Felicity Rag
最近ピアノで重点的に練習しているのが、スコット・ジョプリンの『Felicity Rag』という曲である。
初めて聴いた時に「あ、弾いてみたい!」と思った曲。ジョプリンで弾いてみたい曲はいろいろあるのだけれど、個人的にその中でも上位に入る曲である。
楽譜を手に入れて、早速ウキウキと練習し始めた。のだけれど。
実際に弾き始めると、何だか想像と違った。私はこの曲を初見で弾けるほどの実力はないし、まずは右手のここまで、次は左手のここまで、という形で片手ずつ練習していっている(現在は、転調前まで両手で弾ける)。
右手は確かに聴き慣れたメロディー。でも、うーん。聴いていた時ほどワクワクしない。最初は遅くしか弾けないからかな?と思ったものの、ある程度の速さで弾けるようになっても何か違う。ジョプリンの曲は「この和音が好きだな!」と思う所が大抵あるのだけれど、この曲には今のところ見つからず。単純に「聴いて綺麗」ともちょっと違う。
左手は、私が弾いたことのあるジョプリン数曲の中で一番跳躍っぷりがすごい。今まで弾いた曲にも同じくらいの跳躍部分はあったはずなのだけれど、一番戸惑った。オクターブで低い所、和音で高い所、というのがズンチャ、ズンチャ、と繰り返される。単純なのだけれど、距離があるので慣れるまでが難しい。そして単純なので、そこまで面白みがあるわけではない。
弾いてみたかった曲だし、最後まで弾けるように練習するけれども。上手い人の演奏を聴くのが楽しい曲なのかもしれないな。そんなことを思いつつ、両手練習を開始。それなりに続けて弾けるようになってみると。
あれ…?この曲もしかして楽しい…?
と感じるようになってきた。右手と左手の組み合わせに楽しさを感じるようになってきた。左手が離れて、また右手の近くにきて。「掛け合い」とはちょっと違うけれど、両手の対話のようなものを感じる。左手がこうきて、左手が離れた所にすかさず右手がきたりして。ううん。これは。ちゃんと弾けるようになったらもっと楽しいのでは!?弾く人が楽しいタイプの曲なのでは!?と思うようになってきた。
両手で弾くことによって楽しさが倍増する曲があることを知った。あくまで個人の感想でしかないけれども。メンデルスゾーンだったか、本当に「対話」って感じの右手と左手の曲も弾いたことがあるけれども、それとも違って。お互いそれなりに自由にやってるんだけど、会話もある感じかなぁ。
やっぱり「弾いてみたい!」「楽しそう!」と感じたのには、それなりの理由があったのだなと思ったのだった。とりあえず最後まで弾けるように練習したいと思う。
そういえばこの曲は、動画を検索するとギターで弾いているものも出てきて。詳しいことはわからないけれど、ギターの雑誌?か何かに楽譜が載っていたのだろうと思う。ギターで弾いているのは全然雰囲気が違って、でもあの感じもいいなと思う。楽器によって違う顔になるのも音楽のいい所だね。ギターが弾ける方は挑戦してみても面白いかも。
というわけで、今日の誰得記事はこの辺で終わり。「Felicity Rag」って、ジョプリンの曲の中で有名な方じゃないと思うし、検索してもそこまで出てこないのだよな(出てこなくはないけど、やはりエンターテイナーやメープル・リーフ・ラグとかと比べるとさっぱり)。練習してこう感じた人がいるよー!とネットの片隅に置いておくことは、いつか誰かの何かになるかもしれない。「役に立つ」とは言えないのが辛いところである。
ではまた明日。