ポストモダン・ゴシッ句 志村正雄追悼
アメリカ文学者の志村正雄が亡くなったそうで、日本アメリカ文学会の訃報を貼りつけておく。
第9代会長 志村正雄先生ご逝去
志村正雄とはいかなる人物か? これはみすず書房の著者・訳者案内を貼りつけよう。
志村正雄
この略歴にもあるとおり、志村といえば、バースやピンチョン、バーセルミなど、ポストモダン小説の書き手というか、ニュー・ライターズを精力的に紹介してきた、という印象が強い。
わたしはバーセルミがいちばん好きだが、志村が小池滋や富山太佳夫とともに編纂した、国書刊行会の〈ゴシック叢書〉のなかに、バース『やぎ少年ジャイルズ』やピンチョン『V.』はともかく、バーセルミ『帰れカリガリ博士』まで入っているというのは、いま思うと「なんで?」という気がしなくもない。
バーセルミってゴシックかなあ。
ただ、そのおかげで日本語でバーセルミが読めるようになったわけで、志村先生ありがとう、とは言っておきたい。
幻想文学が好きな友人に訃報を知らせた際、たしか彼は俳句をたしなんでいたよなあと思って、「し」「む」「ら」「ま」「さ」「お」の音をふくむ俳句、いや、ゴシッ句を6つつくった(ポストモダンに季語はない)。
ゴシックの裔ひめやかに闇を縫ひ
から騒ぎ叢雲まとふポストモダン
窓覗く旅路の果ての大笑ひ
帰り来てカリガリ博士夢枕
バーセルミバースピンチョンさんざめく
空仰ぐ言語遊戯の低地かな
……お粗末。(O)
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