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もじ イメージ Graphic 展

21_21 DESIGN SIGHTでは、2023年11月23日より企画展「もじ イメージ Graphic 展」を開催します。展覧会ディレクターには、グラフィックやタイポグラフィに関する数々の著書を手がける編集者の室賀清徳、グラフィックデザインの研究を行う後藤哲也、そしてグラフィックデザイナーの加藤賢策の3名を迎えます。

本展では、コンピュータ上で出版物やグラフィック制作の多くの過程を行うことが一般化し、インターネット環境が社会のインフラとなっていった1990年代以降のグラフィックデザインを、日本語の文字とデザインの歴史を前提に紐解いていきます。

展示の中心となるのは国内外54組のグラフィックデザイナーやアーティストによるプロジェクトの数々。漢字や仮名の使い分けや、縦横自在の書字方法、ルビといった独特の表現方法をもち、文字とイメージの混ざり合いのなかで発展してきた日本のグラフィック文化が、グローバルなデジタル情報技術とどう向き合い、何を生み出してきたか、そして今どのような可能性をみせているかを「造形性」「身体性」「メディア」「マテリアル」のような13の現代的テーマに分けて紹介します。

日々大量のビジュアル情報が飛び交い、つくり手も受け手も効率性を重視せざるを得ないことの多い現代において、グリッドを超えて縦横無尽に浮遊する文字やイメージのあり方、それらの結合や合間にたちのぼるエネルギーを感じることで、あらためてグラフィックデザイン本来の楽しさや豊かさを発見する機会となれば幸いです。

企画展「もじ イメージ Graphic 展」開催概要


「日本語の文字とデザインをめぐる断章」のコーナー


羽良多平𠮷によるポスター


水戸部功によるブックデザイン




投票ポスタープロジェクト


王志弘(台湾)によるブックデザイン


上堀内浩平による「都湯」看板


原弘から葛西薫に至るまで、本邦のデザイン史を超絶的な構成で圧縮した「日本語の文字とデザインをめぐる断章」のコーナーを抜けると、予兆としての80年代を横目に見ながら、切断としての1990年代からはじまる、2000年代、2010年代、そして2020年代のタイポグラフィカルなデザインが、歴史的なパースペクティヴを踏まえつつ、いくつもの切り口でアクチュアルに再編成されている……

まさに百花繚乱と呼ぶにふさわしい展示で、わたしは圧倒されました。
百花繚乱? つまり「さまざまの花がいろどり美しく咲き乱れ」(大辞林)ていて、ここで重要なのは「いろどり美しく咲く」こと以上に、「乱れ」なのだと思うのですよ。

どういうことかというと、良くも悪くも、これまで文字をめぐる展示は、端正で静的なものが多く、それはそれでビシッと張りつめた緊張感があり、わたしは好ましく思うけれども、「もじ イメージ Graphic 展」は、そういう伝統(?)とは一線を画していてですね、全体的に文字のバザールといった趣があり、だいぶにぎやかだし、とてもダイナミックな印象を受けました。

あらためて思うに、動線設計が秀逸で、この「どこからどういうふうに見てもいい」という出入り自由な空間は、おそらく現代人たるわたしたちの生活様式、より具体的には、始点も終点もないインターネットのありかたと、密接に関係しているのではないかしらん。

と同時に、日本語の文字組の、よくよく考えると、めちゃくちゃ異常な配合(ひらがな、カタカナ、漢字、数字、アルファベット、各種記号……)の、その祝福すべき「デタラメさ」の写し絵でもあると思います。

ところで、わたしとしては、ここに平野甲賀の仕事が含まれていないことを、すこしさびしく感じてしまう。だって、いかにオールドスクールとはいえ、大原大次郎とも多少かかわりがあったわけですし。まあ、単にご遺族に出品を断られたのかもしれませんけどね。 (O)


会期 2023年11月23日(木)〜2024年3月10日(日)
会場 21_21 DESIGN SIGHT(東京都港区)


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