家の花火
夏になり。店頭に家でする用の花火が並びだした。
ここ数年…どころではないか。もう10年以上、手持ち花火をしていない気がする。最後にしたのはいつだったか。20歳くらいの時に友達とやったのは確実だし、おそらくその後も1度くらいはやったのでは、と思わないでもないのだが、全く記憶にない。
子どもの頃は、毎年必ず1度はしていたと思う。まずはろうそくに火をつける。庭に面したコンクリートの床部分にろうを何滴か垂らし、その上にろうそくを押し付け、固定する。
その後は各々、自分がやりたい花火を手に取り、火をつけて楽しんだ。ただ綺麗だなと見るだけではなく。実家は田舎で街頭も無いので家の明かりが届かない所は真っ暗だ。普段は夜そちらに歩いていくことなど怖いし、まずしないのだが、この時だけは花火を明かりにして何十秒か1分か、暗闇の方に向かって探検(というほど大層なものでもないが)したりした。
庭に生えている雑草に向けて花火を当ててみた時もあった。雑草からしたら迷惑極まりない行為なのだが、当時の自分は花火で燃えることもあるのか気になったのだと思う。結果、どうだったかちゃんとは覚えてないのだが、思った以上に燃えなかった気がする。
筒状の手持ち花火の後ろ側から火が出てきて少し火傷したこともあった。そういう危険性はあるので、持つ時に一番後ろは持たないでくれと注意書きがあったようだ。あれ以来、筒の端は持たないようになった。
家用の打ち上げ花火も好きだった。子どもは危ないからと火はつけさせてもらえず、父や祖父が火をつけた。熊手の先にシュルシュル回る花火をつけたり、シャーッと噴水のように出てくる花火を見たり。一番好きなのは、落下傘が落ちてくる花火だった。何が楽しかったのかわからないが、とにかく花火の後に物が落ちてくるのは特別でワクワクして、好きだったのだ。うまく庭に落ちてくれれば取れたが、段差のある場所に落ちてしまったら次の日、明るくならないと取りに行けなかった。段差の方に落ちていくものを、「あー…」と落胆の声と共に見るのも、あれはあれで面白かった。
思い出そうとすれば、家の花火の様子だけでもいろいろとあるんだな。普段思い出すことは無かったが、店頭の花火が自分の花火の思い出を考えるきっかけになった。
実は息子は家の花火をしたことがないのである。もう4歳だし、そろそろできるのではないだろうか。できれば従兄弟ーズ(妹の子どもたち)も共に。皆で実家に泊まって、ワイワイ遊んで、夜には庭で花火をしたい。絵に描いたような夏休みの光景を楽しみたいのだが。今の御時世、それも難しいのかなぁ。
せめて息子だけでも、今年は家花火を体験させてあげたいな。あれだけ気軽に花火を楽しめるって、すごいことだし素敵なことだと思うのだ。
ではまた明日。