つじつま合わせ
何十台もずーっとナッペをしていると、ふと思うことがあった。
ナッペの極意って、実は「つじつま合わせ」なんじゃなかろうか。
本当の理想を言えば。土台は狂いなくピシーっとサンドされていて。毎回つける生クリームは一定で。全体に均一に生をつけた後、最後に仕上げに綺麗に撫でる……ができれば、絵に描いたような綺麗なナッペ、なのかもしれない。
でも現実は、土台のサンドだって1台1台違うし。毎回パレットナイフにのせる生の量だって違うし。どのくらい側面に塗って、ならして、それがどのくらいの厚さになっているかなんて、毎回、1台の中でだって違うのである。
あー、ここの(側面の)上の方が少ないかもーって思ったら、上に足す。更に更に慣れてくると、ぐるーっと1周撫でるついでに他のところから持ってきてつじつまを合わせてしまう。
要はその、つじつまを合わせることができれば。完成も早いのである。
一応「理想の完成した姿」はあるわけで、「それにいかに近付けるか」という話なので。つじつま合わせでも何でも、最終的に綺麗ならそれでいい、になるのかなぁと思いつつ。
塗り続けていると、その日の最初と最後ではつじつま合わせの技術が違ってくるのを感じる。それが何だか面白くて妙に印象に残ったのだった。
ナッペに限らず。あ、ここちょっとどうにかしたいな〜という時にどうにかつじつまを合わせる技術は、やっていれば勝手に身についていくし。それもある意味上達なのかもしれない。
どこまでが「つじつま合わせ」でどこからが「本当の技術的なもの」になるのかはわからないけれど。それはやった本人と、それを受け取る人の感じ方次第なのだろうな。
ではまた明日。