悪くない

突然夫が言い出した。

「『悪くない』って、訳すの難しそうだよね」

「ほぅ?」

話を聞いていくと。「悪くない」という言葉は文字通り「悪い」じゃないのは確かなのだけれど。その中身は60点だったり80点だったり、場合によっては30点だったりする。とても幅があるのだ。それを同じ言葉から掴むのは難しいだろうということだった。

「日本語を話す人が外国語に訳す」のが難しいのではなくて、「日本語勉強中の人が『悪くない』という言葉を聞いてちゃんと意味を理解するのが難しい」ということなのだろう。

言われたら確かに。「悪くない」って深い言葉だな。


例えば買い物中の2人がいたとして。1人が結構長い間服を選んでいたとして

「これどう思う?悪くないと思うんだよね〜」
「あーうんうん、悪くないよ」

と話した場合。1人の中では85点くらいだけど、待ってる方は早く買い物を終わらせたくて40点くらいでも「悪くない」って使う気がする。


普段あまり意識していないけど。私たちは「悪くない」という言葉から瞬時にそれが何点くらいのものなのかを判断しているのだろう。それは、「悪くない」という言葉が「こういう意味だ」と機械的に覚えるだけではできないことで。とても言葉らしいなと思ったのだった。



夫は割と急にこういうことを言い出す人で、でもそこからの気付きも多いので楽しいなと思う。いろいろあるけれども、夫との結婚生活は悪くないのである。




ではまた明日。