本。食べない人たち
久しぶりに本の話。『食べない人たち』(秋山佳胤、森美智代、山田鷹夫共著、マキノ出版)を読んだ。
世の中には「不食」というものがあり、それを実践している人たちがいるらしい。
不食と断食は、似ているようで全然違う。
断食は、一時的に食を断つことだ。その期間が過ぎれば普通に食べる。断食期間は苦行であり修行だ。
不食は、ずっと食べない。少量を食べたり水を飲んだりする人もいるが、科学的に考えて人が生きていく上で必要最低限以下のカロリー摂取で生きている。身体が食べないことに慣れ適応した結果、到達するもの。その域に達すると空腹は快楽。つまり不食はやっている人にとっては「快楽」であるらしい。
この本は3人の方の共著だが、皆それぞれに不食を実践していて、自分が何故不食に至ったのか、どういうやり方をしてきたのかを書いている。
実際、不食というのは可能なものなのだろうか?「少食が長寿に結びつく」という研究は私も聞いたことはある。毎食お腹いっぱい食べるよりは、控えめに食べる方が身体には良さそうだ。だが、ずっと生命維持に必要なカロリー以下で生活できるのかというと、正直何とも言えない。その先入観があるうちは不食は無理らしいが、命に直結する話であるし、信じることは難しい。
不食は、ある日突然食を断つのではなく、少しずつ身体を適応させていくらしい。突然食べることをやめれば、当然餓死する。
まずは、間食や夜食をやめて3食にする。それから、1食減らして2食にする。更に減らして1日1食にする。そこから更に減らし、身体が欲する時だけ少量食べたりする。1日1食までいける人は、不食に到達できるらしい。不食は10年くらいかけて到達するのが良いのではないかと書いており、個人差はあれど本当に徐々に慣らしていくもののようだ。
現代、特に日本は、食べ物に溢れている。美味しいものを食べるのは幸せだし、今日は何を食べようかなと考えない日はない。だが本当にその食事は、その量は、身体が欲しているものなのだろうか。
個人的に不食までいこうとは思わないが、身体に対して必要かどうかを聞いてみてもいいかもしれないなとは思った。「欲しい」と思った時にすぐ食べるのではなく、本当に必要かどうかを聞いてみる。
暴飲暴食という言葉があるが、人は、ストレスが溜まる、満たされていないと食に走ることがある。安定して満たされていないと、不食の域に達するのは難しい。そういう意味では、不食までいかずとも、「不必要に食べなくても平気な人生」は目指してみてもいいかもしれないな、と思った。
ある意味で、仙人のような生き方の不食。本当に可能かどうか、実際にやるかどうかはともかくとして、こういう世界もあるのだと知れたのは面白かった。
ではまた明日。