに眺め「このネズミめっちゃデカいなw」と言った。
おまえのせいじゃ!!しかもネズミじゃないし。
というわけで、諸悪の根源である巨大なヒマワリの種は処分し、減量生活を始めることにした。
ハムスターの新陳代謝は早いようで、数週間もたつ頃には体重は元通りになった。
家の中で大雨が降った日
当時の3LDKマンション、実はバブル期に建てられたものなので、相当ボロかった。それでも、それなりに快適に暮らしていた。
そんなある日の夜こと。
なぜかキッチンの天井から、ぽたぽたと水が落ちていることに気づいた。
外は雨なんて降ってないのに。
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え、どういうこと?と思って観察していると、だんだんと水量が多くなり、やがてとんでもない豪雨となった。外は雨なんて降ってないのに!
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家の中で大雨が降っている!!!
なんかもうどうでもよくなって、Wangさんとゲラゲラ笑いながら動画を撮ったりしていた。岡本さんは冷静に困惑していた。
フライパンや食器はきったない水で濡れ、調味料は全滅。
下は動画のスクショ。プラケースに濁った水がなみなみと溜まっている。。。
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不幸中の幸いで、キッチン部分だけが豪雨で、他は大丈夫だった。
なのでハーマンスターたちも無事だった。
どうやら水道管が老朽化したせいで、マンション全体で上から下へ水が漏れていたようだ。隣の101号室はもっと悲惨で、リビングも全滅だったらしい。
とりあえずその日は全力で掃除をして、ある程度元通りになった。とはいえ、食器は汚れるし調味料は全滅だし、最悪である。
後日、管理会社の人が点検も兼ねて家に来ることになった。自分とWangさんは、もうめちゃくちゃ搾り取ってやろうと息巻いていて、いかに被害が甚大かを訴えた。
「あのですね、中国ではね?こういう時はお金で解決するんですヨ?」みたいなことをWangさんが言って、自分がそーだそーだ!みたいな感じ。
しかし結局、謝罪されながらもうまくかわされてしまって、この件は泣き寝入りとなった。その担当の人は別に悪くなくて管理会社が悪い(家財保険では保障されないっぽかった)んだけど、今でもあんまり納得していない。
タワマンへの引越し
この事件があった後、やはりというか、マンションは取り壊されることになった。
大学の事務から急遽、全員引っ越すことになるからよろしく、と通達があった。
そんなわけで、我々は別の3LDKマンションをあてがってもらった。
それがなんと13階の部屋で、最近リノベしたばかりとのこと。バブル時代のオンボロマンションから、タワマンへの栄転である。タワマンというとまあ語弊あるけど、それでも13階からの眺めは格別だった。
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こうして我々3人とハーマンスターは、新居へと引っ越した。ほどなくして、Wangさんは経済学の博士号をとって退居・就職していった。なので、岡本さんと自分の二人で、新しい3LDKで暮らしを始めた。
といっても岡本さんは研究のフィールドーワークでアフリカとかに行ってたので、実質、自分が3LDKを独占していた気がする。束の間の贅沢だった。
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ドイツ人の入居
この1302号室での暮らしにも慣れてくるころ、退去したWangさんの穴を埋めるようにして、今度はドイツ人が入居してきた。日本のラボで半年ほど研究するために留学に来たらしい。
1302号室には新しい風がビュンビュン吹いていた。
このドイツ人とも、けっこう仲良くなった。
わざわざ日本に来るだけあって、自分よりも漫画やアニメを知っていた(NARUTOとかジャンプ系が好きらしい。Jujutsu Kaisenの発音に苦戦していた)。
時折彼は、どこで知り合ったのか他の留学生仲間を何人も1302号室へ招いて、ホームパーティーを開いた。自分もたまに巻き込まれたりして、それはそれで楽しかったけど、さすがヨーロッパ人らしく、部屋にEDMを流し、ベランダでありえない量の缶ビールを開けて、ショットグラスにはたばこの吸い殻がぎっしり詰まっていた。
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さすがに隣人から怒られたので、以降そういうのはなくなった。
そんな感じで異文化コミュニケーションの日々で、いつしか1302号室の公用語は英語になっていた。
ルームシェア解散
そんな暮らしがしばらく続いた矢先、博士課程3年になるタイミングで、自分はわけあって東京へ引っ越すことになった。
(大学院の5年間で合計4回も転居している…)
ほぼ同じタイミングで岡本さんも無事に就職し、ドイツ人も帰国していった。ハーマンスターたちは寿命を迎え、亡くなってしまった。庭にヒマワリの種と一緒に埋葬してあげた。
かくして、この3LDKルームシェアは解散となった。
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こうして改めて振り返ると、めちゃくちゃ刺激的な日々だったなと思う。博士課程って結構しんどいので、その中でこういう利害関係のない人付き合いがあるのは精神衛生的に良かった。たまに同居人の研究の話を聞けたりして面白かったし。
ルームシェア自体は人によって向き不向きがあるだろうけれど、一人で鬱屈とすることはほぼなくなるので、特にそうなりがちな大学院生にはおすすめである。
2024/10/20